昭和の香り漂うガード下の名店。 高架下のおいしい名店たち!日比谷で話題の寿司屋&老舗喫茶店が長年愛されるワケ。
昭和の香り漂う、ガード下の名店。背筋を伸ばすのに疲れたら、そんな場所で一息つくのはいかが?そんなほっとひと息つける街、日比谷・有楽町エリアで長年愛され続けている名店がある。今回は二軒の名店をピックアップ、そのワケ(魅力)をお届け。
ガード下には、密かな楽しみがある。〈鮨大前〉
日比谷の高架下にある〈鮨大前〉。ときおり、ゴトンゴトンと電車の音がする店内は9席と小さいが、予約が絶えない人気店だ。カウンターで腕を振るうのは、代々鮨屋を営む3代目の大前守さん(写真右)と、息子で4代目の大前欽尉さん(写真左)。
鮨屋としては珍しく、ここでは鯖などの光り物をメインに刺身や鮨を提供している。「築地が近いので、足の早い青魚こそ、おいしく食べてもらいたい。鯖ひとつとっても、季節や産地によって味わいが全く異なるんですよ」と欽尉さん。
さらにうれしいのはお酒の持ち込み料がかからないという大らかさ。お客さん同士が、「ちょっと味見してくださいよ」と、お酒をきっかけに仲良くなることも多いという。守さん、欽尉さんの気さくな人柄もあいまって、新鮮なお魚と、居合わせた人同士でのおしゃべり、両方を楽しめる。
たまにはひとりになりたい。深入りされない心地よさ。〈純喫茶ローヤル〉
東京交通会館の地下1階にあり、40年以上変わらず純喫茶好きの心を掴んで離さないのが〈純喫茶ローヤル〉だ。落ち着いた色合いのベルベットの椅子と太い仕切りのロープ、天井のあちこちに飾られた照明や鏡がレトロな雰囲気を醸し出し、ここの特徴ともいえる渋めのウェイターさんがさっとオーダーを受けに来てくれる。
サクサクの焼け具合の分厚いトーストにゆで卵、ドレッシングがかかったサラダが添えられたちょうどいいモーニングは、押し付けがましくなく付かず離れずの距離感を保ってくれるウェイターさんと同じぐらい程よい感じが心地いい。この店はまるで時間の流れがほかと違うようで、リアルな昭和の雰囲気そのものだ。喫煙もOKなのでモクモクとタバコをふかしながら新聞を大きく広げるサラリーマンの姿も所々に見えて、それがまた昭和感を醸し出す。
街のザワザワしたにぎやかな感じに疲れたら、ここにそっと立ち寄って、自分を取り戻せる。この店にはそんな力が存在している。