Hanako編集部’s note. 微生物がもたらす、奥深き世界。｜『Hanako』11月号特集「美味しいパンには、理由がある」編集後記

はじめまして。
８月発売のリニューアル第１号から編集に関わっている、北村と申します。
生まれは滋賀ですが、
かつて秋田に住んでいたことがある私にとって、「発酵」はなじみ深いものでした。

今号の特集のテーマである「パン」も、発酵によって生まれるものです。
発酵の食文化には慣れ親しんできたはずなのに、
パンの世界は、あまりにも異質で、奥深く、
この特集を担当するだけでは到底たどり着けない、面白さがありました。

私がとくに印象的だったのは、愛知のパン屋を訪れたこと。
「麹」を使うという、これまで聞いたことがないパン屋が、愛知で増えているのです。
名古屋で出会ったのが、すべてのパンに麹を使う、〈涼太郎〉の渡邉涼太郎シェフ。
発酵大国である秋田・横手の米農家の出身で、
そのルーツに裏打ちされた、麹への飽くなき探究心に、感銘を受けました。
さらに、朴訥な人柄で、今号の表紙を飾った若山和俊シェフの〈パン屋 二兎〉、
名店〈パンストック〉出身の加藤耕平シェフが営む新進気鋭の〈KISO〉、
三者三様のパン職人がいる愛知を、いつかまた訪れてみたいなと強く感じています。

私が旅先で、楽しみにしていることがあります。その土地の食と酒、温泉を堪能することです。今回をきっかけに、ご当地のパン屋を訪れるという楽しみが、ひとつ増えました。

読者のみなさんにとっても、
ワクワクする楽しみが増える、ひとつのきっかけになれば、うれしいです。