パリの伝統刺繍×オリジナリティ溢れるアクセサリーで注目! 26歳で渡仏。一流メゾンとのコラボも果たした刺繍作家・小林モー子さんのターニングポイントとは?
パリの伝統刺繍技術を用いた身近なモチーフのアクセサリーが人気を呼んでいる、刺繍作家・小林モー子さん。一流メゾンとのコラボも果たした彼女の気になるキャリアの歩みとは?Hanako創刊30周年特別企画『働くことと、生きること。46人の、転機と決断。』「転機は通過点。オンリーワンな仕事をする人。」よりお届けします。
パリの伝統刺繍に身近なデザインを採用。
刺繍作家・小林モー子/パリでオートクチュール刺繍を学び2010年に帰国。〈maison des perles〉を設立し、アクセサリーの制作を本格的に開始。著書に『Au F il d es Perles メゾン・デ・ぺルルの刺繍』(主婦と生活社)がある。
吹き出しや宇宙人、動物も野菜もビーズのブローチになる。一風変わったモチーフで、伝統刺繍のイメージを変えた刺繍作家の小林モー子さん。「リュネビル法」というオートクチュール刺繍の伝統技術を用いたアクセサリーを作る。最近では一流メゾンとのコラボも果たした。
小さな頃から洋服を作ったり手芸をしたりするのが好き。高校時代にバイト先でアパレル関係の人たちに出会い、文化服装学院の名を知り、進学を決める。専攻はパターンだった。
「自分が海外に行くなんて全然考えていませんでした。文化服装学院の3年の時に展覧会でパリのオートクチュール刺繍を初めて見て、いつかやってみたいなと思ったんです」
アパレル会社は忙しい。パタンナーとして昼夜問わず働く日々が続く。しかし、ある日。旧友との飲み会の場で友人の一人がパリ行きを漏らす。「それを聞いた時に火がついてしまったんです。私も負けてはいられないと(笑)」
ふとした友人の言葉が背中を押し、新しい世界への扉を開いた。26歳で渡仏。7年間パリに住み、伝統刺繍の技術を学ぶ。と同時に、刺繍の古臭いイメージを払拭したいと考えて、自分の作品を作り始める。
クロッシェ針を使って、一つひとつビーズをたぐり寄せる、繊細な作業だ。「伝統的な蝶や花ではなく、自分が欲しいと思う身近な絵柄のブローチを作るようになったら楽しくて、モチーフも尽きないので飽きませんね」
小林モー子さんのターニングポイントとは?
①カフェのバイトで面白い大人に会う。
高校時代に地元・茅ヶ崎にあったアパレルブランド「SPORTIF」のカフェで働く。ファッション関係の人たちの出入りが多く、大いに影響を受ける。「社長もすごくセンスがいい方で、店の内装だったり、テーブルセッティングも含めて、いろいろと勉強になりましたね」
②展覧会でパリの刺繍に魅せられる。
専門時代に友人と行った渋谷の美術館で開催されていた「パリ、モードの舞台裏」展で、初めてオートクチュール刺繍の世界に触れる。「見た瞬間に、やってみたいと思いました。でも学校ではパターンの勉強をしていたので、ひとまず経験を積んでお金を貯めようと思った」
③パリの蚤の市で大月雄二郎に出会う。
アンティークのものが好きで、蚤の市に通っていた時に、画家の大月雄二郎と出会う。年齢はかなり離れていたが意気投合し、彼の絵に小林さんが刺繍を施すというコラボレーション作品を作り始める。この頃から、もともとあだ名で呼ばれていた「モー子」を作家名とする。
Hanako『46人の、転機と決断。』特集では、オンリーワンな仕事をする人を多数ご紹介しています。
(Hanako1159号掲載/photo : Ayumi Yamamoto text : Keiko Kamijo)