いいね!は社会の映し鏡。 カルチャー発ソーシャル行 Meet #12/
坂本龍一と宇多田ヒカルの「Merry Christmas Mr.Lawrence」
映画、小説、音楽、ドキュメンタリー…あらゆるカルチャーにはその時代の空気や変化が反映されています。そんな「社会の写し鏡」ともいえる、秀逸な作品を編集部Sが紹介。
「Merry Christmas Mr.Lawrence」+「40代はいろいろ」
大島渚監督の映画『戦場のメリークリスマス』が公開されて今年で40年。この作品の良さは語り尽くされているので割愛、いや、一つだけ言うとしたら、ビートたけしや坂本龍一などプロの俳優でない人が作品世界に与えたノイズだろうか。「その人がそのままそこに立っている」ありように私は惹かれることが多い。そしてやっぱり主題曲「Merry Christmas Mr.Lawrence」の強度。いつ聴いてもハッとさせられる力がある。
「Merry Christmas Mr.Lawrence」 1942年、戦時中のジャワ島、日本軍の捕虜収容所。イギリス人捕虜と日本陸軍との交流を描く。坂本龍一は映画音楽に加え、俳優としても参加している。4K修復版が全国で順次公開中。公式サイト
当然、この曲は多くのアーティストにカバーされているが、中でも出色は宇多田ヒカルによるもの。なんと、歌詞がつけられているのだ。いつもスナックで歌詞のないこの曲を「♪トゥルルル、トゥルルルル、トゥルルルルル~♪」とハミングで歌っていた私は(それでもこの曲を歌いたいのです)、デンモクに宇多田ヒカルverが入っていることに狂喜し、さっそく歌ってみた。が、英語詞+詰めに詰められた言葉数のため激ムズの曲になっており、以来二度と歌っていない。そんな彼女がアルバム『40代はいろいろ』をリリース。収録曲は2曲で、「First Love」ももちろんよいのだが、伊英日、3カ国語の歌詞をmixした「Rule(君に夢中)」の「どこにも与しないし、くくられたくもない」とでも言っているような彼女の孤高の精神に胸を打たれた。坂本龍一と宇多田ヒカル。同時代を生きられてよかったとつとに思う。
『40代はいろいろ』 宇多田ヒカルが自身の誕生日、1月19日に開催した配信イベント「40代はいろいろ」で披露した「First Love」、「Rule(君に夢中)」のライブ音源を収録。各配信サイトなどで配信中。公式サイト
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