アメリカのカフェにあって日本のカフェにないものは?
ケイト&ジェリー・ジャクシッチ/日本橋と明治公園の〈Parklet〉などを創業。JJは〈Chez Panisse〉、Kateは〈Tartine Bakery〉などで経験を積んだ。
みぞぶち・ゆき/〈ovgo Baker〉創業者。2021年、1号店となる路面店を小伝馬町にオープン。
雰囲気をローカライズする、USカフェトーク
カリフォルニア、サンフランシスコ、ニューヨーク。アメリカには様々なカフェカルチャーがある。その空気感を丸ごと日本に持ち込んだ2組に語ってもらった。
私は〈Bartavelle Coffee〉や〈LODGE BREAD COMPANY〉など西海岸のベーカリーカフェが好き。オープンキッチンで焼き上げる様子が見られるし、お客さんとの距離も近いです。
日本では技術にフォーカスしている店が多いよね。パンも完成度が高くて素晴らしいけれど、作る過程はなかなか見られない。西海岸はキッチンがオープンで全体的にグッとカジュアル。スタッフもシェフコートじゃなくTシャツにエプロンとかだし。お客さんと対等に繋がっている感じがする。僕は〈THE MILL〉が大好きなんだけど、Wi-Fiもなく、大きなテーブルでお客さん同士が顔を合わせる。それで自然と会話が生まれるんだよね。
そう。まるでパブリックスペースみたいで自由で気楽です。
私はもともとニューヨークのベイクショップが大好きで。中でも〈Levain Bakery〉は格別。店頭には大きなクッキーが山盛り。内装もおしゃれだし、店に行くだけで気分がアガります。また、チョイスが本当に豊富で、味はもちろん、ヴィーガンやグルテンフリーかどうかも選べる。その選択肢の多さが、多様な人が来る理由になっているのだと思いました。
日本ではヴィーガン=ヘルシーで、小さくて甘さ控えめのスイーツが多め。私は甘いものが好きなので、幅広く受け入れてもらえるヴィーガンスイーツが作りたかった。
すごく同意します。年齢も好みも、いろんな人が来られるお店が僕も理想だよ。
〈Parklet〉も、特に謳っていませんが、サワードウのパンはヴィーガンなんですよ。
ですよね。アメリカでは感覚的に、なにより「おいしい」「楽しい」「心地いい」が先にある。Kateさんが言った〝気楽さ〞が実は重要で。環境や食糧問題解決を考えることも大事ですが、そればかり先に立つと途端に難しくなる。私は小さな頃から好きだったアメリカンベイクの「楽しい! おいしい!」というバイブスを第一に伝えたくて日本で店を始めた。そんな気持ちのいい感覚を共有できるカフェがもっと増えたらうれしいです。
僕は、店内でジャズがかかるような静かな日本の喫茶店も大好きなんですよ。カフェって、いろんなタイプがある方が楽しいですよね。日本のカフェカルチャーがこれからもっと多様になったらいいなと思います。
住所:東京都新宿区霞ヶ丘町5-7 都立明治公園内A棟1F
TEL:03-6434-0577
営業時間:8:00 ~ 18:00
定休日:火水休
席数:80 席
Instagram:@meijiparkmarket
複合型フードホール〈Meiji Park Market〉に入るベーカリー。
住所:東京都中央区日本橋小伝馬町10-8
TEL:050-1502-8698
営業時間:11:00~19:00、土日祝10:00 ~ 18:00
定休日:不定休
席数:9 席
Instagram:@ovgobaker_edo.st
ヴィーガンベイクが並ぶ店内にはカフェスペースも。