「忙しくしている方が、楽しい!」真摯に仕事をこなす彼女が語る。#06 KASUMIさん (モデル) 前編

MAMA 2023.08.11

177cmという高身長にショートヘアでおなじみのモデル・KASUMIさん。国内外の数多くのファッション誌や広告で活躍してきた彼女の姿は、一度は目にしたことがあるのではないだろうか。華やかな舞台に立てるのは、ほんの一握りの厳しい世界。今でこそ知られた顔だが、モデルという選択をしてから表に出るまでには時間がかかった。一児のママになった今も続ける仕事への情熱とは。

 

秋田から上京したのは、21歳のころ。実は、モデルを目指すまでには、ファッションとは全く関係ない仕事に就いていたのだそう。

「商業高校を卒業して、そのまま就職する流れに乗り、実は3年ほどカーディーラーをしていました。だんだん自分がファッションが好きだと気づいて、お金が貯まったところで文化服装学院のスタイリスト科に行くことに。入学してみると、周りはおしゃれな人ばかり。私は、田舎者で戸惑ったのですが、とりあえず卒業しようと勉学に励みました。たまたま学内で開催された『ピエール・カルダン 創立60周年記念ファッションショー』で声をかけてもらい出演したのが初めてのランウェイデビュー。場数が増えていくうちに、メイクをしてもらったり、洋服を綺麗に着させてもらうのが楽しくて、モデルを志すことを決意しました」

文化服装学院を卒業後、本格的にモデルをするため事務所に入る。順風満帆に前進したように思えたが、最初はなかなかやりたいことができなかったという。

「事務所に入ったものの、オーディションに落ち続ける日々が続き辛かったです。一目見るなり帰ってくださいと言われることもありました。当時、唯一続けていたのが、〈ヨウジヤマモト〉の仮縫いモデル。1日3時間、着て見せて歩くの繰り返し。かなり大変でしたが、そこでパタンナーをしていたのが今の夫。付き合って5ヶ月経った頃に結婚し、気づけば10年経ちました」

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その後、ハイブランドのショーで、全国を回るように。徐々にファッション誌や広告の撮影も増えていくうちに出会った友人のカメラマン・成尾和見さんに誘われ、海外に移住。1年半ほどロンドンに拠点を移す。

「『KASUMIちゃんもおいでよ〜!』という一声で、英語もわからないけれど軽い気持ちでワーキングホリデーに応募したら、ラッキーなことに一度で通過。2017年から、ロンドンへ。環境が変わるのに初めはドキドキしていたのですが、周りの人に恵まれて、寂しい思いもしませんでした。現地で事務所を探して新たにスタート。日本人としておもしろがって呼んでくれる現場もあり、カタログの撮影やロンドンコレクションの舞台に立ちました。日本は、時間に正確でコンスタントにこなしていくことが多いけど、向こうは1日かけてじっくりと撮るのでとても体力がいります。働ける場が限られているので、ホリデーシーズンになったら、仕事をするために日本に帰国してました。その頃は、忙しくしている方が、楽しかったです。印象的だったのは、イギリスの下着のブランド〈トリンプ〉のワールドキャンペーンのモデルに選ばれたこと。ショーもいいけれど、写真だと形に残るから親にも見せられる。メジャーなメーカーだと喜んでもらえるので、いつもヴィジュアルが出たら秋田の家族に連絡していました」

帰国後もバリバリと仕事をこなす彼女が妊娠したのは、第一回の緊急事態宣言中。世界中が不安の渦に包まれていたが、KASUMIさんは出産に備える真っ只中。案外、気に留めていなかったのだそう。

「2020年4月に子どもが生まれました。コロナのニュースが出たときは、あまりテレビを見ていなかったので状況もよくわかっていなくて。早めに仕事も休業し、外出も控えていたから情報も全然入ってきませんでした。夫がちょうど会社を辞めてフリーランスになったばかりで一緒にいてくれていたので、安心して過ごせました。すぐに仕事復帰しようと意気込んでいたけれど、ファッション業界全体が落ち込んでいる状態だったので、しばらくは子育てに専念する日々を送りました」

後編では、ママになって3年目のKASUMIさんの初めての育児について話を伺いました。

photo:Anna Miyoshi text:Nico Araki Cooperation:TAKE TOKYO

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