母たちの本音に泣いた、6年生最後の保護者会|モデル asacoの4回目の育児 – fourth time around
この連載は……
モデルとして雑誌やCMに出演するいっぽう、夫婦で手がけるケータリング業「マフィオ」として、最近はママキャンパーとしても活躍中の asacoさんの連載。2018年5月に4人目のお子さんを出産して、ますますにぎやかになった家族との毎日。4児の母ってどう?家事やお仕事は?などなど、なにげない日常から感じたことをつづります。
vol.39 「母たちの本音に泣いた、6年生最後の保護者会」
コロナウイルスで、突然の休校要請。あの衝撃的な決定がくだされる数日前、すでに学校の行事は短縮で行われるものが増えていましたが、まさに滑りこみセーフってタイミングで6年生最後の保護者会はぶじ開催されたのでした。参加する親はマスク着用がマストで、見た目からして重重しい雰囲気ではあったけれど、あの時間があって本当によかった。心からそう思える出来事があって、今でもしみじみとその光景を思い起こしては胸を熱くしています。
結局、前回の記事で書いた「荒れた6年生」は、中学受験が終わっても状況は一転せず…。相変わらず、さわがしい中で授業が行われているようでした。
小学校生活ももう最後だし、あまり親が口出すのもなぁと思う反面、娘のなんとなく腑に落ちないような表情に、最後だからこそおだやかな時間を取り戻してあげたいと思う気持ちもありましたが、正直、わたし自身もどうすることが子どもたちのためなのかがよく分からずにいて、ただ時間だけが過ぎていく日々。そんな折に、保護者会が開催となりました。
6年生に限らず、学年最後の保護者会では、一年の締めくくりとして保護者から一言づつあいさつをするのが通例。担任の先生からも事前に「お子さんの成長などおはなしください」と言われていて、さて、わたしはなにをどう話そうか。日が近づくとともに非常に悩んでいました。
最後くらい当たり障りのない言葉でおだやかに終わらせるべきなのか。でも正直いえば、わたしはクラスが荒れてしまったことに対して、最後にきちんと親同士で向き合えたらいいなぁって思っていました。悩んで悩んで、結局きちんと考えがまとまらずに迎えた当日。
保護者たちがひとり、またひとりと話を終え、ほっこりと温かいエピソードの数々にじーんと目頭が熱くなる…。やっぱり、べつに突っ込んだ話はしなくてもいいのかな。そう思っていた矢先に、ひとりのお母さんが数秒の沈黙のあと、意を決したように、こうはなし始めたのです。
「本当に申し訳ございませんでした」
彼女のお子さんは、確かにわかりやすくクラスで荒れた態度をとっていた子でした。
ただ、こういう事態になると、たびたび学校と親の間で交わされるのは「犯人探しはやめよう」という言葉。要するに、◯◯くんが、◯◯さんが、と特定のだれかに原因を押しつけるのはやめようということなのですが、結果、親も子も非を認める機会がとても少なく思えるのが今の小学校。
状況がはっきりしないことならまだしも、誰が見ても一目瞭然なことでさえ、核心から目を逸らすような対応がとられるのが現実でした。
学校側が生徒を指導しにくい立場においやられる時代に変わったのだから仕方ないのかなと、そこは完全に諦めの境地だったわたしは、突然の、その事実をくつがえすような光景にただただ衝撃を受けたのでした。
そして、涙声で語られる言葉から、どうしたらいいのか彼女自身もずっと悩んでいたのだと知ってやるせない気持ちに。もっと早くに一緒に悩んで泣いて、大人もみんなでその子に向き合えばよかったね。気付いたら、わたしはボロボロに泣いておりました。
すると「我が子も、、、」と頭を下げるお母さんたちが続き、周りのパパママも、なんなら先生も一緒に、みんなで泣きまくるという…。
でも、涙はたくさん流れるけれど、不思議と教室にはどんよりとした空気は一切なくて、むしろ清らかなオーラで満ちあふれていました。子育てって、がむしゃらにやればうまくいくわけではないし、正解もない。でも、たとえバランスを崩したとしても、我が子とはなんとしても向き合っていたいのが母親というもの。
まさに、その状況で無我夢中に突き進む、母たちの確固たる覚悟みたいなものを垣間見た気がして、そしてその姿はとてもとても美しく、わたしの目に映ったのでした。
そんな中で、あるお母さんが涙ながらにこんなことも話してくれました。「いつも自分の子が悪いと決めつけてしまっていたのだけど、先生に『お母さんが一番にお子さんを信じてあげてください』って言われてハッとしました」と。
まだ若くて、元気で活発で、いつも全力でこどもたちと向き合ってくれている担任の先生こそ、荒れた子どもたちに四苦八苦しているその一人のはずなのに。たとえどんなことがあっても、クラスの保護者たちが誰一人として先生を責めることがなかったのは、先生のこの人柄あってこそだなぁと改めて思ったエピソードでした。
ちなみに。わたしはと言いますと、みんなの話だけでずっと涙が止まらなくて、自分の番がきて発した第一声も涙声で見事にふるえまくっていて、ぜんぜんうまく喋れませんでした(涙)。
伝えられたのは、はじめて6年生の親を経験して分からないことばかりだったけれど、腹割ってこどもたちの話をできる同士がこんなにもたくさんできて、このクラスのパパママと出会えてとっても幸せでした、ってことくらい。思い返せば、入学当初はほぼ知っている人がいなくて、こどもと同じくらい私自身も心細かったのになぁ。
こどもたちの姿に一緒になって笑って泣いて、親子で経験したどの思い出も、かけがえのない宝物です。突然の休校で、6年生最後の時間が失われてしまい、親としてはなんともやるせない気持ちでいっぱいなのだけど、せめて卒業式はみんな笑顔で迎えられますように。今はただ、そう祈るばかりです。
休校要請の翌日、あわてて登校時に撮ったこの写真。これが最後のランドセル姿になりませんように!一日も早く、おだやかな日が戻ることを切に願います。