贅沢アレンジトーストなど、おいしい食べ方も必見。 感動の口どけ。人気ベーカリー〈ブーランジェリー スドウ〉の〝幻の食パン〞を大解剖!
予約しないと手に入らないという、〈ブーランジェリー スドウ〉の幻の食パン。一度は食べたいと思わせる、おいしさの理由を探ります!
1カ月待ちの〈スドウ〉。幻の食パンの魅力とは?
朝9時50分。オーブンから出たばかりの食パンが、ぞくぞくと運ばれてくる。店内は香ばしい香りに包まれていき、お客さんの視線は一気に食パンへ集中。
けれどこの食パン、どれもすでに売約済み。1カ月も前から予約しないと買えない〝幻の食パン〞として知られているのだ。その人気の秘密を、シェフの須藤枝里子さんに聞いてみると……。
「うちの食パンはいたってシンプル。角食も山食も生地は同じで、特別な小麦を使っているわけではないんです。ただ、鮮度にはこだわっています。酵母はジャガイモとリンゴ、米麹とホップを合わせた自家製。沖縄のシママースと北海道産無塩発酵バターにグラニュー糖を少し。素材も製法も昔と変わっていないんですよ」
しっとり口どけ良く仕上がるよう、生地は水分量が多め。形にしづらく扱いも難しいため、須藤夫妻にしか作れない。そのため、2009年のオープン以来、一度も休むことなく、食パンを作り続けてきたそう。
「パンは生き物。だから目が離せないんです」。そう言って、枝里子さんは厨房へと戻っていったのだった。
須藤さんのお宅では、お店が定休日の日だけ、自宅で食パンを食べる。スドウ家のおいしい食べ方は、ちょっと贅沢な「山食1斤を3枚切りにした〝超〞厚切りバナナトースト」。作り方は簡単。トーストした山食に、北海道産の無塩発酵バターを厚く切ってのせ、さらにバナナの薄切りをのせて、上からメープルシロップをたっぷりかければできあがり。
待ちに待って手に入れた食パンだから、カロリーなんて気にせず、贅沢に。当日はそのままで、翌日からはトーストして。焼きすぎないよう、さっと高温で焼くのがコツだとか。
「食パンはそのお店の味を表すもの。炊きたてのごはんと一緒で、焼きたては味が全然違います。焼いた日の食パンを、まずはそのまま味わってみてほしいですね」
サクッとした食感と口どけの良さが人気の山食。
山食は、型に入れて焼く時ふたをしないため、ふんわりと山のような形に焼き上がることからそう呼ばれる。
生地に気泡を多く含んでいるため、トーストするとサクッと軽い歯触りに。密度の詰まった角食と違い、〈スドウ〉の山食は、何より口どけの良さが抜群!「世田山食パン」1本(2斤分)700円は、贅沢に厚切りにして、口どけを味わいたい。
もっちりと、きめの細かいやわらかさにファンが多い角食。
角食は、型にふたをして焼くため、密度が高くなり、生地はもちもちっとした仕上がりに。
耳はしっかり、生地はやわらかく。その2つがバランス良く共存しているのが、〈スドウ〉の角食。きめ細やかで、しっとりとした口当たりの角食は、特に日本で人気が高い。買った当日は、そのままで食感を堪能して。
〈ブーランジェリー スドウ〉
東急世田谷線「松陰神社前」駅からすぐ。朝9時のオープンと同時に、甘いデニッシュやボリューム満点のお惣菜系パン、ハード系まで美しいパンが所狭しと並ぶ。行列ができるほどの人気店のため、平日でも午後には売り切れることも多く、早めの来店がオススメ。一番人気の食パンは、朝9時50分と夕方17時30分、1日2回焼き上がる。角食、山食ともに合計88斤分は予約で完売するため、電話と店頭で事前に予約を受け付けている。
■東京都世田谷区世田谷4-3-14
■03-5426-0175
■10:00~19:00 日月休(火不定休あり)
■4席(外にベンチあり)/禁煙
(Hanako特別編集『おいしいパンのこと、すべて。』掲載/photo:Jiro Fujita(photopicnic), Akiko Mizuno text:Kayo Yabushita edit:Wako Kawashiro)