ハナコラボSDGsレポート ユニバーサルデザインに込められた想いとは。北海道ニセコの自然と歩むスキンケアブランド〈ICOR〉
ハナコラボ パートナーの中から、SDGsについて知りたい、学びたいと意欲をもった4人が「ハナコラボSDGsレポーターズ」を発足!毎週さまざまなコンテンツをレポートします。第50回は、ナチュラルビューティーハンターとして活躍するシナダユイさんが、〈ICOR(イコ)〉のクリエイティブディレクター・YUMIKOさんに話を伺いました。
北海道の自然に秘められた力と、作る責任
ーー2020年にスキンケアブランド〈ICOR〉が誕生。そして、今年の秋に店舗兼カフェ施設〈ICOR NISEKO〉をオープンされましたが、なぜ北海道ニセコ町でものづくりを始めようと思ったのでしょうか。
「スキンケア製品をつくる上で欠かせない“水”を調べているうちに、私たちが注目したのは北海道ニセコ町にある羊蹄山の湧き水だったことが、まず第一の理由です。雪が降ってから麓に吹き出しの湧き水になるまで大体70〜80年濾過される水なので、ミネラルを豊富に含む上、PH値も人の肌に近く、柔らかでとてもきれいな水です」。
ーー濾過ってそんなに時間がかかるものなんですね。
「そうなんです。北海道では富士山に似ていることから『蝦夷富士』と呼ばれる有名な山。他にも厳しい寒暖差を生き抜く力強さを秘めた植物が多く、本州で育った植物より北海道で育った植物の方が大きくて力強かったり、香りも強かったり、成分自体も強さがあったり。以上のことをふまえて、どこで作るのが1番いいのか考えた結果、北海道で開発することになりました」。
ーーユニバーサルなデザインにされたのはなぜでしょう?SDGsに当てはまっていいなと思いました。
「男女分け隔てなく、みなさんで使っていただけるジェンダーニュートラルにした理由は、元々ニセコ自体が海外からのお客様が多く、国内、道内も含め、旅行客の方がとてもたくさんいらっしゃる場所だったので、旅行中にみなさんでシェアして使っていただけるような商品にしようと思ったからです。肌質は問わず、サイズ感もやや小さめになっています」。
ーー確かに手にしてみたら、軽くて持ち運びが楽そうだなと。個人的には、目元と口元のケアを兼ね備えたアイテムは画期的だなって思いました。
「ありがとうございます。これもSDGsに関わってくると思うんですけど、化粧品や日用品といわれるものを使い切らずに捨ててしまう方が世の中にはとても多いというデータがありまして」。
ーー食品ロスみたいなものですかね。私は化粧品も歯磨き粉も絞り出して使い切るタイプなので考えたこともありませんでした(笑)。実際は、そういう人が多いんですね。
「なので、そういうのもなくしていけたらなと、1つの容器で色々な箇所に使えるようなアイテムを考えました。また日本人には特に多いと思うのですが、容器に少しでも傷が入っていたりすると、それだけで不良品のような扱いにされてしまう。過剰包装も、ゴミを減らすための問題提起という意味も含めて箱詰めやシュリンク包装(主に熱収縮性プラスチックフィルムで商品を包むこと)をしないアイテムをいくつか作っています。その点も含め『サスティナブルコスメアワード2020』の審査員賞受賞という評価をいただけました」。
ーー「サスティナブルコスメアワード」はSDGsの理念に基づいた製造方法、運搬方法まで環境に配慮しているかも選考基準になりますもんね。次はそういった点を含め、実際に私が使ってみた中で使用感がとてもよく、おすすめしたいなと感じたアイテムについて、お話を聞かせてください。
【シナダチョイス1】「イコ オイルイン ミストトナー」
ーーこれはスキンケアだけではなく、髪にも使えてしっとりしますし、冬になると乾燥が気になる手先やひじ、かかとなど全身に使えて便利でした。リフレッシュできるアロマの香りがよくてあっという間に1本使い切りそうです。
「1番人気の商品です。北海道産の米由来成分や近海鮭由来のコラーゲンが肌にうるおいを与えてくれます。鮭も本来は食品加工中に廃棄されてしまう皮の部分からコラーゲンをとりだしている点でエシカルですし、2層になっているのは乳化剤が入っていないからでフレッシュで肌にやさしい処方になっています」。
【シナダチョイス2】「イコ リップ&アイ トリートメントエッセンス」
ーー目元のケア(衰え)は気になりつつも、用途が絞られると使用頻度も多くなさそう...と購入を控えていましたが、リップにも使えるとなるとグッと使用頻度が上がりますよね。すごくツヤが出るのでグロスとしてもいい感じです。
「マルチに使えることで廃棄するものを少しでも減らせたらという点がポイントです。マスクの長時間着用により受ける目元や口元のストレスを同時にケアできるので、持ち運びして気軽に保湿していただけたらと思います」。
【シナダチョイス3】「イコ Sakeフェイシャルクリーム」
ーーほのかな酒粕の香りが日本の風土を感じられて落ち着きますし、とても肌なじみがよくてしっとりします。
「二世古酒造の純米酒と酒粕、地元の酒蔵の原料を使用しています。どちらもアミノ酸やお肌にいい成分に富んでいますが、酒粕は日本酒の製造工程で大量に出るもので使用用途に限界があるため産業廃棄物になってしまう。そのため、スキンケア商品への使用のほか、カフェで酒粕のブリュレやクッキーを作っています。さらに、来年には菜園でハーブや野菜を育てる予定。使う土にも酒粕を混ぜて堆肥を作るなど、実験的に進めたいと思います」。
〈ICOR NISEKO〉のこと
ーースキンケアだけではなく、フードや建築、菜園と、見どころ満載の施設に興味津々です。いつか行ってみたいです。
「建築物は国内外で活躍する建築家の長谷川豪さんに依頼して設計していただきました。ニセコ産の野菜や、美容を意識した食材を使ったフードメニューは、スタッフで話し合い考案したもので、建物沿いを流れる小川を眺めながら、土地の魅力を感じながら楽しんでいただけます。景色も春夏秋冬ととてもきれいで、ニセコの自然を堪能できるギャラリーのような空間です」。
ーー魅力的な要素がたくさんありますが、東京で大々的にプロモーションや販売をしていないのが不思議です...。
「代表も私ものんびりした気質だからですかね(笑)。まだブランドのリリースから1年半ほどですし、長く続けていきたいと思っているので、その中でだんだんとファンが増えていってくれたらうれしいですし、気に入って使い続けてくれたらいいなと思います」。
ーー長い目で見られているんですね。ゆっくりと、ニセコの自然とともに歩んでいく、これからが楽しみなブランドです。