日本屈指の人気! 現代作家がつくる酒器|伊藤 環、野口悦士、菊地大護ほか14選

日本屈指の人気! 現代作家がつくる酒器|伊藤 環、野口悦士、菊地大護ほか14選
日本屈指の人気! 現代作家がつくる酒器|伊藤 環、野口悦士、菊地大護ほか14選
CULTURE 2025.11.17
お酒の香りと味わいを引き立て、豊かな余韻を生み出す器が欲しい。たとえば酒好きの陶芸家が作る吞みやすい酒器、ガラス作家の技とセンスに見惚れるグラス、素材も個性もさまざまな片口など、美しさでも酔わせてくれる一生ものの酒器を紹介。
photo_Satoshi Yamaguchi styling_Yumi Nakata text_Masae Wako

酒器セット

注ぐ器と飲む杯。人気の作家ものをセットで揃えれば、ふだんの一献がもっとうれしくなる。徳利は注ぎ口の水切れのよさ、猪口や盃は口あたりのよさが、選ぶ時の決め手。特に焼きものの酒器は、使えば使うほど風合いや色に変化が出て、愛着がわくこと間違いなし。

伊藤 環

伊藤 環の酒器セット
右から、デルフト杯8,800円、ぐい呑5,500円、錆銀彩須恵型注器H17.5㎝ 44,000円(全て参考価格/皓 SIROI @siroi___)。

料理のプロにもファンの多い岡山の人気陶芸家。古物のように味わい深い注器の形は、千年以上昔の日本で作られていた須恵器(すえき)を写したもの。軽くて持ちやすく、水切れも抜群。11月29日より〈皓 SIROI〉で個展。

野口悦士と矢野直人の酒器セット
左から、野口悦士の角徳利H20.5㎝ 16,500円、盃各4,950円(KYO AMAHARE 075-256-3280)、矢野直人の白瓷(はくじ)徳利H10.1㎝ 19,800円、白瓷ぐい呑H4.5㎝ 11,000円(全て共箱付き/宙 SORA 03-3791-4334)。

野口悦士

表情豊かな土肌とモダンなデザインが融合した灰白(かいはく)シリーズの徳利は、日本酒デビューしたい人にもぴったり。極薄の注ぎ口は、一滴の液垂れもないほど水切れよし。種子島で作陶を始め、中里隆に師事。現在は鹿児島とデンマークを往来しながら作陶する。

矢野直人

薪の窯で焼いた磁肌の美しさは随一。400年以上前から良質な酒器を生み続けてきた焼きものの里、佐賀県唐津市の作り手だ。17世紀半ばまでの古い唐津焼を手本とし、唐津や有田で砂岩を採取。土作りや釉薬作りも一人で行っている。

ガラス

酒本来の繊細な味や香りを邪魔しないのが、ガラスの酒器。口が広い形や高さのあるタンブラー型は炭酸系に合い、脚付きグラスなら手の熱が伝わりづらく、冷たいまま味わえる。ウイスキーやリキュール、冷酒など、さまざまに楽しめる小さめグラスも最近の流行だ。

蠣﨑マコト

蠣﨑マコトのガラス
H9~13.4㎝ 左から、14,300円、9,900円、11,000円、11,000円(GALLERY KNOT @galleryknot)。11月15日より横浜の〈Casaさかのうえ〉で個展。

香川県に工房を構える人気作家。個展のたびに即完売するグラスは、宙吹きで作る直線的なフォルムと飲み口の心地よさが出色。毎日ラフに使える丈夫さと、手仕事ならではの特別感を味わえる。

菊地大護、廣島晴弥、谷口 嘉のガラス
左から、菊地大護のウイスキーなどを入れるスキットル。金具は真鍮。skittle hip flask H17㎝24,200円、ロックグラスdaikei H7.6㎝ 5,500円(菊地大護 @daigo_glass)、廣島晴弥のステムサケグラス チェックH8㎝ 7,150円、リキュールグラス レイヤーH15㎝8,800円(好日用品店 076-255-6998)、谷口 嘉の金縁九角盃H7㎝ 13,200円(谷口嘉 @taniguchi_yoshimi)。

菊地大護

ほんのりピンクに染まった薄手の宙吹きガラスは、富山で活動する注目の若手によるもの。ピーター・アイビーに師事した確かな技術をもとに、端正かつ色気のある器を作る。

廣島晴弥

バーで使われるカクテルグラスに憧れて、酒器を作り始めた金沢のカットガラス作家。ひと目ぼれ必至の美しいグラスは、透明度の高いバー仕様のガラス生地にカットを施し、一点ずつ手で磨き上げている。

谷口 嘉

細かな凹凸のあるコンクリートの型にガラスを吹き込んで、アンティークのように繊細な器を作る神奈川県の作り手。表面にわずかなゆらぎが生まれるため、酒を入れた時の姿がうっとりするほど美しい。縁の断面に金彩を施した盃は上から見ると9角形。底の部分が重く安定感もある。

片口

日本酒はもちろん、ワインのデキャンタとしても使える片口。冷酒なら、片口に移すことで温度がゆるやかに変わり、香りも開きやすい。使い勝手のよさに加え、注ぎ口がちょこんとついた形もまた魅力。「好きな作家の器を買うなら、まず片口」という人も少なくない。

岩本忠美、大和田友香、中里花子の片口
左から、岩本忠美の片口H9.2㎝ 33,000円(宙SORA 03-3791-4334)、大和田友香の月下釉片口H6.3㎝ 4,400円(AELU 03-6479-1434)、中里花子のShinogi Katakuchi|white H8.5㎝13,200円(夏至 026-237-2367)。

岩本忠美

三重県に工房を構える木工作家。思わず手に取りたくなるフォルムは、ロクロを使わず、ヒノキを刳(く)り抜いて作ったもの。削り跡が残る木地を漆でマットに仕上げている。日々使うことで漆が優しい光沢を帯びていくのもうれしい。簡素な注ぎ口は液だれナシ。

大和田友香

北欧ヴィンテージのような半磁器の片口は、茨城県にアトリエをもつ陶芸家の作。特徴は、手になじみやすいふっくらしたフォルムとなめらかな手触り、そして「月下」と名付けられた釉薬のグラデーション。静かな色合いは、月明かりに照らされた景色を思わせる。

中里花子

唐津焼の窯元に生まれ、現在はアメリカと唐津を拠点に活躍中。センスのよさと元アスリートだという身体能力の高さとが、器の美しいシルエットを生み出している。しのぎ(鎬)の入った真っ白な酒器は、和の食卓にも洋のテーブルにもよく似合う。

伴 哲生、志村和晃、崔 在皓、安藤雅信の片口
左から、伴 哲生の錫 片口H9.5㎝ 15,400円(うつわ楓 03-3402-8110)、志村和晃の染付鳳凰文片口H7.7㎝ 7,480円(AELU)、崔 在皓の白磁人形付片口H6 ㎝11,000円(日々 03-3571-0520)、安藤雅信の内青白艶釉外泥釉細長片口LM H10.7㎝ 13,200円(ギャルリももぐさ 0572-21-3368)。

伴 哲生

水や酒がまろやかになるともいわれ、古くから酒器として使われてきた素材、錫(すず)。その錫の板を叩き、ゆらぎや擦れも取り入れた器を生み出している奈良県生駒市の金属作家。手に取るとしっとりなめらかで、注ぎ口のキレもいい。熱伝導がよいのでひや酒や冷酒に。

志村和晃

灰色がかった磁肌に素朴な文様が描かれた染め付けの作り手は、京都、石川、栃木の益子で修業した後、千葉県に窯を築いた陶芸家。九谷焼の名匠・正木春蔵に師事していたこともあり、古物にも通じる「濃(だ)み(輪郭線の中をブルーの呉須で濃淡をつけて塗る)」の技が見事。

崔 在皓

片口の中央に磁器製の小さな人形がぽつん。使うたびに心も頬もゆるんでしまう。そんな器を作っているのは韓国・釜山(プサン)出身の白磁作家。朝鮮陶磁の作家に師事した後、現在は山口県に工房を構えている。李朝白磁を思わせる温かな白とすっきり端正な形が魅力的。

安藤雅信

現代作家の器ブームを牽引し続ける、岐阜県多治見の陶作家。彫刻のように美しい形を引き立てるのは、柔らかなムラのある泥釉。器胎とは異なる泥を重ねることで、豊かな質感を生み出した。注ぎ口の水切れも抜群。まさに一生モノ。

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