地元の旬素材を洗練の和食コースで。 鎌倉デートの〆は、カウンター割烹へ。【鎌倉・扇ガ谷】日本料理店〈鎌倉ふくみ〉に注目!

LEARN 2019.05.08

路地や建物の2階、谷戸の奥や静かな住宅街…なかなか見つけづらい場所に良い店が多い鎌倉。今回は、Hanako『ひみつの鎌倉』「名店は静かに佇む。」より、神奈川の旬素材にこだわった和食コースが楽しめる、扇ガ谷の日本料理店〈鎌倉ふくみ〉をご紹介します。

今一瞬の旬を感じたくて、店主の待つカウンターへ。

銭洗弁天へ向かう細道の入口、白いのれんが目印。階段を上った先、引き戸を開くと奥行きある店内へ。カウンターの一角には茶釡も。
銭洗弁天へ向かう細道の入口、白いのれんが目印。階段を上った先、引き戸を開くと奥行きある店内へ。カウンターの一角には茶釡も。

地元で愛情を込めて〝裏駅〞と呼ばれる鎌倉駅西口。そこから緑深い扇ガ谷へ続く今小路の一角にこの2月、新たな日本料理店〈鎌倉ふくみ〉が静かに幕を開いた。
 

IMG_0393
IMG_0328

5席ほどのカウンターに立つのは、葉山で料亭を営む父の仕事を見て育った店主・池田吉正さん。料理の主役となるのは地元・神奈川の食材だ。春は掘りたての筍や山菜を求めて磯子の里山へ、葉山や藤沢にある無農薬栽培の農園にも足を延ばす。魚介は佐島や三崎から、山の恵みの猪肉は湯河原から届く。

神奈川13蔵元の酒がそろい踏み。
神奈川13蔵元の酒がそろい踏み。

料理の良き相棒、日本酒も神奈川県下の蔵元を訪ねて吟味した。こうして探し当てた地元の幸は文字通りの〝ご馳走〞。池田さんの確かな料理の技で洗練のひと皿になる。

神奈川の旬の恵みがつまった、洗練のコースを。

夜のコース8,000円より。前菜3種盛り合わせ。
夜のコース8,000円より。前菜3種盛り合わせ。
焼き胡麻豆腐。鎌倉〈清水食品〉の豆乳は表面はパリッと中はトロトロ。
焼き胡麻豆腐。鎌倉〈清水食品〉の豆乳は表面はパリッと中はトロトロ。
IMG_0369
太刀魚と石鯛のお造り。
太刀魚と石鯛のお造り。
湯河原の猪肉と田芹、筍は旨味豊かなだしでサッと炊き、キンカンを添えて客前へ。猪肉は熱海の女性が立ち上げた〈熱♨湯ジビエ工房 山の恵〉から届いたもの。
湯河原の猪肉と田芹、筍は旨味豊かなだしでサッと炊き、キンカンを添えて客前へ。猪肉は熱海の女性が立ち上げた〈熱♨湯ジビエ工房 山の恵〉から届いたもの。
土鍋で炊き上げた磯子の筍と佐島のキンメの炊き込み御飯。おこげの塩梅も絶妙だ。料理の内容は食材により随時変更あり。料理の衣装である器も見事。作家ものや、骨董好きの祖父母の形見も。
土鍋で炊き上げた磯子の筍と佐島のキンメの炊き込み御飯。おこげの塩梅も絶妙だ。料理の内容は食材により随時変更あり。料理の衣装である器も見事。作家ものや、骨董好きの祖父母の形見も。

池田さんが地元の素材に目を向けるようになったのは、修業先の京都での体験から。洛北・大原の直売所で農家と触れ合い、とれたて野菜の味を知って目が開いたという。
「地域に根ざした市場には本物の旬がありました。自分もいずれ店を持つなら、生産者と話をしながら今おいしいものを大切にしたいと」

だから池田さんは日本料理の定石とされる〝走り〞のものは使わず、旨み、香り、食感ともに最盛期を迎えた〝旬〞だけを選び取る。

学生時代の家業の手伝いに始まり、銀座〈あさみ〉や京都〈梁山泊〉での修業を経て、父とともに葉山〈一葉〉を立て直し、今鎌倉で新たなスタートを切った池田さん。彼の料理人人生はまさにこれから。地元の力強い素材と出会って、ますます大きな花を咲かせる。

朝掘りの筍や田芹を受け取りに、ホントに横浜市内? な緑深い里山へ。

IMG_1280

この日は朝早くから、旬真っ盛りの朝掘り筍と田芹(たぜり)を求めて磯子の乂部(かるべ)農園へ。祖父の後を継いで農業にいそしむ弥生さんとは葉山〈一葉〉時代からのおつきあい。

IMG_1238

「乂部さんの筍はエグミがなくてヌカいらず。根元から葉先まで歯ざわりもすばらしい。さすが正真正銘の朝掘りです」。畑の野菜のみならず山菜や梅、栗も豊かに実る乂部農園。池田さんの里山詣では、これからの季節もまだまだ続きます。

〈鎌倉ふくみ〉

2019年2月15日オープン。お昼は特製マグロ胡麻ダレ茶漬け1,400円、予約のコース3,500円と5,000円。夜はコース5,000円、予約のコース8,000円と10,000円。予約可。
■神奈川県鎌倉市扇ガ谷1-1-29 2F
■0467-39-5567
■11:30~14:00LO、17:30~20:30LO 月休(祝は営業、翌火休) 
■15席/禁煙

Hanako『ひみつの鎌倉』特集では、鎌倉の楽しみ方を多数ご紹介しています!

Hanako『ひみつの鎌倉』

(Hanako1172号掲載/photo : Shin-ichi Yokoyama text : Mutsumi Hidaka)

Videos

Pick Up