圧倒的な幻想空間で夏の思い出を。【ホテル雅叙園東京 和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~】

圧倒的な幻想空間で夏の思い出を。【ホテル雅叙園東京 和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~】
圧倒的な幻想空間で夏の思い出を。【ホテル雅叙園東京 和のあかり×百段階段2024 ~妖美なおとぎばなし~】
CULTURE 2024.08.09
2015年の第一回開催から多くの来場者が訪れる〈ホテル雅叙園東京〉夏の人気アート展が、2024年も絶賛開催中。東京都指定有形文化財《百段階段》を舞台に、今回の展示では妖しく美しい“おとぎばなし”をテーマにした五感で楽しむ夏のひとときを演出しています。

アート作品、音楽、香り…幻想的な空間に誘う、夏の風物詩

豪華絢爛な美人画や花鳥画などの壁画に、細微な浮き彫り彫刻、黒塗に映える螺鈿(らでん)細工の装飾美。日本美のミュージアムホテルとも言われる〈ホテル雅叙園東京〉では90年以上の伝統を受け継ぎ、約2,500点もの日本画や美術工芸品で館内を彩っています。まるで美術館のような佇まいのホテルで、一度は訪れたい夏の風物詩といえば「和のあかり×百段階段」です。

そもそも文化財百段階段」とは、ホテルの前身の料亭〈目黒雅叙園〉の3号館として、1935年に建てられた、館内に現存する唯一の木造建築。螺鈿細工(らてんざいく)、金銀漆箔(きんぎんしっぱく)などできらびやかに飾り立て、食事を愉しみ、晴れやかな宴が行われたという7つの部屋を、高低差16メートル全99段の長い階段廊下で繋いでいます。装飾の破格な豪華さに“昭和の竜宮城”と呼ばれており、各部屋の天井や欄間には当時の著名な画家たちが創り上げた作品も描かれています。

ホテル雅叙園東京 百段階段
ホテル雅叙園東京 百段階段 天井画

この歴史ある文化財建築を舞台に、毎年さまざまなテーマで、ジャンルにとらわれないアート作品伝統工芸などを集めた展示を開催。2024年の夏は、目で見て作品を楽しむだけでなく、音楽香りからも幻想的な世界へと引き込んでくれる展示を行っていると聞き、没入型の空間アートが広がっているのか、ハナコラボ パートナーたちと一緒に訪れました。

7つの間が織りなす、妖美なおとぎばなしの世界へ!

今回は、幻の旅亭「雅楼」の架空物語として、竹取物語や葛の葉伝説、天女の羽衣など古くから語り継がれるおとぎばなしをストーリーテーマにしながら、7つの部屋ごとの様式美の特徴をいかした展示構成に。ホテルの正面入り口の左手すぐ、ギャラリーへと続くエレベーターに早速乗り込みます。

エレベーターを降りエントランスホールから暖簾をくぐった先には、おとぎばなしの始まりとして「雅楼」の玄関口が現れます。そこには、籠染灯籠に照らされながら、夏の音を感じさせる小田原風鈴の澄んだ音に耳をすませる猫たちがちらほら。

造形作家・人形師の、よねやまりゅう作「猫魔」が妖しくお出迎え。真ん中には「雅楼」で見つかったとされる巻物が。

1. 十畝(じっぽ)の間

玄関口から更に奥へ進み、文化財「百段階段」をあがって現れる最初の間は、竹取物語をテーマにした重厚な部屋。物語に合わせ、雅楽に用いられる古楽器と合唱を組み合わせたオリジナルのサウンドトラックも静かに流れます。竹林のように無数に伸びる竹灯籠は、本当にかぐや姫を見つけられるような、温かく優しいあかりを灯していました。

「駄bamboo」による60本もの竹灯籠は、宮崎の放置竹林を再利用。まさに手仕事によるアート作品。
天井には23面の襖仕立ての鏡板に、荒木十畝による四季の花鳥画が描かれている。

2. 漁樵(ぎょしょう)の間

「十畝の間」と雰囲気が変わり、純金箔などで仕上げられた室内に、樹齢約300年の巨木柱に深く彫り込まれた極彩色の彫刻などの作品が映える「漁樵の間」。絢爛豪華な部屋では、陰陽師として知られる安倍晴明の母の物語『葛の葉伝説』の一場面を表現。我が子を置いて立ち去らなければならない母が、悲しみの句を障子に綴る情景が映し出されています。

実際の歌舞伎や演劇舞台で使われていた大道具や衣装で制作した展示に。

3. 草丘(そうきゅう)の間

ここでのテーマは、川の上流にある竜門を昇りきった魚だけが龍になるという“登龍門”伝説。切り絵で作られた紙にしきごいの群れが滝を登る様子を、いけ花でダイナミックに表現。その先に待ち構える、全長約4メートルの大きな龍の水墨画は必見です。

空間を優雅に泳ぐのは〈DI Palette〉による紙にしきごい。一枚の紙を切り絵加工し、立体化する芸術品。

4. 静水(せいすい)の間

文化財「百段階段」の50段を過ぎたあたりの「静水の間」では、おとぎばなしに登場する生きものたちにフォーカス。ガラス細工、切り絵、日本画、レジンアートなどさまざまな技法で作品を表現した現代作家による展示空間が広がります。

3人の作家による共同作品もユニーク。小黒アリサ×四代田辺竹雲斎×田島周五『猫包籃(びょうほうらん)のものがたり』

5. 星光(せいこう)の間

「静水の間」の奥にある「星光の間」は、鬼、河童、天狗など日本の妖怪伝説を彷彿とさせる空間。異界の物が集う間で、本当の悪とは何か、善と悪の境目を知る物語として描かれています。

6. 清方(きよかた)の間

美人画の大家で、近代日本画の巨匠・鏑木清方(かぶらき きよかた)が欄間絵や天井画を手掛けた茶室風の部屋では、日本各地の伝統工芸品を展示。おとぎばなし「見るなの花座敷」の物語は「希莉光(きりこ)あかり」によって静かに映し出され、九谷焼(くたにやき)と江戸ガラスを融合させた「九谷ガラス」や創作水引など、現代風にアレンジをしながら古き良き美しさを伝承する作品にも触れてみて。

岡山・倉敷美観地区で夏のお盆の時期に吊されるという手作りの切子灯篭「希莉光あかり」。

7. 頂上の間

文化財「百段階段」を登りきった最後の間では、天女の羽衣の物語になぞらえた照明の世界に包み込まれます。まるで天女を迎えに行くように天まで伸びるオブジェに、作家自ら畑で育てた植物を使って小さなあかりを無数に灯す幻想的空間に目が離せません。

ほかにも、ほおずきや唐辛子など身近な植物で作られた照明が、仄かに灯っている。

最後は、ミュージアムショップで夏の思い出を持ち帰ろう

エントランス横には、展示の世界観をそのまま再現したようなミュージアムショップも併設。それぞれの部屋で出合った作家たちの作品購入ほか、実際に流れていたオリジナルサウンドトラックやアロマなどもそろいます。ひとときの夏の思い出をそのまま手土産にできるとあり、ハナコラボのメンバーたちも夢中でショッピングを楽しんでしました。

日本の芸術が美しい伝統建築とともに織りなす美しい空間。光と音、香りと、全身で味わえる妖美な非日常空間に足を運び、素敵な夏の思い出を作りませんか?

「和のあかり×百段階段2024 〜妖美なおとぎばなし〜」
loading="eager"

会場:ホテル雅叙園東京 東京都指定有形文化財「百段階段」
開催期間:〜9月23日(月・休)
時間:11:00〜18:00(8/17は17:00まで)
料金:一般1,600円、大学・高校生1,000円、小・中学生800円

photo_Chau Ho Tin text_Ami Hanashima

Videos

Pick Up