新型コロナを封じ込めた台湾。 台湾が新型コロナウイルスを防げた理由とは?指揮にあたった陳大臣に直撃インタビュー。

LEARN 2021.01.08

台湾の人口が約2400万人。2020年12月現在で新型コロナウイルスの感染者数は780人、死者が7人。年末には台東で5万人を集めて、人気アーティストの年越しライブまで開かれた。そんな台湾へと導いた大臣に予防法についてインタビュー。今、感染者が急増している私たちの暮らしの参考になるかもしれない。

ウイルスを撃退できたのは、当たり前のことを行っただけ。

時にはみんなに、父親のように厳しく優しく接したという。「鉄人大臣」と呼ばれ、皆から愛される。
時にはみんなに、父親のように厳しく優しく接したという。「鉄人大臣」と呼ばれ、皆から愛される。

台北市内ではMRTなど一部公共の場所では着用を義務化しているが、街中ではマスクなしで過ごすことが普通だ。早くから新型コロナウイルスを封じ込めた台湾は、世界から注目された。日本では、マスクが行き渡るようにシステムを整えたデジタル担当大臣のオードリー・タンさんが有名だが、実は陳大臣こそが台湾の封じ込めを成功に導いた人だ。

台湾の新型コロナ政策で特に重要としたことは?

編集部:「台湾の新型コロナ政策で特に重要としたことは?」

大臣:「2019年12月にウイルスの存在を知り、リーダーとして嘘をつかないこと、積極的に国民とコミュニケーションを取り、耳を傾けて安心してもらうことを大切にしました」。陳大臣は毎日、マスコミがもういいと言うまで質問に答える。半年間は執務室に寝泊まりし、100日以上休まずに対策にあたった。子供がピンクのマスクをしないと言う男児の母親の声を聞けば、自らピンクのマスクをして会見し、コロナの影響で果物の需要が落ちたと聞けば、会見にスイカを並べて消費を促した。現在、変異ウイルスの感染者の入国が判明すると、即刻、台湾人以外の入国が禁じた。以前は入国が可能な時には台湾に入国した人はホテルもしくは条件を満たした部屋で14日間、外へ出てはいけなかった。違反者は10万元から100万元(約37万円〜約370万円 外に出た時間による)の罰金だ。ホテルの廊下にカップ麺のお湯を取りに行っただけでも罰金が課せられる。結果、感染のケアをしつつ、2021年1月は旧正月に向かって忘年会が開かれるなど、いつもの日々だ。

PCR検査は国民全員にするべきですか?

流行当初の2020年2月は台湾でもマスク不足に陥った。この状況にデジタル担当大臣のオードリー・タンさんが3日で開発した「Eマスク」システムは、約6,000以上の販売先のマスクの在庫状況を3分ごとに更新して情報を流し、日本のようにパニックになることはなかった。迅速かつ合理的な政府の新型コロナ対策は、見事に結実。今も海外からの感染流入はあるが、陳大臣の隔離政策で感染はコントロールされている。
流行当初の2020年2月は台湾でもマスク不足に陥った。この状況にデジタル担当大臣のオードリー・タンさんが3日で開発した「Eマスク」システムは、約6,000以上の販売先のマスクの在庫状況を3分ごとに更新して情報を流し、日本のようにパニックになることはなかった。迅速かつ合理的な政府の新型コロナ対策は、見事に結実。今も海外からの感染流入はあるが、陳大臣の隔離政策で感染はコントロールされている。

編集部:「日本では検査を受けられない人が目立ち、「PCR検査難民」という言葉も生まれました。」

大臣:「検査は安くないので、経済的な問題もあります。私はPCRは全員にする必要はないと思っています。台湾では症状のある人のみ実施しています。最も重要なのは、症状のある人は病院へ、感染の疑いがある人は隔離することです。その期間は14日は必要です。台湾ではこの対策を徹底して行っています。的確なタイミングで検査を行って、感染者を見つけて対応する。そして、社会も感染者に対して優しい気持ちを持ってほしいです。」

未知なるウイルス、新型コロナを防ぐにはどうしたらいい?

「鉄人大臣」を慕って様々な似顔絵が寄せられた。
「鉄人大臣」を慕って様々な似顔絵が寄せられた。

編集部:「国内での市中感染者は4月以来、ゼロを続けていますね。」※

大臣:「新型コロナウイルスには決定的な対策がないことが問題です。ただ、感染を防ぐための簡単で確実な方法はただ一つ。ひたすら手を洗ってマスクをすること。このシンプルなことをただやり続けることが、防疫につながるのです。」

大臣が実践するウイルス対策は何でしょうか?

編集部:「免疫力を高めるために、大臣が個人的に心がけている方法は?」

大臣:「特段これということはありませんが、規則正しい生活をすること、とにかく眠ることでしょうか。移動中などでも仮眠をとるなどして、最低でも毎日5時間は寝るようにします。最も忙しかった2月3月は3時間ぐらいしか寝られないこともありましたが、今は落ち着いています。」

編集部:「早く台湾に行きたいと思う日本人も多いです。」

大臣:「ゆっくりゆっくりね。私も年に2回は日本に出かけていました。冬には北海道にも行きましたよ。」

編集部:「お父さまが日本に留学していたそうですね。」

大臣:「父からの影響は大きかったです。私も考え方、仕事の仕方などは日本の影響を受けていますね。日本の印象ですか?日本人は時間を守るなどマナーがいい。でも、仕事のやり方にこだわりすぎているようですね。」

※発売当時

Interview…陳 時中(チェン・シーゾン)

台北市出身。歯科医師。2017年より中華民國衛生福利部部長(日本の厚生労働大臣にあたる)。毎日ひたすらウイルスの情報を公開し、涙することもあった。

(Hanako掲載/photo : Alina Tsai, Norio Kidera coordination & interpretation : Chien Tsui wencooperation : Office of the President of the Republic of China(Taiwan),The General Association of Chinese Culture))

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