【日光】 清らかな水の気配をたどって巡る、知る人ぞ知る日光へ|運気が上がる、私の参拝ルート #4
Hanakoはじめ各誌の「開運」特集を担当して16年。小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が「神々の国の首都」と呼んだ島根県松江市生まれ。子どもの頃から神話&妖怪&神社好き。長じてライターとなってからも、取材先などで神社仏閣を見つけては立ち寄ることを繰り返すうち、開運関連の取材が増えて今に至る。
今年も猛烈な暑さになりそうな日本。夏バテで動けなくなっては開ける運も開けません。こんな時は酷暑の町を抜け出して、涼しい場所でパワーチャージを! かつて欧米各国の外交官たちが夏に滞在した日光は都心からのアクセスもよく避暑にうってつけ。しかも、古くは霊峰・男体山を中心とした山岳信仰の拠点にして、江戸時代には東照大権現こと徳川家康をまつる日光東照宮がもうけられた一大霊場。この地に秘められた力は、今も多くの人を惹きつけます。
ただ、多くの観光客のお目当ては日光東照宮ピンポイント。絢爛豪華な社殿を目にして満足するケースがほとんどです。これじゃ、あまりにももったいない! せっかくこの地を訪れるなら、すぐそばにあるもうひとつの日光へ。涼やかな流れをたどって、大らかで清い山の気配を胸いっぱいにいただきます。
その一 聖と俗を分かつ神橋からスタート。
日光の玄関口・東武日光駅から観光客で賑わう門前町を抜けて日光山内へ。大谷川にかかる神橋まで来ると、あたりの空気が大きく変わります。ゆるやかに弧を描く朱塗りの橋は、聖と俗を分ける結界。天平の昔、世の安寧のため日光開山を目指した勝道上人が激流に行手を阻まれた時、顕現した神がかけたと伝わります。ここから先は神仏の守る聖域。まずは日常の穢れを祓い清めましょう。
その二 良縁を祈願に二荒山神社の御本社へ。
神橋を過ぎて、まず目指すのは二荒山神社の御本社。二荒山神社は日光東照宮、輪王寺とともに「二社一寺」とも称され、男体山を御神体として仰ぎます。その御神域は日光三山(男体山、女峰山、太郎山)を中心に3,400ヘクタールに及ぶとか。華厳滝やいろは坂も含まれるというから驚き。御祭神は日光三山の神である大己貴命、田心姫命、味耜高彦根命の親子三神。良縁や家庭円満のご利益があるとされ、境内には「縁結びの御神木」や「縁結びの笹」、「夫婦杉」や「親子杉」も。スギの巨木に守られた空間は森閑とした趣で、心がゆっくりほぐれていくようです。
その三 瀧尾神社参道で森の生命力を浴びる。
二荒山神社御本社にお詣りしたら、その足で二荒山神社別宮瀧尾神社へ向かいます。緑豊かな山中を縫う石畳の参道は、生い繁る草木の勢いに圧倒されるようです。坂道を登ること20分、たどり着いたピークには修験者の行場だったという行者堂が。ここが瀧尾神社参道と女峰山登拝道の分岐点。左手の尾根道をたどると女峰山、右手の石段を下りると瀧尾神社へ至ります。
その四 日光修験の禊場であった浄めの滝。
行者堂から瀧尾神社への道すがら出会ったのが白糸の滝。小さな滝ですが、弘法大師修行の場だったと伝わります。木漏れ日の中、水しぶきをあげる流れを見るだけで心洗われる思い。ここまで歩く中でも参道は清らかな水の気配を漂わせていました。すぐ脇を流れる沢のせせらぎが聞こえ、林立するスギの巨木や石畳も苔むして、歩くだけで心も体もしっとりと潤うようです。 なお参道はアップダウンがあり山の中を片道30分以上を歩くことになるので、歩きやすい靴&山ガール的服装をおすすめします。
その五 水の女神が降り立った地、瀧尾神社へ。
白糸の滝から再び登り返せば、まもなく二荒山神社別宮瀧尾神社が見えてきます。ここは日光東照宮が造営されるよりはるか昔の平安時代初期、弘法大師によって開かれ、日光修験の中心地でもあった霊場。女峰山を拝する位置にあり、田心姫命が祀られています。田心姫命は男体山の神である大己貴命の妃神にして水の神。境内を満たす大らかで優しい雰囲気、包み込むような包容力は、生命の源・水を司る女神ならではと納得です。
その六 二荒山神社神苑で、ご神水をいただく。
瀧尾神社からは再び巨木の林立する参道を歩いて二荒山神社御本社へ。仕上げに御本社隣の神苑で霊験あらたかな「二荒霊泉」に触れましょう。この泉は瀧尾神社境内奥に湧く「酒の泉」と、二荒山神社御本社背後の恒霊山に湧く「薬師霊泉」を引きこんだもの。「酒の泉」は弘法大師が汲み上げて神に捧げたもので、この水を種水として酒を仕込むと味が良くなるとされ、今も醸造家の信仰が厚いのだとか。また「薬師霊泉」は眼病に効果があるのだと古くから言われてきました。この地の自然に育まれ長い歴史の中で受け継がれてきた名水は、やわらかな味わいで滑らかな口あたり。心と体がすうっと落ち着いて、潤いが満ちてきます。心身を健やかに整えて、この夏やってくるチャンスを見逃さず願いを成就していきましょう!