My Sustainable Life ベランダごはん習慣が食材を使い切る術に。/『コロナ禍を経て、サステナブルになった毎日のこと。』vol.1猫沢エミさん
新型コロナウイルスの流行によって訪れた、日常の変化。それがきっかけで始まった習慣が、自分や社会、地球の明るい未来へ貢献することも。4人の変化をフォーカスした。今回は、ミュージシャン、文筆家/生活料理人の猫沢エミさんにお話を聞きました。
ベランダでの食事が充実。食材をより使い切るように。
4月に上梓した著書『ねこしき』で綴った、しなやかな生き方、愛猫との生活、自身を幸せにする料理が注目される猫沢エミさん。ベランダごはんの習慣が自炊に華を添え、家の食材を使い切る術になっていた。
「未来へ続く大切な習慣が、コロナ禍でより明確に、必要なことだとあぶり出されたように思います」そう話す猫沢さんが自分を整えるため大切にしているのが日々の食事。“生活料理人”の所以(ゆえん)はここにある。例えば、ベランダごはん。外出自粛中も外の空気を感じたいと、ベランダでの食事が増えた。コロナ前にフランス語を教えに通っていた頃、持参していた手作り弁当は、フランス語教室がリモートになってもときどき作り、自宅のベランダで食べている。
「突然生活スタイルを変えるのは、やっぱりストレス。徐々に慣らしていくリハビリでもあるんです」そして、一人暮らし(&猫たち)で培ってきた、無駄を生まない料理哲学にも、さらなる磨きがかかった。肉は下味冷凍をしたり、野菜やハーブは新鮮なうちに冷凍したり、半調理してストックしたり。飽きずに食べ切る工夫を日々楽しんでいる。
「わざわざ大量に作り置きするというより、今日の食事を作りながら、明日、明後日の分もついでに調理してスタンバイさせる感じ。すると、翌日も同様に何かを作って、翌々日も……と繰り越し、日々の重なりで食事が豊かに継続。結果、食材のロスがなくなる、いい循環が生まれました。さらには、心身を健やかに保つ、自己投資にもなっています」
弁当箱の“箱庭”効果で料理に新鮮味を。
わっぱ弁当箱に詰めて趣を変え、日常をちょっとだけエンターテインメント化するのも、家ごはんに飽きない工夫の一つ。鶏の唐揚げは、まとめて下味をつけて小分け冷凍し、食べる分だけ随時調理。これで、食材も手間も無駄が生じない。
キャンドルの灯りと音楽に包まれ外食気分に。
ベランダのテーブルにクロスをかけ、冷凍きのこのアンチョビベーコンソテー、ストックゆで青菜のポン酢がけなどをワインと共に。スピーカーから音楽を流せば、今はなかなか行けない外食の趣。電気を消し、キャンドルだけで過ごす夜も。
賢く使い切るための、冷凍・常備菜・味変ワザ。
味付け肉やベシャメルソース、きのこ、ハーブ、酒粕など、自家製冷凍食品にして賞味期限を延長。
【1】常備菜は、ふたをしてスタッキングでき、直火にもかけられる〈野田琺瑯〉ホワイトシリーズのレクタングルで保存。
【2】常備菜は味変が飽きないコツ。例えばレモングラスとカルダモン風味のさつまいも煮にはヨーグルト、ラー油、白ごまを。
Profile…猫沢エミ(ねこざわ・えみ)
渡仏経験を持ち、フランス人のものの愛し方にも影響を受ける。インスタグラム(@necozawaemi)では、暮らしと文章に絶大なファンが。料理エッセイ『ねこしき 哀しくてもおなかは空くし、明日はちゃんとやってくる。』(TAC出版)が好評発売中。