たった一枚の布があればOK。部屋の印象を変えるオシャレな人の布使いテク
こばやし・ふみえ/2012年よりインド・デリーを拠点に、手仕事の布をデザイン、生産を通じて伝える「キヤリコ:インド手仕事布の世界」を開始。奈良公園内でギャラリーショップ〈キヤリコ:ザ・バワン〉を運営。
季節に合わせて布を替え、その表情を遊ぶ。
インドのデリーにも拠点をもち、当地の手仕事による布を日本に紹介する〈キヤリコ〉の小林史恵さん。一年の半分程度を過ごすという日本の住まいはシンプルだが、その時々に応じて布を楽しむ。室内のところどころに布を吊り、アートのように飾る。
「私はシンプルななかに少し布がある風景が好きで、柄の強いものを出す場合はほかの布を片付けてしまうことも。頻繁に入れ替えながら楽しんでいます」
布の織り、刺繍、色などの要素を眺めることが好きで、「陽の光で表情は刻々と変わりますし、夜は外灯の光を受けて影が浮かぶことも。見るたびに雰囲気が違うので飽きることがありません」とも。季節によって選ぶ布も変わり、冬に近づくほどに暖色の赤い布が増えていく。
若い時から布に関心があり、高校生の頃に雑貨店で購入したシーツはいまも手元に残る。それが奇(く)しくもインドの布だったと小林さん。仕事柄、手元に残るサンプルも少なくない。道具として使い、変化を観察することも。退色した布などは販売を見送って手元に残すが、小林さんにはそれも魅力だ。一期一会の布はつい手元に置いておきたくなってしまうという。めでる対象であり、日々使う道具でもある布。小林さんの日々はまさに布で美しく彩られている。
さまざまな国の手仕事を身近に置いて。
小林さんの自宅ではインドの手仕事布に限らない。気になる布、インスピレーションを得られる布をチークのラックにただかけてある。ほかにも布をアートのように飾る。
大判の布はシックな柄を選んで。
壁に吊すのはバングラデシュのサリー。木版で柄を重ねた凝った仕上げが魅力的。大きい布は強い柄ではなく、落ち着いた色合いのものを選ぶと飽きずに楽しめるという。
年月で変わる色合いも魅力の一つ。
デリーに住みだした頃に見つけたバンジャラ布のクッションカバー。色あせてきた表情も魅力的と小林さん。冬になると赤い布など暖色の布を生活に取り込むという。
時や場所が変われば見方も変わる。
床に敷くのは、インドで暮らしていた30代の時に友人から贈られたアフガニスタンのラグ。インドではお蔵入りしていたが、日本の住まいで広げるとお気に入りに。
高校時代から愛するインド綿の布。
高校生の頃に、当時海外雑貨を積極的に紹介していた〈アフタヌーンティー〉で購入したインド綿のベッドシーツ。高校生には高額だったが2枚購入し、いまも大切にしている。
布があれば家は形づくれる。
家電やOA機器なども布をかけることで佇まいがやわらぐ。「インドで布はフレキシブルな道具。床に敷いたり、テント状に吊ったり、荷物を包んで運んだり」と小林さんは言う。