学芸員ラジオDJ・DJAIKO62さんがおすすめする、今見ておくべきアートとは? 〜今度はどの美術館へ?アートのいろは〜「大哺乳類展2-みんなの生き残り作戦」
ラジオ番組で美術展を紹介するうちに美術館巡りの面白さに目覚めたというDJAIKO62さん。コラム連載第13回は〈国立科学博物館〉で開催中の「大哺乳類展2-みんなの生き残り作戦」をご紹介です。はく製や骨格標本500点以上の展示は圧巻です。写真撮影OKなのでインスタ映えスポットとして、親子で楽しむお出かけ先としてもおすすめですよ。
まずは見上げるほどのアフリカゾウの骨格標本からスタート!
圧倒的なスケール!注意書きに「肩車禁止」があったのはもう写真映えを意識してのことでしょう。「大哺乳類展2」のテーマは『生き残り作戦』。哺乳類は子孫を残すために環境に適応した特有のロコモーション(移動運動)能力を発達させてきたそう。例えば肉食動物に追われる立場の草食動物にとっては逃げ足が速いことも重要。どのような進化・発達を経て高速走行が可能になったのか、草食獣でも種類によって独特の歩容(歩く特徴)があることもあらためて知りました。
映画の世界のようなはく製ずらり約200点。
最小で数グラム(ネズミやコウモリ)、最大で100~200t(シロナガスクジラ)という哺乳類。この「哺乳類大行進」エリアは今展の大きな見どころ。ナイトミュージアムかジュマンジの再現かと思わせるような圧倒的な数、約200種類が分類群ごとに紹介されています。
中でも世界初の展示となるのがマッコウクジラの標本です。あまりにも大きいので両サイドから撮影し、見比べやすいように片方を反転させました。2005年に鹿児島県に漂着したオスのマッコウクジラの標本で、全長16mあります。頭部にある特有の器官をわかりやすいように再現、骨格と合わせて一体化した標本を制作しました。
「さわってみよう」も!
展示にはたいてい「手を触れないでください」の表記がありますよね。でも「大哺乳類展2」では「さわってみよう」も充実しています。ゴマフアザラシの毛並みはふわふわ柔らかで想像通り!トラはごわごわとした硬さを感じられました。インパラやザトウクジラのヒゲ板、イッカクのキバ(ツノだと思っていました!)などなど初めて触るものばかりでテンションもあがります!
生き残るために不可欠な「食べる」そして子孫を残すための「産む・育てる」
食べるものによって歯や顎も進化したり退化したりと様々です。200点近い歯や顎を見比べたり、また、「産む・育てる」では生命の誕生、力の弱い赤ちゃん動物の生き残りについても触れられていますよ。
展示室の最後にエピローグとしてある「ヒトの生き残り作戦」、脳の模型と一緒に書かれてあることを是非読んでみてください。主にヒトの活動により哺乳類の約23%が絶滅の危機にさらされているそう(国際自然保護連合調べ)。哺乳類というくくりではみんな仲間、それぞれの「生き残り作戦」として進化を遂げてきましたが、その進化を経た活動が他の種の存続に影響を及ぼしていると考えたことがあるでしょうか?近くには上野動物園もありますね、命の尊さや環境のことなど、普段よりも身近なこととして考えるきっかけにもなると思います。
お土産コーナーも充実!
今展ではプラスチックごみ軽減の取り組みとして、プラスチック製ショップ袋を用意していないそう。いつもよりエコバッグやトートのラインナップが多いのはそんな理由からでした。漫画「へんなものみっけ!」とのタイアップグッズや、「Art of Mammals」に参加している8組のクリエーターのアート作品をモチーフにしたグッズも要チェックです。個人的にはディック・ブルーナや、オーディオガイドも担当された瀬戸康史さんの作品をモチーフにしたグッズが気になりました。
「特別展 大哺乳類展2-みんなの生き残り作戦」
■会場:国立科学博物館(東京・上野公園)
■会期:2019年3月21日(木・祝)~6月16日(日)
■休館日:月曜日及び5月7日(火)※ただし、3月25(月)、4月1日(月)、4月29日(月・祝)、5月6日(月・休)、6月10日(月)は開館
■開館時間:午前9時~午後5時(金曜・土曜は午後8時まで)
※ただし、4月28日(日)~5月5日(日・祝)は午後8時まで、5月6日(月・休)は午後6時まで
※入場は各閉館時刻の30分前まで。
■展覧会公式サイトはこちら