ハナコラボ 宇宙部レポート! 国際宇宙ステーションと地上で役立つ?未来の便利グッズを体験!
2020年、JAXAと民間事業者の共創プログラム「JAXA宇宙イノベーションパートナーシップ(J-SPARC)」の中に、宇宙と地上双方の暮らしをよくする「THINK SPACE LIFE」プラットフォームが始動。Hanakoでは「ハナコラボ宇宙部」を結成し、その活動を追ってきた。宇宙飛行士や宇宙旅行をする人たちの課題を解決するアイデアは、地上でも役立つものが多いそう。
宇宙と地上の暮らしをよくするアイデアが形に!
JAXAでは2020年夏に国際宇宙ステーションに搭載する生活用品のアイデア募集の第一回募集を行った。「THINK SPACE LIFE」が連携するこの取組みのワークショップにハナコラボ宇宙部メンバーも参加。今回は、第一回募集で選出された搭載候補品10件を紹介する。ハナコラボ宇宙部からは、アロマ空間デザイナーの石井保子さん、「なっとう娘」こと鈴木真由子さん、ハナコラボディレクター土屋志織が、特別に企業からお借りした8件の開発中製品を体験した。
水が貴重な環境でも、口腔ケアを手軽に!
宇宙空間では水がとても貴重。歯磨き後のすすぎが十分にできず、ペーパーに吐き出したり飲み込んだりと、苦労する人も少なくないという。その中で、口腔ケア商品がさまざま提案されている。こちらは〈TSUYOMI〉で開発中の「デュアルユース・口腔ケアタブレット(mouthpase春・夏・秋・冬)」。一粒を噛み砕くと発泡し、少しの水を含めばマウスウォッシュになり、ブラッシングして吐き出せば歯磨きが完了するというものだ。
日本の四季を感じさせる天然香料を用い、気分に合わせて選ぶことができる。「歯磨きが嫌いなお子様に、味を変えて楽しんでもらえるかも。私は薄荷がおすすめ!持ち運び用のハードケースがあると良さそうですね」(鈴木さん)、「レモンミントとかブレンドした香りも素敵。香りをブレンドすることで、嗜好性が低くなって奥行きが広がるので、幅広く好んでもらえそう」(石井さん)と、さらに良くするアイデアが飛び出した。
〈ライオン〉で開発中なのは、「すすぎが簡単なハミガキ」。ポンプから出てくるハミガキ剤は泡状で、吐き出した後に口に残りにくく、香味も残りづらい工夫がされている。「香味が強すぎずマイルドなのは良さそうですね」(鈴木さん)。「私はハミガキが口の中に残るのが苦手なので、口に残りにくいのはありがたい!」(土屋)。
石井さんからは「この容量だと、何回くらい使えるんだろう?詰替もあるといいですね。香り違いなど種類があってもいいかもしれない」という意見が出た。
こちらはすでに商品化されている〈トライフ オーラルピースプロジェクト〉の「オーラルピース」。アルコール・ケミカルフリーで飲み込んでも安全な100%オーガニック食品成分から作られている点が、宇宙環境にもマッチしている。歯磨きに使うだけでなく、口腔内の保湿剤としても使用可能。
水が貴重な環境といえば、地上では災害時が考えられる。「すでにキャンプグッズや医療現場で活用されているそうですが、パッケージがおしゃれだから気分も上がりますね」と石井さん。「通常の歯磨き剤は飲み込まない方がいいとは知らなかったのですが、これなら安心です。口の中を保湿する概念はありませんでしたが、寝起きの口が乾燥するのを防げるのかな」と、鈴木さんからもリアルな感想が。
不快感を拭き取って爽快に!リフレッシュ用ペーパー。
口腔ケアと同じく、体や衣服を清潔に保つことも難しい宇宙空間。各社から商品が提案される中、〈マンダム スキンサイエンス開発研究所〉からは、「ISS(国際宇宙ステーション)で快適に使用できるボディペーパー」が届いた。ボディ用と頭皮用が開発されている。
宇宙飛行士が毎日行うという2時間のトレーニング後には、汗を拭うだけでなくリフレッシュできるシートが喜ばれそう。「ボディ用はシトラスのような香りが爽やか。頭皮用は石鹸の香りに癒されます」と3人とも香りを気に入った様子。拭いた後に風に当てると、さらに爽快感が得られる。
洗濯できず、何日も同じ衣類を着続けることが多い宇宙飛行士のため、洗濯の代わりに、汚れを拭き取るシートが開発されている。〈花王〉が研究している清潔ウェアのためのスペースウェットワイパー「SPACE LAUNDRY SHEET」だ。汚れた衣類は捨てるしかないという宇宙飛行士の悩みを解消できるかもしれない。
汗をかいた衣類をシートで拭き取ると、汚れや匂いを除去して抗菌防臭。「こういう製品は使ったことがないので、たださっと拭くだけだと不安感がありますが、効果があるなら、キャンプなど旅の荷物を減らせるのがいいですね」と鈴木さん。「夏場、通勤だけで汗をかいてしまうビジネスマンにも重宝されそうですね!」と土屋も地上で使うアイデアを出した。
〈花王〉からは、水なし洗髪シート「3D Space Shampoo Sheet」も登場。宇宙での洗髪は液が飛び散って大変。予め洗浄液が染み込んだシートは、凹凸がついた立体形状に。
こちらは代表して鈴木さんが体験。「冷たくて気持ちいい!お化粧が落ちる心配もせずに済むから、運動後にぴったり。破れたりする心配もないほどしっかりしていて、ガシガシ使っても大丈夫そう」と絶賛。日常でもぜひ使いたいそう!
宇宙空間での動きをストレスフリーにするグッズ。
無重力空間では、手すりを手で掴むだけでなく、足を引っ掛けて体を固定させることが多い。〈ワコール〉で開発されている「アストロソックス™」には足裏だけでなく表にもシリコンプリントを施し、グリップ効果を高めている。また、クッション性の高い厚手の生地にし、抗菌消臭機能も。
実際に履いてみた鈴木さんは「足の甲にあると、パンプスがずれなくていい!」と、日常で活躍しそうな場面を発見。「スポーツでも役立ちそうだから、滑り止めのゴムをカラフルにしたらストリートの男の子たちにもウケるかも。スケボーは足に衝撃がかかりそうですし」(石井さん)。
〈久光製薬〉で開発されているのは、宇宙空間でモノを固定するテープ「Fixpace™️(フィクスペース)」。無重力空間では物を紛失したり散乱させたりすることが問題の一つ。通常はマジックテープが使われているが、ペンなどの小さいものにもあらかじめテープをつけておく必要がある。このフィクスペースは、〈久光製薬〉の商品を応用したアイデア。物を何度も貼ったり剥がしたりできる。
地上での用途は評価・調査中だというこちらのアイテム。「固定テープなので、粘着力が強いから、スタイリストさんが襟などを止めておくのには使えるかも。香り成分を入れて、湿布の用途で香りはアロマだったり、寝具などに貼って楽しめるとうれしいです」と石井さん。「小さく切って使えるようにすると、インテリアなどいろんなところに応用できそうですね」(土屋)。
そのほか、〈スノーピーク〉〈シタテル〉が共同開発するリラックスウェア「Earthian Wear」や、〈日本たばこ産業〉が開発するウェアラブルウォッチも搭載候補品に挙がっている。
国際宇宙ステーションに搭載する生活用品のアイデア募集は第2回の期間中!
現在JAXAでは、宇宙と地上双方の暮らしをアップデートする生活用品のアイデアを募集中。第二回の締め切りは9月30日で、詳しくはこちらから。