夢への課題を細分化し、ひとつひとつ乗り越え… 『ヒルナンデス』出演で人気上昇中!〈日本テレビ〉アナウンサー・滝菜月さんが夢を実現するまで。
いつの時代も「働く女性の理想」を写している女性アナウンサー。『ヒルナンデス』出演で人気上昇中の〈日本テレビ〉滝菜月さんが、中学生でアナウンサーを志してから重ねてきた並々ならぬ努力から、いま目指す理想のアナウンサー像までを語ってくれました。Hanako創刊30周年特別企画『働くことと、生きること。46人の、転機と決断。』「時代とともにある、ひとつの理想。「女性アナウンサー」という仕事。」よりお届けします。
滝菜月/北海道出身。2016年日本テレビ入社。現在は『ヒルナンデス!』(月~金曜11:55~)にアシスタントとして出演中。最近は、美術館に行ったり、舞台鑑賞するのが楽しいとか。
「小さいときは人見知りが激しくて、色んな人と喋りたいのに勇気が出せず、いつも人の後ろにいるような子供でした。もっとたくさんの人と話をして、世界を広げたい。そう思っていたときに、テレビの中で喋るアナウンサーが、とても眩しく見えた。私もあんなふうになれたらいいのに…。そう思ったのが、アナウンサーを目指した最初のきっかけです」
一言一言、丁寧に。相手の目をまっすぐ見ながら、自らのことを語る滝さん。出身は北海道の音更町だ。
「とても自然豊かな…、田舎とも言うかもしれませんが(笑)、アナウンサーを夢見るなんて、全く現実味がない、のどかな町で育ちました。でも中学生のときにアナウンサーを目指すと決めて、そのためには東京の大学へ行くんだ、ならばこの高校へ進学しなくちゃダメだ、そのために今は目の前にあるこの課題をこなさなきゃ、と、夢への課題を細分化し、ひとつひとつ乗り越え…。なんとか一番の憧れだった、日本テレビのアナウンサーになる夢を実現できました」
頑張ってきた自分のために、夢は簡単に諦めない。
文字通り夢を叶え、めでたくアナウンサーになった滝さん。しかし入ってみると、想像とはまったく違う世界が待っていたようで…。
「一番最初に思ったのは、〝華やかな世界じゃなかった〞ということです(笑)。私はバラエティを中心にテレビを見ていたので、アナウンサーって、楽しく明るく番組を進行するのが仕事だろう、と思っていたのですが。そこへたどり着く前に、学ばなきゃいけないこと、身につけなくてはならないことが山のようにあったんです。毎日、発声練習を1時間半×3回。加えて、私は同期の中で唯一関東以外の出身者だったので、アクセントの矯正もしなければならなかった。喋る職業なのに、喋るところまで全然たどり着かない。それが本当にショックでしたね」
様々な苦労を軽やかに話す滝さんだが、実は相当な努力の人。大学時代は、勉学はもちろん、アナウンススクールに通うためにいくつもアルバイトをしたり、見えないところで頑張りを重ねてきた。
「結構頑固なタイプだと思います。一回〝こうなりたい〞って思ったら、諦めないし、信念はなかなか曲げないほう。アナウンサーは身の丈に合わない夢かと思うことだってありましたが、そのために頑張ってきた日々を考えると、とても諦められなかった。弱音を吐いたら、それこそ中学生から努力してきた自分に申し訳なくて…。途中で諦めることは、頑張ってきた自分を裏切ることになってしまうので、悔いのないようにやりたいと、いつも思っています、何に対しても」
日本テレビに入りたかったのは、『ヒルナンデス!』の大ファンだったから、と目を輝かす滝さん。
「家事のコツや時短法などを、楽しく伝えてくれるところが大好きで。いつか『ヒルナンデス!』を担当したい。アナウンサーになり、それが次の夢でした。なので去年の秋に出演が決まったときはもちろんうれしくて、でもすぐに不安が襲ってきて…。生放送の番組では、アナウンサーは常に臨機応変な対応が必要不可欠だと思うのですが、それが自分にできるのか。しかも突然意見を求められることもある中で、そこで自分はうまく受け答えできるのか。…考えて、考えて『入社8年目の水卜さんと2年目の私では実力が違うんだから、初めから同じクオリティは難しい。自分らしくやっていこう』というシンプルな結論を出しました。私は頑張ろうとすると、すべてを自分で背負おうとしがちなのですが、助けていただきながら頑張ればいいんだ、と腹をくくりました。始まって約9カ月、まだまだ肩に力が入っていると思いますが、徐々に自分らしく番組を進行できるようになってきたかな、と思います」
制作陣の意図を汲み取れる、そんなアナになりたい。
アナウンサーは、〝制作側で唯一テレビに出ている存在〞。制作陣が作り上げた番組という〝作品〞を、画面から視聴者に届けることが、アナウンサーの役割だと滝さんは言う。
「バラエティのスタッフさんって面白い雰囲気の方が多いのかと思っていたら、皆さんものすごく真面目。ストイックに笑いを追求しているんです。最初はそのことにとても驚きました。もちろんそれはバラエティだけではなく、どの番組にも制作陣の熱い思いや意図があるんだと、今は肝に銘じています。私たちアナウンサーは、それを踏まえた上で、番組進行をするのが与えられた役割。例えば『ヒルナンデス!』のロケのコーナーだったら、なぜこれを映すのか、なぜこの質問をこのタイミングでするのか、など、あらかじめ疑問点を解決し、制作陣の狙いを把握しておきたいと思っています」
まっすぐ、一生懸命。「ひとつの夢が叶っても、また次の夢のスタートラインがあるんです。その繰り返しが一生続くのかなあ」と笑う。でもその生真面目さゆえ、疲れることもあるのでは…?
「仕事は楽しくて、やりがいもあります。うまくできたときには本当にうれしいんですが、家に帰ると結構疲れがドッと…(笑)。そんなときは、とりあえずお風呂にゆっくり入って、あ、最近ウクレレを始めたので、ちょっと爪弾いて癒やされたり。あと、家庭菜園が趣味で、それも癒やしの時間かな。ベランダでいろいろ野菜を育てているんですが、それが楽しくて。どんどん増えて、今19種類に。でもベランダがそれほど広くないので、洗濯物が干せない上に、最近エアコンの室外機の前にもプランターを置いてしまって。苗に温風がかかるといけないので、エアコンが使えないという問題が!!夏に向かって野菜とどうやって共存を図るか…。目下の悩みはそれですね(笑)」
Q & A
Q.憧れのアナウンサーは?
A.TBSの安住紳一郎アナ。同郷で、この職業に憧れたきっかけの人。同じ仕事に就き凄さを改めて実感。
Q.理想とする女性像はありますか?
A.あえて、作らないようにしています。真似しようとすることで、自分らしさをなくしてしまいそうで。
Q.子供の頃は何になりたかったですか?
A.通訳になりたかった。たくさんの人と話をし、世界を広げたいと思っていた…ような気がします。
Q.10年後、どんな自分になっていると思いますか?
A.制作陣、後輩アナなどから、頼もしい人だと思われていたい。あと、ゲストを迎える番組をやりたい!
Hanako『46人の、転機と決断。』特集では、女性アナウンサーを多数ご紹介しています。
(Hanako1159号掲載/photo : Hiromichi Uchida text : Yuki Kono)