出汁の美味しさにファン多数。 今、京都で大人気の日本料理店〈木山〉。洗練された旨味の秘密と魅力を尋ねました。
日本料理に欠かせない、上質な出汁。クリアで深みのある味わいを水から追求し、昨年オープンするや、たちまち評判を呼んだ御所南の新名店を訪ねました。
昨年オープンするや、たちまち評判を呼んだ御所南の新名店。
「子供の頃から、食に強い関心がありました。料理人になったのは、ごく自然な成り行きです」。そう語る木山さんが何より大切にするのは、日本料理の基礎となる出汁。満を持して自分の店を構える際、「ここは良質な水脈が湧いている」と聞いて、「水との御縁を生かした最高の出汁にしよう」と決意した。
満を持して自分の店を構える際、「ここは良質な水脈が湧いている」と聞いて、「水との御縁を生かした最高の出汁にしよう」と決意した。まろやかな超軟水を、まずは白湯でお客にふるまう。やがて出汁の準備へ。淡白なうま味のまぐろ節、鰹節は香りが鮮やかな荒節、カビ付けで風味に深みを与えた本枯節。さらにそれぞれの雄節(背側)、雌節(腹側)と、計6種もの節を用意。気候や食材などによって合わせ方を変え、強弱をつける。削り節が昆布出汁と出会い、一番出汁が完成すると、芳潤な香りがふわり。
木山流出汁のひき方
鰹節、まぐろ節を削る。作り付けの削り台で節を削る。シュッシュッと力強い音。削りたての節を試食できる。
昆布出汁に加える。2日間水出しした昆布出汁を80℃に熱し、削り節を驚くほどたっぷり、こんもりと加える。
一番出汁が誕生。1分前後置いたら、出汁漉しで漉す。作家もののガラスボウルで受けた出汁が黄金色に輝く。
最後のひとしずくまで。うま味が詰まった出汁は最後まで余さず。搾ると雑味が出るので、自然にしたたる分のみ。
出汁の味を確かめる。できたての出汁の味をすかさずチェック。出汁はお客さんにもおちょこでふるまわれる。
出汁の旨味を楽しめるお料理の数々を、お昼のコースからご紹介。
出汁は気品ある風味で余韻も豊か。
井戸水で泥を吐かせた鰻を香ばしく炭焼きに。
ウニと卵が出会い、濃密な風味。全7品10,000円
極上の出汁を楽しもう。
木山義朗/きやま・よしろう
岐阜県生まれ。地元の日本料理店勤務を経て〈和久傳〉に入社。約16年間のキャリアを通じて〈京都和久傳〉料理長も務め、昨年春に〈木山〉をオープン。
〈木山〉
■京都府京都市中京区堺町通竹屋町下ルヴェルドール御所1F
■075-256-4460
■12:00~13:30、18:00~19:30(共に最終入店)/不定休
■20席/禁煙
(Hanako1164号掲載:photo : Kunihiro Fukumori text : Aya Honjo)