才能あふれるシェフが日本橋に続々集う理由 【日本橋】注目シェフたちが新店を続々オープン。「今、気になる日本橋のレストラン」 FOOD 2022.04.06

老舗が多い日本橋に今、新しい風が吹き始めた。才能あるシェフたちがこのエリアに店を構え、個性的な専門店も続々と登場中。八重洲にも魅力的な店が急増している。変わりつつあるこの街の最旬をご紹介。今回は、「才能あふれるシェフが日本橋に続々集う理由。」をテーマにご紹介。今、才能あるシェフたちの新店が日本橋に集まってきている。このエリアのどこに魅かれたのか?その理由を聞けば、この街の魅力が見えてきた。3月28日(月)発売Hanako1207号「大銀座こそナンバーワン!」よりお届けします。

1.〈acá(アカ)〉「日本橋という場所が自分の実力をさらに引き上げてくれました」

【Chef】東 鉄雄(あずまてつお)
【Chef】東 鉄雄(あずまてつお)

「東海道の終着地・京都三条にいた僕が、その出発点である日本橋に来た。これは縁だったのかもしれません」と東鉄雄シェフ。輸入車の営業マンから25歳で料理人に転身。サンセバスチャンにある世界最高峰のモダンスパニッシュ店で研鑽を積み、2013年に自身の店を京都で開業。4年連続でミシュランの星を獲得するなど快進撃を続けてきた彼が、故郷である京都を離れ、新天地に選んだのは東京・日本橋だった。「もともと京都で別の物件を探していたのですが、なかなか見つからず。そんな時に紹介でこの場所を知りました」。

ほかのエリアも視野に入れ物件を探したが、大人の街といった日本橋の雰囲気、すっきりとした街並み、隠れ家のような店のロケーションも気に入り、2020年8月に移転。曲線が印象的な店内には、茶室に使用される聚楽土の壁をあしらいシックな雰囲気に。向かいの日銀庁舎と違和感がないよう、外壁にはベルギーのアンティークレンガを施した。「厨房には鉄製の薪窯を特注。おかげでメニューの幅が広がったし、収納も増えたので皿で季節感も演出できるようになりました」と、新店舗が料理のレベルアップに大きく貢献していると語る。「日本橋のお客様は本物を知っている。だから技法やプレゼンテーションだけでなく、料理も本物でなければ、と思うんです」

〈acá (アカ) 〉

〈acá(アカ)〉
料理は旬の食材が盛り込まれた全12~13品おまかせのモダンスパニッシュのコースのみ。27,500円~。予約はHPより受付。
■東京都中央区日本橋室町2-1-1三井2号館1F
■03-6262-5090
■17:00~、20:30~(土12:00~、17:00~※いずれも2部制)日休
■8席

http://aca-kyoto.jp/

2.〈de base(デュ バーズ)〉「大地の恵みを感じる料理を毎日食べてほしい」

東京・表参道にあった人気店〈ブラッスリー・ホロホロ〉。惜しまれながら閉店したこの店で長年腕を振るってきた福井量士シェフと久佐球宇シェフ。再開を望むファンの声に応え、昨年7月に彼らが新しく店を構えたのは八丁堀だった。「当初は前の店の近所で探していました。でもコロナ下に思ったのです。今後はハレの日の店ではなく、毎日行く店で食べるシンプルな料理こそが、皆の心身を癒すのではないかと」。

新店はカウンター席もポイント。かつてのレストランより規模を小さくした店内では料理もサービスも2人で兼任。毎日来る人も、1人客も楽しめるように、あえてコースは作らず、約40種以上書き込まれた黒板メニューをアラカルトで用意する。中でも名物はホロホロ鳥のロースト。岩手県のホロホロ鳥専門農家から直送される安心・安全な肉をシンプルに塩だけで焼く。ほかにも西豪黒牛や短角牛など、吟味した食材を、奇をてらわずシンプルに調理。何を食べても滋味深い。「今ある食材を素直においしく。それが店名の由来です」

〈de base(デュ バーズ)〉
料理はアラカルトのみ。黒板メニューは小皿700円~、前菜(温・冷)1,800円~、メイン3,100円~。2人なら別皿盛り、1人客にはハーフポーションでの提供も可能。
■東京都中央区八丁堀2-20-9フロント2F
■03-6280-5759
■18:00~1:00LO(土~23:00LO、日祝17:00~22:00LO)不定休
■16席

3.〈ars(アルス)〉「歴史もあり、家族も住まう町。それが魅力でした」

「もともと35歳になったら自分の店を持つと決めていました」と髙木和也シェフ。東京屈指の名店〈レフェルヴェソンス〉〈ラフィネス〉をはじめ、グランメゾンからビストロ、ホテルまでフランス料理のすべてを学び、念願の独立店を開く場所に選んだのは日本橋・人形町。「理想的な間取りと広さ、そして中央区でありながら近隣に住人も多い。食通の方も多いんですよ」。そう言う彼の店は1つの店の中でレストランとビストロ、2つの業態を分けて営業しているのが特徴。

カウンターのレストラン席では伝統料理を分析し、現代的に表現した全9皿のモダンなコースが登場する。例えばスペシャリテ「オマール海老のパイ包み焼き」はパイ生地と中のファルスの火入れを研究し尽くし、生地はサクサク、中はしっとりとした理想の食感を実現。彼の料理には、そうした独自の試行錯誤が結果となって現れている。料理を試してみたい人には、まずビストロからの利用がおすすめ。アラカルトやお値頃なコースからも、シェフの腕前を満喫できるはずだ。

〈ars(アルス)〉
テーブル席がビストロ。こちらは予約不要。5,500円のお値打ちコースもあり。カウンターはレストラン席。こちらは全9品コースのみで要予約。
■東京都中央区日本橋蛎殼町1-11-9マガザン人形町1F
■03-6810-9610
■11:00~14:00LO(火~木のみ)、ディナー18:00~21:00LO 日祝休
■12席

(Hanako1207号掲載/photo : Yuko Moriyama, MEGUMI, Michi Murakami text : Kimiko Yamada)

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