国内外にファン多数。 「台北で最も美しいカフェ」。移転リニューアルした〈時常在這裡〉が気になる!

LEARN 2019.03.05

国内外から“ファン”が押し寄せる人気ぶり。1月に移転リニューアルをしたばかりのカフェ〈時常在這裡〉のマオさんとアーロンさんが思い描く、いまとこれからとは?

ライフスタイルに寄りそう美しく新しいカフェのかたち。

台北 時常在這裡

〝台北で最も美しいカフェ〞のオーナー、マオさんこと毛家駿(マオジャーシュン)さんの物語は、いまや伝説となった一軒の書店からはじまる。

アメリカの『FlavorWire.com』で〝世界で最も美しい書店20〞にランクインした台北の〈好様本事 VVG Something(ハオヤンベンスー)〉。そのデザインディレクターを務めたのがマオさんだった。アート、旅行、グルメに関連する洋書を中心に、なかには竹久夢二の画集まで。台湾のアンティーク小物や雑貨も扱う新しい書店として世界中の注目を集めたことは有名な話。

ほどなくしてマオさんが立ち上げたセレクトショップの一画で、アーロンさんが作る焼菓子を販売したのが、いまの〈時常在這裡(スーツァンザイザーリー)〉の原型だ。

現在の場所に移転したのは、昨年の7月のこと。当時の店舗とは目と鼻の先にある、築50年の趣きある建物。スーツ店の倉庫として使われていたが、窓から差し込む太陽の光が美しく「ここだ」とピンときた。

いまの場所に移転するまでの〈時常在這裡〉はマオさんがセレクトした雑貨を扱う〈時常買生活道具屋(チャンスーマイシャンフォーダオジューディェン)〉と、ゆっくりお茶を飲みながらアーロンさんが作るスイーツを味わえる〈時(スーチャンツークジーディェン)常吃菓子屋〉がゆるやかに融合する店だったが、移転後、カフェをメインにすると決めたのは、いまのふたりにとって最も心地よい場所を作るためでもあった。

店では、開店前から長蛇の列ができることは珍しくなく、マオさんもアーロンさんもうれしい反面、お客さんに申し訳ないという気持ちを持ち続けていた。その思いは行列の長さに比例するようにふくらみ、「並んでもらわなくてもいいように予約制のカフェを作ろう」とふたりで話し合って決めた。

日本と台湾のインテリアからなる、心地よい空間。

日本へ行くたびにアンティークショップや古道具市をチェック。「台湾ではもう見かけなくなってしまった、懐かしい小物や家具に出合えるのが楽しみ」とマオさん。テーブルにさりげなく置かれた小瓶の風合いも美しい。
日本へ行くたびにアンティークショップや古道具市をチェック。「台湾ではもう見かけなくなってしまった、懐かしい小物や家具に出合えるのが楽しみ」とマオさん。テーブルにさりげなく置かれた小瓶の風合いも美しい。
本棚にはマオさんのお気に入りの本や写真集がずらり。ランバロス・ジャー作の『水の生きもの』やヒガアロハの『しろくまカフェ』も。写真は移転前の〈時常在這裡〉の行列の様子がわかる冊子。どの本も自由に閲覧できる。
本棚にはマオさんのお気に入りの本や写真集がずらり。ランバロス・ジャー作の『水の生きもの』やヒガアロハの『しろくまカフェ』も。写真は移転前の〈時常在這裡〉の行列の様子がわかる冊子。どの本も自由に閲覧できる。

新生〈時常在這裡〉の営業日は以前と変わらず週4日。ふたりが日本や台湾で収集して、ずっと大切に保管してきたというインテリアが配された空間では、アーロンさんが作るケーキを食べながら、ゆったりとした時間を過ごすことができる。
「台湾と日本のノスタルジーはどこか似ていて、たとえば、ここにある家具のように昔、おばあちゃんの家で見たという記憶が蘇ってくるものに日本で出合うこともたくさんある。そういう思い出をお客さんとここで共有していけたら」とマオさん。

インスタでも話題!ボリューミィでフォトジェニックなスイーツ。

季節によってアーロンさんが考えるスイーツは、この空間の雰囲気にも似て、やさしく心温まる味わい。

手前「一個草苺鮮奶油戚風蛋糕」(420元)、右「切一片滑順焦糖布丁」(180元)、左「加花椒草苺起司蛋糕」(220元)
手前「一個草苺鮮奶油戚風蛋糕」(420元)、右「切一片滑順焦糖布丁」(180元)、左「加花椒草苺起司蛋糕」(220元)

大粒苺がまるでキャンドルの小さな炎のようなショートケーキやプリンなど、アーロンさんが作るスイーツは見た目も愛らしいものばかり。山椒をきかせたイチゴチーズケーキなど、オリジナリティが光るメニューは常時5~6種用意している。ボリューミィでフォトジェニックなスイーツはインスタでもたびたび話題に。

ふたりが特に気に入っているという台湾の器作家、羅翌慎(ルーイーシェン)のものをはじめ、ケーキを盛り付ける器はシンプルなものが多い。「想像力をかきたてる余白を大事に」というマオさんとアーロンさんらしいセレクト。
ふたりが特に気に入っているという台湾の器作家、羅翌慎(ルーイーシェン)のものをはじめ、ケーキを盛り付ける器はシンプルなものが多い。「想像力をかきたてる余白を大事に」というマオさんとアーロンさんらしいセレクト。

「日本の喫茶店が大好きで、旅行のときはかならず行く」とふたりは言うが、日本はもちろん、どこの国を探しても、こんなに心地よい空気に満ちたカフェは、そうそうない。ふたりの思いをのせた〝世界で最も美しいカフェ〞がいま、また新しい時間を刻みはじめた。

〈時常在這裡(スーツァンザイザーリー)〉/行天宮

店名は台湾語で「いつもここにいるよ」の意味。基本的に第1週目の日曜に翌月の予約を受け付ける。詳細はFacebookにて。
■台北市中山區松江路194巷27號
■02-2562-1618
■14:00~17:00(予約制) 日月火休、不定休あり 
■20席 
www.facebook.com/bwgeneralstore

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Hanako『やっぱり私は、お茶が好き。』

(Hanako1170号掲載/photo : Norio Kidera text : Keiko Kodera)

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