本当においしい手みやげ。
やさしい甘みが自慢の〈土佐屋〉のいもようかんができるまで
東京・西巣鴨ある1938年創業の〈土佐屋〉。人気商品のいもようかんは季節やその時のトレンドに合わせ、ブレンドしているそう。おいしさのひみつを探りました。
芋の風味あふれる〈土佐屋〉の名作「いもようかん」
しっとり、そしてポクポク。芋を食べたときのほかに代えがたい幸せ。1938年創業の〈土佐屋〉では、今日も従業員の方々が朝から、お客さんの笑顔のために、ねりねりねりねり。看板メニューであり鉄板メニューである、いもようかんは、紅はるか、シルクスイート、紅あずま、安納芋の4種を、季節によって配合を調整しながらブレンドしている。サツマイモが持つ甘みをしっかりと楽しんでもらえるよう、加えるのはほんの少しの砂糖と塩。そしてお芋の香りを引き立たせる、わずかな焼きみょうばんだけだ。
毎日の仕事のスタートは、サツマイモの皮むきから。取材に訪れた日は、紅はるかとシルクスイートの2種類を、なんと合計8キロも。大変な量のサツマイモを、子どもを愛でるように丁寧に丁寧に扱い、ピーラーで皮をむいていく。
「1種類だけだと、どうしても、その芋の種類の特徴が出すぎてしまうんですね。だから2種類の芋をブレンドしています。お芋のポクポク感も大切にしながら、最近の傾向として、みなさん、しっとり感も求めていらっしゃると思うので。そのあたりの特徴を出してくれるのがシルクスイートや紅はるかです。しっとりとポクポクのバランスが、とてもいいんです」
いもようかんの担当は、ここで働いて約10年の川村恵美子さんと広井美子さんのふたり。年季の入ったミキサーで練ったあとは籠に入れ、蒸し上げるとブワッと立ち上る甘い煙に包まれる。この香りも〈土佐屋〉のいもようかんのおいしさの所以。
手みやげとして持っていく際は、ぜひ、次のように注意書きを添えたい。
「1日目は、そのまましっとりポクポクを楽しんで。2日目は、表面をちょっとだけあぶって、焼き芋風に」。
ほっくりとした歯ごたえのあとに、自然に舌になじみながら、奥行きのある甘みがじんわりと広がる。これこそまさに、〝おイモ以上のおイモ様〞。85年続く、やさしい甘みは、いつも誰かを幸せにしてきた。そして、きっとこれからも。
土佐屋
住所:東京都豊島区西巣鴨4-31-8
TEL:03-3917-7228
営業時間:11:00~16:00
定休日:日火休
HP:https://tosaya-tokyo.jimdofree.com/
都電荒川線西ヶ原四丁目駅の目の前。ほかに、みずみずしい水ようかん320円なども。