沖縄をぶらり。食べて歩いて恋をして? (前編) |花井悠希の「この街この駅このパン屋」 FOOD 2023.05.04

ヴァイオリニストの花井悠希さんがお届けする、新しいカタチのパン連載。1つの駅、1つの街にフォーカスを当て、ここでしか出会えないパン屋さんを見つけていきます。

GWに入りました。今年は賑やかになりそうな予感!?私はというと、先日久しぶりに(10年ぶりくらい!)沖縄へ行ってきました。以前、行ったときと年齢はもちろん、趣味趣向も幾分か大人になって(!?)訪れてみると、これまでとは違った視点で楽しめるもので。趣味が近い友人とひたすら巡ったのは沖縄の食器“やちむん”のお店とパン。もちろんバッグにはHanako4月号がスタンバイ。沖縄の風土や気候、文化を色濃く深めた沖縄のパンたちは、アンパンマンが分けてくれるあんぱんのように(もらったことないけれど)、食べれば力がみなぎってくるようなエネルギーに満ちていました。

今回の街…沖縄本島中部

中部エリアを中心にお散歩したりドライブしたりしていると感じるのが、色彩豊かでどの景色もエネルギーに満ちているなということと、街ごとに個性がはっきりしているなということ。普段ならお花屋さんでしか見られないような植物が自生していたり、歴史を感じる建物が現れたり、広大な米軍基地がすぐそばにあったり、開放感溢れる海沿いだったりと場所によって異なる街のカラーを肌で感じることができました。

1軒目:〈PLOUGHMAN'S LUNCH BAKERY〉

車で坂道を上がり、さらに徒歩でしか行けない階段を登ると〈PLOUGHMAN'S LUNCH BAKERY〉に到着です。緑豊かなテラス席の向こう側には海が見え、街を見渡せる開放的な景色はまさに楽園。店内に入れば落ち着いた照明の中レコードがかかり、心地よく穏やかな時間が流れています。聞くとコンサートなども開催されているそう。パン×音楽だなんて最高じゃないか!夢が膨らみます。サンドイッチプレートのランチをいただきました。

写真手前「生ハム、ブルーチーズ、ドライいちじくのサンド」。シェアすることを伝えたら2種盛のワンプレートにしてくださいました。お心遣いにきゅん。セットのスープは人参とトマトのポタージュ。なめらかな口当たりにトマトの旨みが弾けてイタリアンな趣。
写真手前「生ハム、ブルーチーズ、ドライいちじくのサンド」。シェアすることを伝えたら2種盛のワンプレートにしてくださいました。お心遣いにきゅん。セットのスープは人参とトマトのポタージュ。なめらかな口当たりにトマトの旨みが弾けてイタリアンな趣。

こちらのサンドイッチで使われているのは胡桃のパンとのこと。近づくだけで湧き上がってくる胡桃の香ばしさと小麦の力強い香りに一嗅(ひとかぎ)惚れです(※造語です)。温めて提供してくださるパンの表面はカリッとエッジが立ち、口に含めば香ばしさは滋味深くさらなる高みへ。
パンに塗られた柔らかなブルーチーズクリームは、ツンと来ずとも香りはしっかり。塩気が控えめでまろやかなコクと香りが前に出ているのかな?ブルーチーズと一緒に混ぜられたクリームチーズの酸味も感じられ爽やかさがあります。シルキーな柔らかさでパンに寄り添う生ハムが塩気と脂味を滲ませれば胡桃がその間を跳ね、ドライイチジクはぷちぷちとした果実感で甘じょっぱいを表現する。こんなにブルーチーズを軽やかに楽しんでいいんですか(興奮)!?

「県産アグーソーセージのホットドッグ」
「県産アグーソーセージのホットドッグ」

こちらはオリーブが練りこまれたパンに、大ぶりなソーセージがどーんとのっかりなんとも食欲をそそるルックスです。パンはしっとり、もちもち。丁寧に焼かれたソーセージは香ばしく、ほくっと柔らかくてしかもジューシー。塩味がきつすぎず甘みが感じられるので、脂がこんなにはじけてもジャンキーな刺激ではなく、瑞々しく穏やかな印象なのです。
もしかしてソーセージの上に添えられた自家製セミドライトマトも一役かっているのかも。オレガノ、ディル、ガーリックの香りにセミドライのトマトの果実感、ハニーマスタードの甘酸っぱさも加わり、シンプルなホットドッグという料理のはずがオンリーワンな魅力を放っています。添えられたレモンを絞るとますます爽やかな風が吹き抜けますよ。ぜひお忘れなく!

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