学芸員ラジオDJ・DJAIKO62さんがおすすめする、今見ておくべきアートとは? 「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN The Last Show」が〈東京ドームシティ Gallery AaMo〉で開催。〜今度はどの美術館へ?アートのいろは〜
ラジオ番組で美術展を紹介するうちに美術館巡りの面白さに目覚めたというDJAIKO62さん。コラム連載第19回は〈東京ドームシティ Gallery AaMo〉で開催中の「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN The Last Show」をご紹介します。9月18日には累計動員数が100万人を越え、「国内で初めて100万人を突破の、人物にフィーチャーした写真展」としても注目されています。
誰もが知る一枚。
写真家・篠山紀信と聞けばパッと思い浮かぶ1枚があると思います。私は今展のメインビジュアルでもある≪ジョン・レノン オノ・ヨーコ≫がそうです。今特別展では1960年代後半から篠山紀信先生が撮影をした昭和・平成・令和のスターたちの写真を中心に、5つのセクション「GOD」「STAR」「SPECTACLE」「BODY」「ACCIDENTS」を巡ります。
5つのセクション「GOD」「STAR」「SPECTACLE」「BODY」「ACCIDENTS」を巡る。
まずは「GOD:鬼籍に入られた人々」エリアから。天国へ旅立たれた往年のスター・有名人の姿に圧倒されます。こちらではやはり三島由紀夫さんや勝新太郎さんの存在感に感心されている方が多かったように思います。この時代のスターのオーラを持つ人が今いるかと問われると即答は難しいでしょう。
次は「STAR:すべての人々に知られる有名人」。壁一面に広がるスターのポートレイト。このスケールで、この密度で、これだけの有名人の姿をとなると篠山紀信さん以外ではありえません。
「SPECTACLE:私たちを異次元に連れ出す夢の世界」のセクションでは少女の面影を残す後藤久美子さんの写真集からの一枚も。今でこそスマホで簡単にパノラマ写真が撮れますが、「シノラマ」といって、背景の天気や明るさも気にしながら素早くメイクや衣装チェンジをして、4シーンを撮影、後で繋げたものだという秘話もご本人から聴くことができました。
「BODY」はサンタフェの宮沢りえさんの写真を含む(裸の肉体ー美とエロスと闘い)と題したセクション、そして「ACCIDENTS」(2011年3月11日-東日本大震災で被災された人々の肖像)で締めくくられます。
「体感してほしい」
とは篠山紀信さんのメッセージ。写真は時代の写し鏡とも話す篠山さん、時代が生んだ面白いトピックや人物を撮るのがいいと信じてやってきたが、と同時にそういった旬の被写体を撮らせるならやはり篠山紀信!と指名されるような立場に居続けること、トップランナーであり続けることの大切さも話しておられました。語りかけてくるような感覚になる写真は対峙してみて初めてわかるものであり、人によっても違うでしょう。写真がより身近なものとして存在する今だからこそ、「写真力とはこういうものだ!」を知る機会となる写真展でした。
「篠山紀信展 写真力 THE PEOPLE by KISHIN The Last Show」開催概要
■会期:2019年9月5日(木)~10月27日(日)
■開館時間:10:00〜18:00(最終入館は閉館の30分前まで)
■会場:Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)
■展覧会公式サイト:www.tokyo-dome.co.jp/aamo/event/shinoyamakishin.html
チケット情報やアクセス他、詳細は公式サイトをご確認ください。