気づいたら集めていた大判のハンカチ。スカーフやヨダレ掛けとしても◎|前田エマの、日々のモノ選び。#19

気づいたら集めていた大判のハンカチ。スカーフやヨダレ掛けとしても◎|前田エマの、日々のモノ選び。#19
気づいたら集めていた大判のハンカチ。スカーフやヨダレ掛けとしても◎|前田エマの、日々のモノ選び。#19
LEARN 2024.11.01
30代という年齢は、“モノを選ぶ眼”が育ち養われてくる年齢ではないだろうか? 流行りものやブランドものではなく、自分が心地いいモノを選びたい。生産の背景を知り好きになるモノだったり、多少値が張っても人生をかけて大切にしたいと思えるモノだったり…。そういった視点でモノを選ぶ前田エマさんが、ご自身の私物とともに「モノの選び方」について綴る連載です。第19回目は“ハンカチ”について。

大判の薄いハンカチが好きで、いつの間にかたくさん集めていた。自分で買ったものもいくつかあるが、友人がプレゼントしてくれたものも多い。

ハンカチを人に見せる機会なんてそうそうないと思うけれど、私の場合はよくある。食事をする際、私はヨダレ掛け(よく言えばエプロン)のようにハンカチを使って、服が汚れないようにする。

そんな姿をしょっちゅう見ている友人たちが、私にハンカチをプレゼントしてくれているように思う。

動物柄のハンカチは、全部友人たちからもらったものだ。動物に対してあまり感情がない私。でも、カバンからチラッと覗く動物たちと目が合うと、すこし愉快な気持ちになる。

キツネ柄は、〈ピエール マルコリーニ(Maison Pierre Marcolini)〉とファッションレーベル〈メゾン キツネ(Maison Kitsune)〉がコラボレーションしたときのもので、フードエッセイストの平野紗季子ちゃんがくれた。

ネコ柄のものと〈ミナペルホネン〉の動物モチーフは、仲良しな編集さんからの贈り物。こちらをスッと見つめる馬のハンカチは、画家の黒坂麻衣さんと、ハンカチブランド〈H TOKYO〉とのコラボレーションで、いつも本の話などをして盛り上がる友人がくれた。

〈H TOKYO〉はハンカチの専門店で質の高いこだわったハンカチを扱っている。好きな文字や柄の刺繍を入れたりして、カスタマイズしてオリジナルアイテムを作ることのできる店だ。

大判のハンカチが好きなのは、さまざまな使い方ができるから。日差しが気になる時は頭に巻いて帽子代わりにしたり、首の後ろの日焼けを遮るためにスカーフのようにして首に巻いたり。ヨダレ掛けとしても、ランチョンマットとしても使える。

今となっては私の生活になくてはならない薄手で大判のハンカチ。ここに辿り着くまで、私はずっとタオル素材のハンドタオルを使っていた。そんなときに出会ったのが、片面はタオル素材、もう片面はガーゼ素材のミニハンカチだった。

花柄が好きでふと手に取ったのだが、ガーゼ素材の使い勝手の良さに驚き、次にガーゼ素材の大判ハンカチを買ってみた。柔らかくて、タオル素材のものよりもカバンの中で邪魔にならない。すぐに水分を吸い込んで、ビショビショになってしまうかと心配していたが、乾きがはやいので気にならなかった。

私の持ち物は黒くてシンプルなデザインのものが多い。けれど、花柄や動物柄などハンカチだけは派手なものを持ち歩く。カバンを開けると真っ黒だが、ハンカチがカラフルだとそれだけで、なんだかうれしい気持ちになるから不思議だ。

冠婚葬祭や、ちょっとした特別なシチュエーションのときに使うのは、レースが使われていたり、刺繍の凝ったハンカチだ。

そう言った類のハンカチをはじめて手にしたのは、祖母の家に行った時。「あまり使っていないから」といくつかもらった。

それとは別の日。祖母とデパートへ行った際、ガーゼ素材のハンカチに私のイニシャルEが刺繍されたものを買ってもらった。しっくりくる気がした。

グレーに白い糸で花柄の刺繍が施されているのは、〈ミナペルホネン〉のハンカチ。これら「特別」なハンカチは、お菓子が入っていた白い缶ケースに入れて保管している。特別なときに、缶から取り出して使っている。

こうやって書いてみると、ハンカチは気持ちに寄り添うものなのかもしれない。いつもの毎日を少し特別にしてくれるものでもあるし、特別な日をもっと特別にしてくれるものでもある。悲しい特別も、うれしい特別も、そっと包んでくれるような気がする。

プロフィール
前田エマ
前田エマ

1992年神奈川県生まれ。東京造形大学を卒業。オーストリア ウィーン芸術アカデミーの留学経験を持ち、在学中から、モデル、エッセイ、写真、ペインティング、ラジオパーソナリティなど幅広く活動。アート、映画、本にまつわるエッセイを雑誌やWEBで寄稿している。2022年、初の小説集『動物になる日』(ミシマ社)を上梓。6月20日に韓国カルチャーガイドブック『アニョハセヨ韓国』(三栄)を刊行。
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