食べ始めたら手が止まらない!
〈杉戸煎餅〉の本当においしい「揚げかき餅」
「日本で昔から愛されてきた米菓の本当のおいしさを届けたい」と、創業時から、もち米を蒸す工程からすべて、自社工場で行っている〈杉戸煎餅〉。一度食べはじめたら止まらない「揚げかき餅」のおいしさの秘密を紹介します。
米の深い滋味を噛みしめるかき餅
「やめられない、止まらない」煎餅の老舗といえば、ローカルな風情が漂う東京の下町にある京成電鉄の青砥駅にほど近い〈杉戸煎餅〉。創業は1927年。かつて、この界隈は利根川水系の支流・中川から江戸に米を運んでいた穀倉地帯として知られ、煎餅づくりが盛んだった。おいしい煎餅に欠かせない原料のひとつはもちろん米であるが、現在は老舗の煎餅店でも分業化が進んでおり、米を蒸し、生地からつくる店は少なくなっている。創業時から変わらないのは、もち米を蒸す工程からすべて、店に隣接する自社工場で行うこと。手間も時間もコストもかかるが、すべては「日本で昔から愛されてきた米菓の本当のおいしさを届けるため」だ。
名物の「揚げかき餅」の味には、米と同様に油の質も大きく影響する。おかきやかきもちの原料となる「ひめのもち」は蒸すことで甘みが増し、それをスライスしたものを自然乾燥させること2~3週間。乾燥した生地を高温の油で手早く揚げるには、長年の職人の技が求められる。揚げたてに醤油をかけると、ジュッという音とともに醤油の香りが立ち上り、日本人なら思わず反応してしまうかぐわしさ。店頭で販売する前に扇風機で熱気を飛ばし、冷めたあとに袋詰めをするが、それらをほぼ手作業で行っていると聞けば、職人の手仕事によって生み出されるおいしさに、ありがたみもさらに増すというものだ。
材料はもち米とサラダ油、醤油というシンプルさながら、こんがりとした揚げかき餅を口に運べば、サクッとした軽快な食感と醤油の上品な風味にたちまち夢中になる。一番人気は「しょうゆ味」だが、ごまやあおさをまぶしたものも。ふっくら、サクッとした揚げのテクニックがより際立つ「塩味」のリピーターも多いという。老舗ゆえに長年通い続けるファンも多く、その楽しみが増えるようにと、いまでは200種以上のあられや煎餅のほか手づくりのスコーンを販売するという試みも。下町散策がてら、ふらりと昔ながらの〝口福〞を買いに出かけよう。
杉戸煎餅 (すぎとせんべい)
住所:東京都葛飾区青戸3-31-7
TEL:03-3602-3650
営業時間:10:00~18:00(土祝~17:00)
定休日:日休(HP で確認を)
HP:https://www.sugito-senbei.co.jp/
京成電鉄青砥駅から徒歩約7分。揚げおかきはほかに「塩」「胡麻」の全4種。