憧れの喫茶デビューはここ! フォトジェニックなクリームソーダに、シェフ仕込みのカレー。喫茶店の魅力が詰まった3軒
純喫茶に行ってみたい!そんなあなたにまずおすすめしたい、懐かしのフォトジェニックスイーツにシェフ仕込みの洋食、美しい器…喫茶店の魅力が詰まった3軒をご紹介します。
1.’70年代の記憶を集めた、初めてでも懐かしい場所〈喫茶ネグラ〉/下北沢
天井にはレアなナショナルのランプシェードが光を灯す。
扉を開けると、まるでおばあちゃん家に来たかのような既視感に包まれる。店主は美大生時代から1960〜70年代の世界観が好きだったという古谷愛実さん。
原点は「母が使っていた昭和40年代のナルミ製の花柄食器。もともと喫茶店も好きだったので、自分の好きなものを合わせたレトロ喫茶をやってみたくて」。
昭和30~40年代に流行したマグは店の愛用品の一つ。
同時代のポップな絵柄の食器を蒐集し、家具は古道具店を回ってそろえた。
一人掛けソファもいい雰囲気。
傍らには惜しまれつつ閉店した下北沢の名物パン店〈アンゼリカ〉の備品や、近隣の美容院から譲られたレトロなヘアカーラーなど街の思い出も飾られる。
クリームソーダやナポリタン、ホットドッグなど昔ながらの喫茶店メニューが中心で、花柄のグラスで出されるのは麦茶、と芸が細かい。
自家製トマトソースで作るナポリタンも自信作。スープ・サラダ付き1,050円。
古谷さんが表現する昭和愛は、懐かしくのどかで、何とも居心地がいい。
2.花柄のカップが時代をつなぐ〈CAFÉ ILE〉/蔵前
マーブルの天板のテーブルや重厚な木製イスなど、家具も内装も1970年代末の時代感が詰まった〈カフェ イル〉。
間仕切りの意匠も昔のまま。
蔵前で37年間営業した喫茶店を、若き店主・多田佳織さんがほぼ“居抜き”で引き継いだ。「物件を探していた時、閉店予定だったこの店に出会い、昭和の雰囲気に一目惚れしました。直火式のサイフォンも花柄のカップ&ソーサーも、前店主から譲り受けたんですよ」と多田さん。
約40年愛用されるカップは青と赤の2色。コーヒーはサイフォンで。
シェフである旦那様が作る料理が評判を呼び、ランチタイムは大盛況。
“街に愛される喫茶店”の系譜が、見事に受け継がれている。
3.本格派の味わいと気軽さと。銀座で希少な懐の深い店〈310.COFFEE〉/銀座
店奥にはガラス張りの焙煎室が。
〈宮越屋珈琲〉で腕を磨いた佐藤由希絵さんの真骨頂は、自家焙煎した豆を一滴入魂で淹れるネルドリップコーヒー。艶やかな一杯をヘレンドやアウガルテンなど名窯のカップ&ソーサーで出してくれる。
棚にはヘレンドやマイセンなど美しい器が並ぶ。
孤高の珈琲専門店かと思いきや、「目指すのはあくまで喫茶店。店名の310は、私の名前のほかに“サテン”の意味もあるんです」。だからこそウマいカレーやナポリタンなどなじみのフードメニューがそろい、お腹もしっかり満たす。
ハムチーズトースト&生絞りオレンジジュースも人気のメニュー。セット1,600円。
「喫茶店はお客さんのパワースポットでありたい」と佐藤さん。常連の多さが店の吸引力を物語る。
(Hanako1150号掲載/photo : Satoshi Nagare text : Yoko Fujimori)