カフェを超えた場所。東長崎の新名所〈MIA MIA〉|斉藤アリスのコーヒースタンド探訪
カフェ好きで知られるモデルの斉藤アリスの連載がリニューアル!今度は「コーヒースタンド」をテーマに、気になるお店をご案内します。
池袋駅の2つ隣の駅、東長崎駅から徒歩2分のカフェ〈MIA MIA〉へやってきました。築50年ほどの古いブティックをリノベーションしたレトロな外観が印象的です。オーナーのヴォーン・アリソンさんは、メルボルン出身。日本のコーヒーカルチャーを世界に発信するライターとして10年以上活躍したのち、建築家である奥様、アリソン・理恵さんとともに2020年4月にこのお店をオープンしました。
ヴォーンさんの手招きでカウンターに通されると、そこには先客が。常連の通称ラグビーさんと、アイルランドからの留学生・通称PJさん。ヴォーンさんに促されるまま、お互いに自己紹介をして、コーヒーができる頃にはすっかり仲良しに。次々にやってくるお客さんを「ひさしぶり!」「こっちおいで!」とどんどん巻き込んでいき、気がついたら店内みんな兄弟状態に。恐るべし!ヴォーンさんのパワー。
まずは朝ごはんにコーヒーとトーストを注文。「ベジマイト食べたことある?オーストラリアの家庭に必ずある、僕の故郷の味だよ」とヴォーンさん。ベジマイトとは、イースト菌抽出物や麦芽エキスでつくられた発酵食品のこと。オーストラリアの国民食と聞き、私もトライしてみることに。味は日本でいう…味噌のような感じかな?大根にも合いそうです。
食後には、アイスクリーム・サンドイッチとカフェラテを。MIA MIAのオリジナルレシピで参宮橋〈FLOTO〉が作るアイスクリーム・サンドイッチは、塩キャラメルアイスをザクザク生地のアンザックビスケットで挟んでいます。大きな口でやっとかぶりつける厚み。自然な甘さで朝ごはんにもなりそう。カフェラテには〈KOFFEE MAMEYA〉のオリジナルブレンドを使用。ヴォーンさんの大好きが詰まったメニューはどれも丁寧なおいしさです。
MIA MIAではイベントの開催にも力を入れています。世界のバリスタさんを招いてスペシャルメニューを提供したり、不定期で音楽ライブの開催も。「MIA MIAをきっかけに、東長崎を元気にしたいです。もっと色々な楽しいお店が増えて、活気あふれる街にすることが私の目標です」とヴォーンさん。那須塩原市のカフェ〈SHOZO COFFEE〉の菊地省三さんや、川口市のカフェ〈senkiya〉の高橋秀之さんのように、人の集まる街づくりこそが目標だと話してくれました。実際にMIA MIAの3軒隣にあるイタリアンレストラン〈Cadota〉は、カフェの常連さんがオープンしたお店なんだそうです。ヴォーンさんを中心にいま東長崎はどんどん活気づいています。
カフェの運営だけでなく、自身の敬愛するコーヒーショップとコラボした雑貨ブランド〈COFFEE TIME WITH VAUGHAN(コーヒータイムウィズヴォーン)〉も手掛けるヴォーンさん。犬がコーヒーを淹れているイラストを指差して「これは私だよ」と教えてくれました。「たしかに似てる〜!」と盛り上がっていると、「ほっかむり似合うよ」と頭に巻いてくれました。
次々に人がやってくるMIA MIA。近所の人、地方から遊びにきた人、海外からの旅行者など、実に様々な客層です。そして取材も終盤に差し掛かった頃、「タケノコ持ってきたよ〜」と、近所の安藤さん登場。間髪入れずに「たけのこニョッキッキ!」と、ヴォーンさん。コミュ力が高すぎます。街で人と人がつながっていく、その中心にカフェがあることを体現している場所でした。水曜日の朝6時55分からはラジオ体操の開催も。