五感を揺さぶる奈良への旅。大和四寺巡礼へ。
受け継がれる奈良の魅力を五感で感じる旅へ。新幹線の車窓から美しい風景を眺めながら向かったのは、奈良県中央部の大和エリア。ここで長谷寺、室生寺、岡寺、安倍文殊院で構成される「大和四寺(やまとよじ)」の巡礼旅に繰り出します。そこは穏やかな隠れ里で、触れられるほどの近さで歴史や文化を体感でき、リフレッシュできる場所。源氏物語や枕草子にも登場する長谷寺、古くから女性に開かれてきた龍神信仰の霊地である室生寺、日本で最初の厄除け霊場の岡寺、1300年を超えて人々の願いを支え続ける安倍文殊院へ。併せて、五感で楽しむ周辺スポットもご紹介します。(PR/JR東海)
- ▽1.真言宗豊山派の総本山。 四季を通じて花に彩られた「花の御寺」、長谷寺で過ごす至福の時。
- ▽観音様に触れて心穏やかに祈る。
- ▽長谷寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
- ▽2.古くから女性を受け入れてきた女人高野、室生寺。 辰年の今年は、龍神様にも願いを託したい。
- ▽室生の山に抱かれる仏教美術の宝庫。
- ▽室生寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
- ▽3.岡寺は日本最初の厄除け霊場。 その手水舎と池が花で敷き詰められる季節はまもなく。
- ▽花手水で身を清め、土の大仏に厄除けを願う。
- ▽岡寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
- ▽4.法隆寺と並ぶ古い歴史のある安倍文殊院。 この夏は「文殊菩薩」が獅子から降りる姿を拝みたい。
- ▽人々の祈りを受け止める、旅する菩薩。
- ▽安倍文殊院とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
1.真言宗豊山派の総本山。 四季を通じて花に彩られた「花の御寺」、長谷寺で過ごす至福の時。
まずは源氏物語や枕草子にも登場する古刹(こさつ)、長谷寺を訪ねます。
長谷寺 (はせでら)
住所:奈良県桜井市初瀬731-1
TEL:0744-47-7001
拝観:4〜9月8:30〜17:00、10〜11月・3月9:00〜17:00、12〜2月9:00〜16:30
拝観料:¥500、春期特別拝観(〜7月7日)¥1,000 近鉄大阪線長谷寺駅下車、徒歩15分。
観音様に触れて心穏やかに祈る。
奈良時代に創建したと伝わり、平安時代には観音霊場として広く信仰を集めた長谷寺。初瀬山の中腹にあり、起伏に富んだ境内を早春の梅から始まり、春は桜に石楠花(しゃくなげ)、そして牡丹。夏は紫陽花、蓮、百日紅(さるすべり)。秋は菊に金木犀、紅葉。冬は牡丹に椿と、途切れることなく折々の花が彩る様子は、まさに花の御寺の名にふさわしい。古今和歌集に収められた「人はいさ 心も知らず ふるさとは 花ぞ昔の 香ににほひける」の和歌は、長谷寺で幼い頃を過ごした紀貫之が境内の梅を眺め詠んだもの。屋根付きの風雅な階段・登廊の両脇を中心に4月半ばから5月にかけて色とりどりに咲き誇る牡丹も、唐の皇妃・馬頭夫人(めずぶにん)が心願成就のお礼に贈った宝物に牡丹があったという故事にちなむ。
御本尊の十一面観世音菩薩立像は、徳道上人(とくどうしょうにん)が万人の幸せを願い造ったと伝わる。幾度となく焼失するものの、そのたびに再造されてきたのは人々の信仰のあつさのたまものだ。現存する十一面観世音菩薩立像は室町時代の天文7(1538)年に建立されたもの。10m18cmもの高さを誇り、木造の仏像としては国内最大級。圧倒的な存在感を放っている。本堂へと入り、 そのお御足に触れられるのが春と秋の特別公開。静かに祈りを捧げ、観音様のご利益を願いたい。
長谷寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
①やまとびとのこころ店
奈良に受け継がれる歴史や文化を伝えるため、地元・桜井の印刷会社によって1998年に創刊された季刊誌『やまとびと』。ショップ&カフェ『やまとびとのこころの店』には、編集部が取材するなかで出合った魅力あるものが並ぶ。とりわけ目を引くのが鮮やかな色づかいの大和出雲人形だ。遡ること2000年前、垂仁天皇に仕えた野見宿禰(のみのすくね)が、殉死に代えて土偶を埋めることを提案。出雲より呼び寄せた土師(はじ)に作らせた土偶をルーツに、長谷寺参りの土産物として長く作られてきた。今では1軒だけとなった窯元で作られる出雲人形は、素朴な意匠が魅力。ほかにも江戸時代、街道の茶店の名物を復刻させた女夫(めおと)饅頭や、蚊帳用の織物の技術を生かしたストールなど、メイドイン奈良のいいものが揃う。
住所:奈良県桜井市初瀬830
TEL:0744-55-2221
営業時間:11:00〜15:00
営業日:月〜金休(祝日は営業)
長谷寺から徒歩5分。
②一如庵(いちにょあん)
かつて奈良から伊勢へ向かった伊勢本街道に沿って、長谷寺から東へ。のどかな山間に現れるのが蕎麦・菜食『一如庵』だ。幕末に建てられたという風情ある古民家は、店主・桶谷一成さんの実家。手を加えすぎることなく改装した座敷は広々として、窓の外に見る緑も心地よい。主役の蕎麦は茨城と北海道の蕎麦を4種類にひき分けてからブレンド。きりりと冷水で〆た、繊細ながらコシのある蕎麦をすっきりした汁が引き立てている。共に楽しみたいのは見た目も美しく、菜食であることを忘れるほどボリュームある寿司や天ぷら。椎茸、筍、茄子と季節の野菜を使い宇陀の旬を伝える押し寿司は、今や蕎麦と並ぶほどの人気だという。口福のひとときのあとは、敷地内にある『うつわと日々 人雫』へ。桶谷さん曰く「人雫は人のアイデアが落ちてくるというイメージ」と、作り手の思いがこもった器や日々を彩る雑貨が並ぶ。旅の余韻を残す出合いが待っている。
住所:奈良県宇陀市榛原自明1362
TEL:0745-82-0053
営業時間:11:00〜14:30 17:00〜20:00(要相談)
営業日:月火休ほか不定休
席の予約は11:00〜と11:30〜のみ。昼のコース、夜は前日までの要予約。
長谷寺から車で約15分。
③総本舗 白酒屋
明治8(1875)年、現在と同じ長谷寺門前に造り酒屋として創業した『総本舗 白酒屋』の名物が草福餅。「甘いものが乏しかった戦時中、曽祖母が配給の砂糖をためて作ったもの。戦後になって名物になりました」と店主の谷口裕武郎さん。上用粉を蒸してから「ヨイショー、ヨイショー」の掛け声とともに木臼で搗(つ)き、餅の半量ほどのヨモギを加えた草福餅は、香り高く滑らか。ヨモギは春に芽吹く新芽だけを摘んで1年分を用意するという。中に包まれるのは北海道産小豆を使った自家製餡。こし餡を包んだ「青」と、粒餡を包んで軒先の鉄板で香ばしい焼き目をつけた「お焼き」の2種類は好みで。どちらもヨモギの風味が口に広がり、春の野を思い出させる。素朴な味わいが長谷寺で見た景色と相まって、心に残るに違いない。
住所:奈良県桜井市初瀬746
TEL:0744-47-7988
営業時間:9:00〜17:00
定休日:不定休
長谷寺門前に店を構える。
2.古くから女性を受け入れてきた女人高野、室生寺。 辰年の今年は、龍神様にも願いを託したい。
古くから女性に開かれてきた龍神信仰の霊地、室生寺を訪ねます。
室生寺(むろうじ)
住所:奈良県宇陀市室生78
TEL:0745-93-2003
拝観:4〜11月8:30〜17:00 12〜3月9:00〜16:00
拝観料:¥600
近鉄大阪線室生口大野駅から室生龍穴神社行きバスで「室生寺前」下車徒歩5分。
室生の山に抱かれる仏教美術の宝庫。
室生山のふもとに立つ室生寺の歴史は古く、奈良時代末期へと遡る。皇太子の山部親王(後の桓武天皇)の病気平癒のため、室生で僧侶が祈願したところ回復したことから、後に天皇の命で興福寺別院として建立されたのだ。境内の五重塔の西側にある如意山には弘法大師・空海が師より授かった如意宝珠を埋めたことから、後に様々な宗派の修行の場となり、江戸時代以降は真言密教の寺院に。真言密教の聖地である高野山が女人禁制だったのに対し、女人にも開かれていたことから女人高野として広く親しまれることとなった。
門前から太鼓橋を渡って境内へ。仁王門の先にある鎧坂(よろいさか)を登るにつれ、空気はしんと静まってくる。柿葺寄棟(こけらぶきよせむね)造りの金堂、灌頂堂(かんじょうどう)とも呼ばれる本堂、丹塗り(にぬり)の朱の色が周りを囲む木々の緑に映える五重塔と、3つの伽藍(がらん)は国宝に指定されている。安置されている仏像は漣波式(れんばしき)と呼ばれる衣紋が優雅な釈迦如来立像、薬師如来の従者として12の方向を守る十二神将立像など歴史的にも美術的にも見ごたえのあるものばかり。4月半ばから5月にかけては、境内で華やかに咲く石楠花も見頃。女人高野の古刹に漂う、清らかさに浸りたい。
室生寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
①室生龍穴神社
室生寺から室生川沿いに約1km。奥宮の吉祥龍穴を御神体とする古社が龍穴神社だ。その歴史は室生寺よりもさらに古く、山部親王の病気平癒を祈願したのがこの龍穴で、室生寺は龍穴を守る神宮寺として建立されたとも伝わる。さらに遡れば、かつて奈良の猿沢池に棲んでいた龍王が池を出て、春日山を経てこの龍穴へと移ってきたという伝説もある。御祭神は雨を司る高龗神(たかおかみのかみ)。拝殿の奥にひっそりとある本殿は、寛文12(1672)年に建てられたもの。春日大社から譲られた旧社殿を用いた“春日移し”のひとつとしても知られている。境内から吉祥龍穴のある奥宮遥拝所までは、車ならば6分ほどの距離。鳥居から階段を下りて川の水音を耳にしながら参拝すれば、心も清々しく穏やかになるはずだ。
住所:奈良県宇陀市室生1297
TEL:0745-93-2177
拝観自由
社務所は基本的に15日(2024年10月は14日*例大祭、11月は23日)と連休及びゴールデンウィーク、1月1日〜5日に開かれる。
拝観時間:9:00〜15:30
拝観無料
近鉄室生口大野駅から室生龍穴神社行きバス終点下車。徒歩1分。
②橋本屋
室生寺の門前、太鼓橋のたもとにある明治4(1871)年創業の料理旅館。長年にわたり室生寺の撮影をライフワークとした写真家・土門拳の定宿でもあったことから、館内には数多くの作品が残されている。「やはり土門さんの目力はすごかったですね」と振り返る店主の奥本裕さん。現在は食事のみの提供で、奈良特産の大和芋や、うど、わらびといった山菜をはじめ、地元の素材をふんだんに使った素朴な山里料理が用意されている。とりわけ粘り気が強く濃厚な大和芋を使った料理は店の名物。さっくりもちもちの天ぷらや、粘り気と旨味に驚くすまし汁などで、それぞれ違った味わいを楽しみたい。
住所:奈良県宇陀市室生800
TEL:0745-93-2056
営業時間:10:00〜16:00
定休日:不定休
③室生山上公園 芸術の森
室生寺を出て、20分ほど坂を歩いた山上に2006年に誕生した公園にも、ぜひ足を延ばしてほしい。そこには室生出身の彫刻家 井上武吉(1930〜1997年)が構想していた「森の回廊」のイメージを、井上との親交のあったイスラエル生まれの彫刻家ダニ・カラヴァン(1930〜2021年)が、その意志を継ぎ完成させた、自然とアートが調和した風景が待っている。豊かな自然の中に大きなスケールのモニュメントがいくつも配置され、鳥の声だけが響く静謐な空間は、どこか室生寺の境内で過ごした時間につながるようで、光、空、気、風、土、木々の香りなど自然の気配を、日常の何倍も身近に感じることができるはずだ。ここでは大和という土地の季節や時間の移り変わりを、五感を通して心ゆくまで味わうことができ、まさに「室生の村を人間と自然が共存する美術館にしたい」という井上の願いが実現した美しい空間となっている。
住所:奈良県宇陀市室生181
TEL:0745-93-4730
営業時間:10:00~17:00(3・11・12月~16:00)
定休日:火休(祝日の場合、翌日休)
入園料:¥410。
室生寺から徒歩20分。駐車場あり。室生寺から車で5分。
3.岡寺は日本最初の厄除け霊場。 その手水舎と池が花で敷き詰められる季節はまもなく。
日本で最初の厄除け霊場で、境内の美しい花飾りも心に残る、岡寺を訪ねます。
岡寺 (おかでら)
住所:奈良県高市郡明日香村岡806
TEL:0744-54-2007
拝観:3〜11月8:00〜17:00 12〜2月8:00〜16:30
拝観料:¥400
近鉄橿原(かしはら)線橿原神宮前駅より奈良交通バス利用、岡寺前より徒歩5〜10分。近鉄岡寺駅にはバスやタクシーがないため注意を。
花手水で身を清め、土の大仏に厄除けを願う。
歴史ある飛鳥の、岡山の中腹に立つことからその名がついた岡寺。創建時の古称の龍蓋寺(りゅうがいじ)は、暴れて農民を苦しめていた悪龍を、寺を創建した義淵(ぎえん)僧正が池に閉じ込めて大きな石で蓋をし、改心させたことに由来する。今も境内に残る龍蓋池がその池だ。悪龍の厄難を取り除いた言い伝えが、厄除け信仰の始まりに。鎌倉時代初期に書かれた歴史物語「水鏡」には「つつしむべき年にて、すぎにし きさらぎの初午の日、龍蓋寺へ まうで待り」と記されていることから、日本で最初の厄除け霊場とされている。
御本尊は今も残る日本で最大の塑像(土で造られた仏像)、如意輪観音座像。弘法大師が日本・中国・インドの土を使って造り、それまでの御本尊・金銅如意輪観世音菩薩半跏思惟像(はんかしゆいぞう)を胎内に納めて新たな御本尊としたと伝わる。1300年の時を経て色が落ち白くなっているものの、頭部に藍色、唇には紅がわずかに残り、往時の姿をしのばせている。
4月中旬から5月にかけては3000株の石楠花(しゃくなげ)が境内に咲き、ゴールデンウィークには手水舎や仁王門を入ってすぐの池が天竺牡丹(ダリア)で埋め尽くされ華やかさもひと際。厄除けを祈った心を、ますます晴れやかにしてくれる。
岡寺とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
①油長酒造(ゆうちょうしゅぞう)/大和蒸溜所
中世の奈良の僧侶たちの努力によって、日本酒は濁り酒から清酒となり、また酒蔵から消費地に運搬可能な商品となったことをご存じだろうか。その清酒発祥の地で、1719年に創業した油長酒造は、伝統的な製法を守る酒造りと並び、新しい技術で新しい日本の酒を創造するユニークな酒蔵だ。地元の人々に搾りたての酒を飲んでほしいと、1998年に「無濾過・無加水・生酒」にこだわった「風の森」ブランドを立ち上げた。500年前に確立した奈良酒の伝統に現代の技術を重ね合わせ、今の時代にしか造れない日本酒を届けてくれるなかで、2018年に立ち上げたのがなんと江戸時代から伝わる建物の中に最新の蒸留器が置かれた『大和蒸溜所』。地元のバーテンダーと共に「奈良にしかないスピリッツを作ろう」という思いで、奈良産の大和橘(やまとたちばな)と大和当帰(やまととうき)というこの地の風土に根付いた味わいのジンを届けてくれる。2021年には奈良のビール醸造所とのコラボも実現。五感をくすぐる「奈良らしさ溢れる新しい酒」、ぜひ大和の地で味わいたい。
『油長酒造』
住所:奈良県御所市1160番地
TEL:0745-62-2047
『大和蒸溜所』
住所:奈良県御所市西久保本町1137
メール:info@yamato-distillery.jp
油長酒造の酒蔵は公開されていないが、隣接する大和蒸溜所は見学の対応も可能なのでメールでの問い合わせを。岡寺から車で20分。JR御所駅は徒歩5分。
②GOSE SENTO HOTEL
御所(ごせ)は、金剛山、葛城山の山麓に位置し、山岳信仰「修験道」の開祖「役行者(えんのぎょうじゃ)」が生まれたという神々の気配に触れられる土地。陣屋町として江戸時代初期から栄え、今でも家々の間を流れる水路「背割り下水」がその姿をとどめて、江戸時代の検地絵図が使用できるほどにかつての風景を色濃く残している歴史深い街に2022年に登場した分散型施設が「GOSE SENTO HOTEL」。万年筆本舗を改築したホテル「RITA御所まち」を中心に、ローカル・ガストロノミーを味わえるレストラン「洋食屋ケムリ」、昔ながらの浴槽とセルフロウリュも楽しめる本格的フィンランド式サウナを備える銭湯「御所宝湯」、自転車と共に泊まれる「宿チャリンコ」で構成されている。江戸の町並みと昭和の薫りを色濃く残すところで、「泊・食・湯」の“まち歩き”をメインとした斬新な楽しさ溢れる旅のスタイルを提供してくれる。
RITA御所まち
住所:奈良県御所市西町1069
TEL:0745-49-0823
(GOSE SENTO HOTEL 全体の問い合わせ先は☎︎0745-49-0854)
岡寺から車で20分。JR御所駅からは徒歩5分。
③ダ テッラ
日本の原風景を思わせる明日香村にて、自家菜園で収穫した野菜でもてなすイタリアンレストラン。「両親が育てる野菜を料理として生かしたいと考えたのが始まり。年間100種類ほどの野菜、米や小麦、八朔やみかんなどの柑橘類まで。レストランで提供する野菜はすべて自家製です」と店主の中井宏和さん。スペシャリテは「大地から」と名付けた一皿。茹でる、焼く、生のままなど、異なる調理法で仕上げた野菜が20種ほど盛り込まれ、明日香の旬が凝縮する内容に。自家栽培した小麦を石臼でひいた全粒粉を使ったパスタは、手打ち蕎麦のような食感で噛むごとに小麦の風味が口に広がる。店名はイタリア語で大地から、の意。その名のとおり、明日香の大地を味わいつくす喜びがある。
住所:奈良県高市郡明日香村川原884
TEL:0744-41-9072
営業時間:12:00(この時間のみ予約可)、18:00〜22:00(19:00LO)
定休日:水木休
ランチ:¥7,700 ディナー:¥11,000。
要予約。
岡寺から車で5分。
4.法隆寺と並ぶ古い歴史のある安倍文殊院。 この夏は「文殊菩薩」が獅子から降りる姿を拝みたい。
創建1300年を超えて人々の願いを支え続ける、安倍文殊院を訪ねます。
安倍文殊院(あべもんじゅいん)
住所:奈良県桜井市阿部645
TEL:0744-43-0002
拝観:9:00〜17:00(祈祷受付〜16:00)
拝観料:本堂¥700 金閣浮御堂霊宝館¥700 共通拝観券¥1,200 JR・近鉄桜井駅よりバスもしくはタクシーを利用。
人々の祈りを受け止める、旅する菩薩。
大化元(645)年に創建された日本最古の寺院の一つで、日本三文殊の第一霊場としても知られる安倍文殊院。なんといっても見どころは鎌倉時代の大仏師・快慶が手がけた御本尊の騎獅文殊菩薩像だ。先導役の愛らしい善財童子(ぜんざいどうじ)像や、優填王(うでんのう)像ら4人の脇侍を従えた渡海文殊群(とかいもんじゅ)像は、雲海を渡って魔を祓い、知恵を授ける説法の旅へと出かける姿を写したもの。右手には知恵の象徴である降魔(ごうま)の利剣(りけん)を、左手には蓮華を持ち、慈悲に満ちた姿で800年を超えて人々を見守ってきた。「実は文殊菩薩像は獅子の上にただ座っているだけなのです。今年の7月からは耐震のため一度降りていただき、工事を行う1年間はその姿で鎮座していただきます」と副住職の植田悠應さん。獅子に座る文殊菩薩像の高さは約7mもあり、日本最大の文殊菩薩像でもある。今夏からの1年は見上げるのではなく目線の高さで拝見する、スペシャルな体験が待っているのだ。
境内にはキトラ古墳などと同じく特別史跡に指定された文殊院西古墳もあり、中への出入りは自由となっている。あまりにも美しく精緻な石組みは、約1400年前に築造されたとは思えない。奈良の歴史の深さを体感できる。
安倍文殊院とともに巡る、五感で味わう3つのスポット。
①塩津植物研究所
塩津丈洋さんと久実子さん夫妻が「草木ノ駆け込み寺」を掲げ、盆栽を通じて植物と人とが共にある、よりよい暮らしを提案するラボのようなショップ。約300坪の広々した敷地に、3万本にものぼる盆栽や仕立てられるのを待つ種木が並ぶ姿は壮観。植物は松などの王道から、果実がなるものや草まで約200種が用意されている。「盆栽は鉢の中に景色があること、そのなかで育てることの両方を兼ね備えたもの」と丈洋さん。伝統的な技法を守りつつ、それぞれの植物の魅力を引き出して鉢の中に作る景色は、不思議なほど現代的なセンスをまとっている。すでに仕立てられた完成品を手に入れることも、種木と鉢を選んで盆栽づくりにチャレンジすることも可能。育てるうちに必要になる、植え替えや剪定などのケアも任せてと心強い。肩肘はらず軽やかに、盆栽の世界への扉を開いてくれる身近な研究所だ。
住所:奈良県橿原市十市町993-1
TEL:0744-48-0845
営業時間:10:00〜17:00
定休日:月火水木休
安倍文殊院から車で15分。
②てのべたかだや
桜井市三輪は1200年以上の歴史を持つ素麺発祥の地。三輪素麺を作るメーカーが数あるなかで、『マル勝髙田商店』の素麺はオリジナルブレンドの小麦の風味を生かすため、イタリアから直輸入するオリーブオイルを使うのが特徴。手延べでコシのある麺を作り上げ、とろり、さらり、もっちり、つるり、しっかりと、細さや熟成期間ごとに食感を表す名前をつけた素麺がユニークだ。その素麺を気軽に味わえるのがショップとカフェを備えた『てのべ たかだや』。カフェで味わう素麺は好みのつゆと麺を選んで、紙カップでカジュアルに。改めて素麺のおいしさを実感するひとときを過ごしたい。食後には奈良産の柿や栗を使ったスイーツを。夏にはかき氷も登場する。
住所:奈良県桜井市大字芝374-1
TEL:0120-38-3876 9:00〜17:00
食事11:00〜16:00LO 飲み物・甘味10:00〜16:30LO
定休日:水休
安倍文殊院から車で10分。
③まほろばキッチン橿原店/産直レストランかぐやま
豊かな自然と多くの田畑がある奈良は、鮮度のいい食材に恵まれた地でもある。JA直営のファーマーズマーケットは、旬の野菜や果物から、伝統の大和野菜、茶葉や三輪素麺といった特産品、柿の葉寿司などまで、奈良の食材で手に入らないものはないほどの充実ぶり。とりわけ冬からゴールデンウィーク頃までは、古都華(ことか)や珠姫(たまひめ)、奈乃華(なのか)など奈良生まれのイチゴがずらり。旅の最終日に立ち寄って、地元の味を手に入れたい。持ち帰るのが難しいなら、併設の『産直レストランかぐやま』で野菜をたっぷり味わうのもいい。大根や厚揚げ、ニンジンなどを炊いた、のっぺと呼ばれる奈良の素朴な家庭料理。伝統野菜のひとつ、大和真菜のおひたしや自家製豆腐など、月替わりの料理が20種ほど揃い、奈良の味を伝えてくれる。
『まほろばキッチン 橿原店』
住所:奈良県橿原市常盤町605-1
TEL:0744-23-1301
営業時間:9:00〜18:00
定休日:無休
『産直レストランかぐやま』
住所:奈良県橿原市常盤町605-1
TEL:0774-23-1305
営業時間:11:00〜15:00(14:00最終入店)
定休日:無休
70分制¥1,650
安倍文殊院から車で10分。