きゃりーぱみゅぱみゅの大人なLADYになるわよコラム
~第59回 私語が多くて気になるわよ~
きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。今回はマシンガントークの人について。
第59回 私語が多くて気になるわよ
皆さま、ごきげんよう。マシンガントークの人にどう注意したらいいのかよくわからなくなってる、きゃりーぱみゅぱみゅです。
いや、おしゃべりであること自体は別にいいんですよ?
でも仕事で切羽詰まってるときとかに “どこそこに新しくできたパン屋さん”みたいな私語をずっとされるとイラッとしてしまうんですよね。
こっちは集中したいのに~って。
とはいえ「今、パン屋の話やめてもらっていいですか?」とは言えないんだよなあ…。
私は昔からそうなんですけど、本人を前にすると言いたいことが言えなくなってしまいます。
それに私が「ライブに関係ないことをしゃべらないでほしいです」みたいに直接注意するのは言葉が強くなりすぎると思うし、今はパワハラとかいろいろありますからね。
だから間に誰か人を挟んでやんわり伝えたほうがいいのかな?と悩んでいます。
ただこの問題、難しいのが、マシンガントークはその人の個性でもあるというところなんですよね。
注意の仕方によっては人格否定みたいに捉えられかねない、実はめっちゃデリケートな問題だったりします。
もちろん、おしゃべりなのはその人の良さでもあるんですよ。
実際にそれによって場が明るくなったり、緊張がほぐれたりすることもよくあります。
私もそういうアットホームな雰囲気は大好きですし、そもそも私自身おしゃべりはめっちゃ好きです。
こないだ飛行機に乗ったときも、マネージャーさんと席に座った瞬間から某元暴露系YouTuberの話を始めたんですけど、2~3時間後に飛行機が着陸したときもまだその話をしてたくらい私はおしゃべり好きだし、自分はおしゃべりの星を持っていると思うほどです。
ところが、これが例えば海外ツアーとかだと、ふと「いやいや遊びで来てねーから😡」という気持ちになるという…。
やっぱアウェーでのライブってめっちゃ緊張するし、大多数のスタッフさんたちからもそれは伝わってきます。
それなのにはしゃいでると、なんか旅行気分っぽく思えてきちゃうんですよね。
まあ、マシンガントークの人からしたら「え、きゃりーさんこっち側だったじゃん?」ってなると思います。
自分がしゃべりたいときだけしゃべって、余裕がなくなったら黙れっていうのは、うーむ、これは私が都合のいい性格をしてるということなんでしょうか?
…と、そんなことを悶々(もんもん)と考えたんですけど、でも結局マシンガントークの人って、ただ何も考えずにしゃべってるだけだと思うんですよね。
もう無意識でしゃべってる。
もはや呼吸といえるレベルです。
だからたとえ私が遠回しな言い方で注意をしたとしても、絶対気づいてくれないと思うんですよね。
ちなみにうちの事務所には人の話を流す“スルーの達人”がいるんですけど、その人がどれだけスルーしても、マシンガントークの人はいつもまったく気にしないでしゃべくり倒してます。
じゃあ、私も気にせずスルーしちゃえばいいじゃんって話なんですけど、でも自分にはどーーしてもそれができないんですよね。
昔からほんと人の話を流せなくて、美容室でも話しかけられたら、いちいちちゃんと答えようとしてしまうタイプです。
どんなに些細なことであっても、向こうが良かれと思ってやってくれることに対して、それをないがしろにするようなことができません。
なので、人の話をうなずきもせずに激スルーしてる人はほんとすごいと思う。
そして、スルーする側も、スルーされても気にしない側も、どっちもメンタル鬼強だなあと感心してしまいます。
気にしいの私は、その狭間(はざま)で「え、今なんて言いました?」とスルーされたトークの残骸を拾い集めてばかりです。
そしてこれが時として重荷になるんですよね。
もういちいち拾ってられんわ!という…。
皆さんは、私語が多くて気になるときにどのように接していますか?
音楽聴いてるふりをしたりしてスルーするべきなのか、それとも私語を慎むようにちゃんと注意するべきなのか。
注意するにしても遠回しな言い方だと伝わらないだろうし、かといってストレートな言い方にすると、先ほども述べたように個性の否定みたいになっちゃいそうで頭を悩ませています。
ていうか、そもそも注意したところで直るものでもなさそうですけどね…。
あと、これは私自身の問題なんですけど、人に注意するときになぜか“いい人”になろうとしてしまう習性にも困っています。
これを言ったら相手が傷つくんじゃないか?とか、あーだこーだいろいろ考えた結果、角が取れてまん丸になった言い方をする人畜無害ないい人になっちゃうんです。
それで、すっごい遠回し遠回しで伝えようとしたあげく「ま、いいんだけどね…」みたいなフワ~っとした着地からの、うやむやになって結局何も変わらずというパターンがあるあるです。
相手のメンツを潰さないよう気を配りまくってるから、こうなっちゃうんですかね?
私は本心では誰にどう思われようと構わないし、別に嫌われてもいいとすら思ってるのに、こうなってしまうのが不思議です。
でもよくよく振り返ってみると、私の行動って“こうしたら相手の顔を潰してしまう”ということばかり気にしてるんだよなあ…。
これはさっきのスルーできないという話にもつながります。
スルーするということは、つまり話してる相手の顔を潰すことになるし、そもそも相手が良かれと思ってやってくれていることを自分は切り捨てることができません。
思えば、私はお母さんから「礼には礼を」と叩き込まれて育ちました。
相手から受けた恩には、ちゃんと敬意をもってお返ししなさいと。
たぶんその教えのせいで、マシンガントークをつい拾ってしまう呪いがかかってしまって、それに追いつかなくなって悲鳴をあげてなう、ってことなんでしょうね…。
いや~、母の教えの根深さが恐ろしいです。
私は自分の子には「時にはスルーを」を教えたいと思います。