SFからファンタジーまで。 本読みのプロおすすめ!驚愕の展開に思わず夢中になる小説・漫画3選

LEARN 2018.10.14

本読みのプロがおすすめする、驚愕の展開に思わず夢中になる小説・漫画とは?SFからファンタジーまで、豊嵜由美さん、トミヤマユキコさんをナビゲーターにお迎えしてお届け!

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1.コニー・ウィリス『航路』

臨死体験を研究する女性学者・ジョアンナを主人公に、病院の同僚や入院患者など、魅力的な登場人物を配し、医療ミステリー的楽しみも加えたSF大長編。(大森望・訳/ハヤカワ文庫/上下巻 各1,180円)

心停止後に蘇生した人間の約6 割が共通して訴える“臨死体験”。これは、死んでみなくちゃわからないという意味では解明不可能な謎に敢然と挑む長編小説だ。舞台となるのは総合病院。認知心理学者のジョアンナは、仮想の臨死状態を体験できる実験に挑み──。疾風怒濤の展開と瞠目必至の驚きと、そこに付随してくる落涙ものの感動。一気読み間違いなしの傑作だ。(豊嵜由美)

2.ヤマシタトモコ『花井沢町公民館便り』

2055年の事故で《外》から分かたれ、花井沢町は《いずれ滅びる町》になった。無機物だけが往来できる見えない境界。その《中》で暮らす人々の生活と思いを柔らかに描く連作漫画。(講談社/全3巻 各590円)

シェルター技術の開発途中で起こった事故により、外界から隔離されてしまった町が舞台。声も聞こえるし、風だって吹く。でも生物が通り抜けることのできない壁に囲まれた人々は、徐々に希望を失っていく。このまま辛すぎる結末に向かうのかと思いきや、最後の最後で「そうくるか!」な展開。ラスト1 ページまで読み込み、まさかの大どんでん返しに狂喜してください。(トミヤマユキコ)

3.エドワード・ケアリー『堆塵館』

暗い目をした半ズボンの少年の背後には、ゴミと壮麗な館。黒々とした表紙や挿絵が目に焼き付く「アイアマンガー三部作」第一部、新たなファンタジーの世界へ。(古屋美登里・訳/東京創元社/3,000円)

ゴミの山に立つ巨大な館に住まう、奇人変人ぞろいのアイアマンガー一族。物が自らの名を告げる声が聞こえるという異能を持つ15歳のクロッドと、16歳の召使いルーシーが出会うことで、館の運命が大きく動いていく。二人と共に、館の中やゴミの山を逃げたり探し回ったりするうちに、生まれる謎と明らかになっていく真相。ラストに超ド級の「!」が待ち受けている。(豊嵜由美)

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豊嵜由美(とよざき・ゆみ)/書評家。文芸誌から女性誌まで多数の連載を持つ。著書に『ニッポンの書評』『まるでダメ男じゃん!「トホホ男子」で読む、百年ちょっとの名作23選』など。

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トミヤマユキコ(とみやま・ゆきこ)/ライター、研究者。少女漫画、文芸、サブカルにまつわる執筆や連載を抱える。著書に『パンケーキ・ノート─ おいしいパンケーキ案内100』がある。

(Hanako1127号掲載/text:Hikari Torisawa)

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