大木亜希子さんのおすすめ 『 ケムリが目にしみる 』
MAX5巻!一気読みできるマンガ#2
CULTURE 2023.07.19
「絶対面白いのだけど巻数が多すぎて薦めづらい」漫画ってありますよね。そこで1日で一気読みできる「MAX5巻までの作品」を各界の漫画好きがリコメンド。夜や週末の予定が空いたときなどぜひ。
生きることに悩むすべての人に贈る、“自分らしさ”の見つけ方。
『ケムリが目にしみる』は、作者の飯田ヨネ先生と仕事でご一緒した際に出会った作品。かわいらしい女性が、タバコを吸って気だるそうにしている表紙は印象的ですよね。
IT企業で働く葉山かすみは、職場で心が晴れないときは、タバコを吸って一息つくのがお決まり。でも、女性の喫煙は敬遠される時代だから周囲には秘密。それなのに、同僚の牧村にバレてしまいます。周囲に溶け込もうと愛想笑いをするかすみと、思ったことははっきり言う牧村。2人はぶつかりあいながら、距離を縮めていきます。
私自身、会社員時代は「女性がいたほうがいい」と自ら思い込み、行きたくない飲み会に参加するなど、生きづらさを感じていました。かすみも、周囲の思う女性らしさに疑問をもちながら、答えの出ない状況が続いている。苦しんでいるのは私だけじゃないんだなと思いましたね。
注目は、やはりかすみの成長。牧村に影響されて見た目から変えてみるものの、「誰かの真似みたい」と言われて傷つく場面があります。だとすれば、本当の自分らしさとは何なのか? 彼女の模索する姿には元気をもらえます。
一方で、男性ならではの生きづらさも見どころの一つ。会社員時代に男性から言われ嫌だと思ったことはあったけど、自分も男性に対して「女性にごはんをおごるべき」とフィルターをかけていたのかもしれない。社会を問題視する前に、お互いが価値観をアップデートしていかなければいけないと、自分を見つめ直すきっかけになりました。