【カレーときどき村田倫子】第5回 バイブスが高まるカレー!?ハイセンスな空間で食べるカレー〈VIBES CURRY〉はいかが?
「カレーときどき村田倫子」へようこそ。食べたいカレー屋さんを訪ね、自身でつらつらとカレーに対する想いを綴る、いわば趣味の延長線ともいえるこの企画。今回訪れたのは、中目黒川沿いのお洒落通り、存在感のある看板が目印の〈VIBES CURRY〉です。
今日はバイブスで。
自分の「フィーリング」、「感性」、「ノリ」で。レゲエやヒップホップカルチャーから派生し、今やJKも連呼し、市民権を得た言葉『バイブス』。ノリで、気分で、気がままにスパイスを体感したいあなた。本日のランチは〈VIBES CURRY〉はいかが?
中目黒川沿いのお洒落通り、存在感のある看板が目印の〈VIBES CURRY〉。
シックとポップが介在したスマートな一間。実はここは〈VIBES CURRY〉というBAR。
クラブシーンではVJとしてお馴染みのビジュアルデザインチーム「REALROCKDESIGN」が中目黒で営むセンスの溢れる空間だ。昼間は、「バイブスカレー」として間借りスタイルで営業している。
昼間のこの空間を廻すのは…。
お気づきの方も多いのでは?そう、ここのオーナーは、The BK Soundさん。「湘南乃風」のBack Selecter(DJ)と同時にソロアーティストとしても活動を広げている。あらゆる音をMIXしながら、カレー鍋も振るう…。なんて表現の幅が広いのだろう。
BKさんが、人前でカレーを振る舞うようになったのは2年ほど前。「昔から料理するのが好きで、よく仲間内で料理を振る舞っていたんです。その中でもスパイスからつくるお手製カレーがかなり評判で…。」
カレーに対して、なにかよい波長を感じていたBKさん。そんな時、渋谷でBARを経営してる知り合いから、「昼間空いてるから何かやってみない?」と声がかかる。「これは…カレーしかないっ!」と二つ返事にはじまった『VIBES CURRY』。毎週火曜だけ、渋谷の一間でカレーを振る舞うことになった。
一年半ほど渋谷での間借りを続け、今年の7月からここ中目黒に拠点を移動。週1だった営業も、週4に。音楽活動の傍ら、かなり高めのバイブスでカレーをつくっている。この店舗で身を構えたのも、知り合いのご縁から。ぱっと目を惹く看板も、仲の良いイラストレーターが手掛けている。
独学で編み出したスパイスカレー。
独学で編み出したというカレーは、定番三種と週変わりの「Weekly Curry」の全4種構成。盛り付けは、「一種がけ」、「二種がけ」、欲張りさんは「三種がけ」も選択できる。もちろん、三種でお願いします!
深いエメラルドグリーンのお皿に刻まれたオリジナルのロゴ。こちらも陶芸家のご友人がつくったもの。盛り付けられたカレーとの絶妙なコントラストを放つ。
ココナッツの香りにつつまれ、ほんのり甘みを纏った「Vibes Chicken Curry」。鶏ガラから出汁をとり、じっくり煮込まれたルゥからは、奥行き深い旨みがゆっくりと広がる。「あ、本当にカレーをつくるのが好きなんだなあ…」この一口が優しく私に語りかける。
魚のあらと野菜を炊いたフィッシュベースのスープに、フィッシュフレークの大群が泳ぐ「Mix Fish Curry」。ピリリとスパイシーな辛みに、タマリンドの甘酸っぱい酸味が溶け合い、シャープな切れ味に漂う慈悲深さ。口内へなだれ込む芳醇な磯の香りはバイブス高め、小躍りしたくなるのをこらえて、ぐっと飲みこむ。
週替わりの「Weekly Curry」。この日は、海のエキスがぎゅっとつまったカキカレー。贅沢にごろっと転がりぷりっと弾ける身、牡蠣の旨味がぎゅっと詰まったルゥ。常連さんからもかなり好評だと言う。これは良いタイミングに来れた…。シーズンそして、店主の気分よって様々な表情を楽しめるのがウィークリーカレーの醍醐味。
音を繋げて、リズムをつくりだすように、スパイスと食材をミックスして編み出す〈VIBES CURRY〉。躍動感あふれるカレーのバイブスに心地よく身をまかせる時間。
BKさんの、自由に、真剣に、今日を紡いできた姿勢こそが、バイブスの極地なのだろう。彼のフィーリングにあわせ、進化を続ける一皿は、今後も目が離せない。
〈VIBES CURRY〉
■東京都目黒区青葉台1-16-19 サクラガーデンE1
■03-6455-3729
■月火木金12:00〜16:00
(photo:Kayo Sekiguchi)
☆前回の「月曜日だけ食べられる「マジョラムカレー」って?下北沢の隠れ家〈mjrkari〉に魅了されて。」はこちらから。