小学校1年生になった3人目すいちゃんの、意外な一面|モデル asacoの4回目の育児 – fourth time around
この連載は…… モデルとして雑誌やCMに出演するいっぽう、子ども服ブランド「kitutuki」のディレクターとしても活躍中の asacoさんの連載。実は5月に4人目のお子さんを出産したばかりのasacoさん。4人目育児ってどんな感じ?家族の関係は変化した?家事やお仕事は?などなど、にぎやかな家族の日常を綴ります。
子どもが4人もいると、みんなそれぞれ性格がちがっておもしろいなぁと思うことが多々あります。たとえば、靴下。上2人のときは、その履き方なんて気にしたこともなかったのが、3人目すいちゃんは履かせ方が気に喰わないとものすごい剣幕で怒り狂って「もしかして、この子って神経質なの?」と、びっくりしたことがありました。そしたら、最近になって4人目のかぜおくんにもその傾向が見受けられて、思わず「うわーすいちゃん系だぁ~」と青ざめてしまった…。なんなら、2人目の兄貴なんて、靴下の先が丸まっていても気にせず靴を履いちゃうタイプなのにね(笑)。
お洋服のたたみ方ひとつとってもやっぱり個性が見え隠れして、もしかしたら“たたむ”って概念がないのかも…と不安になるくらい雑な兄貴に引き換えに、ピシッと角が出現するほどに几帳面にたためてしまうのがすいちゃん。正直、大雑把なわたしより断然きれいに仕上げるので、家事に疲れているときなんかはつい彼女を頼ってしまいます。
要するに、きょうだい4人の中で群を抜いてセンシティブなのはすいちゃんだと確信していたところに、最近衝撃な出来事がありました。
6月末、分散登校からやっと通常登校に切り替わった初日のこと。たのしかったよ~と笑顔で帰宅した新一年生のすいちゃんに「今日、忘れ物はなかったよね?」となにげなく尋ねると、返ってきた答えに愕然。
「えっとねー、おんがくとー、あと、どうとくとー … 」
「ちょっと待って!それって、むしろ今日なに持って行ったの?」
「自由帳!」
……なんと、4時間授業の、どの科目の教科書も持っていかなかったという事実が発覚したのでした。
まぁ、まだ始まったばかりの学校の支度を、入学したばかりの彼女にすべて任せていたわたしも悪い。すいちゃんはしっかりしているから大丈夫だと、勝手に思い込んでいたのは否めません。ただ、なにより驚いたのは、それなのに本人がまるで何もなかったかのようにケロッとしていたこと。
「すいちゃん、学校はお勉強するところだから教科書とノートはいつも必要なんだよ?! 今日なにしに行ったのよ、、」と言うと「給食食べに行った!」と、ケラケラ笑うのでした。へぇ、意外と忘れ物には頓着ないんだ。すいちゃんのあらたな一面を垣間見た瞬間でした。
その後も、ふとした会話から体育の授業がある日に体育着を忘れていたことが発覚したりして、母はその度に凹んでしまうのですが
「だからね、体育は見学したんだけど、すいちゃんともう一人見学していた子がいてね、その子とお話しができておともだちになれたの!」と本人は至って前向き(笑)。そして、「すいちゃん、恥ずかしがり屋なのに、こんなに早くおともだちができてうれしー!」とニコニコ顔で喜ぶのでした。聞けば、自分から「おともだちになろう~」って声をかけたそうで、今までの人見知りな彼女からは考えられない行動力。成長ってすごい!
しかしですね、変わらないことももちろんあって、保育園時代からとにかく朝の支度が遅かったすいちゃん。小学生になればさすがに遅刻を気にして、朝食も時間を見ながら食べられようになるだろうと目論んでいたのが、そちらはみごとに裏切られつづけています。基本、8時20分には教室で着席しているはずが、彼女が家を出発する時間が8時20分頃。靴下も、洋服のたたみ方も無頓着な小5の兄貴は遅刻することには、とても抵抗があるようで、最初は仕方なく支度が遅いすいちゃんを待って一緒に登校してくれていたのが、今じゃ耐えきれず先に家を出ます。置いてきぼりを喰らって当初はメソメソしていた彼女も、最近は自分のペースでのんびり登校する方が気が楽だと感じたようで、むしろ「先に行っていいよ〜」なんて促すほど。どんだけ肝が据わってるんだ、新一年生。
思い返せば、わたしは子どもの頃、時代や地域性もあったかもしれませんが、遅刻も忘れ物も絶対にダメ、みんなと一緒がなにより正しいと信じて育ったので、今のすいちゃんの様子はちょっと異様というか、いけない子のように感じたんじゃないかと思います。でも果たして、世の中的なNGだけでその子自身を評価できるのか。忘れ物をしたからお友達ができた、自分のペースだからご機嫌に登校できる。そのNGと思われる裏側に潜む副産物にも、ちゃんと意味はあるのではないか。当時の自分の価値観から一転、4人の子育てを通じてそんなふうに思えるようになりました。
そもそもきょうだいだってみんな違う。子どもたちがもっともっと幼い頃、右も左も分からなかったはじめての育児からの2人目以降、すでに経験しているからこそ気持ちに余裕はあるのだけど、1人目の育て方がすべて他の子たちに通用するかといえばそうではなかったときにハッとした記憶も蘇ります。歩き出す時期、離乳食の進み方、喋り出す時期、オムツが外れる時期だってみんな違って、「早い遅い」「できるできない」に一喜一憂したこともあったっけ。でも、そんな経験を経て、“違い”は個性であって、恐れることじゃない。そのすべては彼らの「らしさ」であって、ちゃんと受け止めてあげることが大切なんだと思いました。
さて、すいちゃんのマイペースはこれからどう進化していくのかわかりませんが、「今日も学校たのしかった!」、その声がこれからもずっと聞きつづけられるよう、陰ながら見守ってゆきたいと思います。