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狭いベランダでもハーブは育つ! プロ直伝、家庭菜園のアイデア
都内最大級のガーデンセンター〈オザキフラワーパーク〉の倉田絵梨さんに室内で育てるハーブのコツなどを教えてもらいました。また、実際にコンパクトな庭や狭いベランダでハーブや野菜を育てている人にアイデアや収穫後の楽しみ方も聞きました。
- ▽ハーブを室内で育てる3つのポイント
- ▽1. ハーブの種類
- ▽2. 日当たり
- ▽3. 風通し
- ▽初心者も育てやすいハーブ3種
- ▽1. イタリアンパセリ
- ▽2. ローズマリー
- ▽3. ディル
- ▽コンパクトな庭で食べられるグリーンを育てるアイデア
- ▽1. 収穫したあとは…お湯を注いでハーブティーに
- ▽2. 収穫したあとは…香り高いハーブはポプリにする
- ▽3. 収穫したあとは…足湯にして全身リラックス
- ▽4. 収穫したあとは…テーブルで自由にトッピング
- ▽狭いベランダでハーブや野菜を育てるアイデア
- ▽1. 収穫したあとは…おもてなしのレシピもハーブが決め手に
- ▽2. 収穫したあとは…保存食の香りづけにも大活躍
- ▽3. 収穫したあとは…ミントを使ったノンアルモヒート
- ▽4. 収穫したあとに…たくさん収穫したら干してアレンジも
ハーブを室内で育てる3つのポイント
都内最大級のガーデンセンター〈オザキフラワーパーク〉の倉田絵梨さんに室内でハーブを育てるポイントを教えてもらいました。
1. ハーブの種類
あまり背丈が高くならないイタリアンパセリやパクチー、チャービルなどがおすすめ。小さめの鉢でも育つので、キッチンや窓辺にも置きやすい。
2. 日当たり
南向き、または午前中に日当たりのいい窓辺に置くのが基本。キッチンなどあまり日が入らない場合は、たまに外に出して日光浴をさせよう。
3. 風通し
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ムレてしまうと葉っぱが黄色くなる原因に。風通しが悪い場合は、扇風機やハンディファンで風を送ってもOK。エアコンの直風が当たる場所はNG。
初心者も育てやすいハーブ3種
引き続き〈オザキフラワーパーク〉の倉田絵梨さんに初心者が育てやすいハーブをポイントとともに3つ教えてもらいました。
1. イタリアンパセリ
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丈夫なので室内もOK。土は乾燥ぎみにし、乾いたらたっぷりと水を与える。ムレに弱いので、葉が増えたら随時収穫する。外葉から収穫すると中から新しい葉がどんどん出てくる。収穫後はサラダやスープに散らすなど。
プランターの大きさ:小型~
植え付け時期:9~5月
収穫期:10~12月、2~6月
2. ローズマリー
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多年生の常緑低木。立ち性、ほふく性、半ほふく性の種類があり、鉢で育てるなら立ち性がおすすめ。日当たりがよく、乾燥した環境を好む。土が乾いたらたっぷりと水を与える。生育が旺盛なので、根詰まりに注意。
プランターの大きさ:小型~
植え付け時期:3~5月、9~11月
収穫期:枝が伸びたら随時
3. ディル
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5月末に植えると、夏頃に葉が随時収穫でき、秋には種も収穫可能。根がまっすぐ下に育つので、深さ20 ㎝ 程度の鉢に根を傷つけないように植える。花芽が付いた茎をカットしながら育てると葉の収穫時期が長く楽しめる。
プランターの大きさ:中型~
植え付け時期:3~5月、10月
収穫期:4~7月
オザキフラワーパーク
住所:東京都練馬区石神井台4-6-32
TEL:03-3929-0544
営業時間:9:00~19:00
定休日:1/1~2休
HP:https://ozaki-flowerpark.co.jp/
〈オザキフラワーパーク〉は、花苗、庭木、野菜、生花、園芸用品、アクアリウムまで揃う。
コンパクトな庭で食べられるグリーンを育てるアイデア

滝口和代さんが夫と子どもと3人で暮らす、都心にあるマンションの一室。庭付きなのは、1階ならではの特典だ。もともと植えられていたという椿の木や、滝口さんが植えたティーツリーに囲まれた庭は、隣の家の庭とはフェンスで仕切られているだけ。
「お隣さんは私よりもずっと庭仕事に詳しいので、この枝はそろそろ切ったほうがいいんじゃない? と、アドバイスをくれるんです(笑)」
園芸の知識はほとんどない、という滝口さん。山形で生まれ、おばあちゃんが庭仕事や畑仕事をしているのを見て育ち、大人になった今も木の下で過ごすのが好きだという。
「ここは、あまり日当たりはよくないし、ジメッとしているので、今までいろいろと植えてみましたが、根づかずに枯れてしまったものもあります。食べられるもの、香りがいいものが好きなので、日陰でもよく育つローズマリーやミントは地植えに。今年はミニトマトにも挑戦しています。これから実が赤くなるのが楽しみです」

植物はなるべく長持ちさせたいので、初めて育てるものはまずは鉢に植えて、庭と相性がよさそうなものや強いものを地植えにしているそう。そうやって試行錯誤していくうちに、自然とこの土地に合うものだけが残ったのだとか。
「庭の中でも、場所によって育ち方が違うので、植えてみないとわからない。やりながら学んでいく感じです。以前、園芸に詳しい友人から、植物はエネルギーの塊だから、そのエネルギーを循環させていくことが大事だと教えてもらいました。弱っている葉っぱや育ちすぎた葉っぱを取り除いてあげたり、植物の新陳代謝をよくすることを心がけています」
植物がうまく育ってくれなくても「しょうがない」とおおらかな気持ちで向き合えるようになったという滝口さん。
「庭づくりは、子育てと同じで思い通りにはいきません。意気込まず、ゆるい気持ちで育てるくらいがちょうどいい」

〈FELCO〉の剪定ばさみや〈Stewart〉の持ち手付きバスケットは使い勝手がよく長年愛用。ジョウロは、グリーンの中でも映えるオレンジカラーをチョイス。
1. 収穫したあとは…お湯を注いでハーブティーに

スペアミントとローズマリーのフレッシュハーブティーは、ガラスの茶器で目でも楽しむ。すっきりとした清涼感のある香りと味に癒される。「はちみつを入れたり、冷やして飲んでもおいしいですよ」
2. 収穫したあとは…香り高いハーブはポプリにする

ローズマリーやラベンダーがたくさん収穫できた時は、紐で束ねて吊るし、庭に飾りながら乾燥。「ドライになったラベンダーは、花をお皿に入れてリビングに置いて香りを楽しんでいます」
3. 収穫したあとは…足湯にして全身リラックス
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育ちすぎたハーブは、お湯に浮かべて足湯に活用。揉んで、ちぎってから加えると香りが立つ。「冷え性を改善したくて始めたら、今では生活の一部に。血行がよくなり、頭から足までスッキリします」
4. 収穫したあとは…テーブルで自由にトッピング
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市販のビールやドレッシング、ピザやポテトチップスにハーブを加えてアレンジ。「ハーブを料理やドリンクに使う時は、遊び気分で試してみると思いがけないおいしさに出会えることがあるんです」
狭いベランダでハーブや野菜を育てるアイデア
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ローズマリー、ディル、バジル、ミント、カモミール、紫蘇、レモングラス、ルッコラ、山椒にパクチー……集合住宅のベランダとは思えないほど多種多様なハーブや野菜を育てている編集者の佐々木素子さん。
「今どきスーパーでもハーブ類は手に入る。でも割高だし、一人暮らしだと使い切れず冷蔵庫の中で干からびてしまうこともある。その点、鉢で育てていれば使いたい分だけ間引いて摘み取ればいい。その気やすさがなによりの魅力です」
狭いベランダに置くための工夫もいろいろ。縦型の庭用スタンドを置き、足元に鉢を広げず、高さを生かして配置。プランターは同じ種類のもので揃えることで無駄なくスペースを活用できる上、見た目にもすっきりとした印象になる。
「縦型スタンドはボード部分がメッシュ素材。上から順に水をあげれば余った水が下に落ちるので効率的です。植物の世話は毎日のこと。あちこちに配置すると水やりだけで時間がかかるので、自分にとって育てやすい環境を作るのがおすすめです」
お金をかけすぎないというのも佐々木さんのモットーだ。
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「それでも長期で旅行に行くなどやむを得ない事情で枯らしてしまうこともある。地植えと違い、うまく生長しないことも。だからベランダ菜園は欲張りすぎないことも大事。手に入りやすい一年草の苗からはじめるとか、道具を揃える際も、100均で売っている手頃でかわいいガーデニンググッズから選んでみるとか。リーズナブルに、無理しなくても、十分やりがいを得られると思います」
佐々木さんが育てるのは主に食べられるものだが、小手毬やクリスマスローズなど花を楽しむものも。昨年、切り花で買ったアジサイを剪定し、水栽培で発根させ、今年は土に植え替えをしたそう。いつ花が咲くかと、とても楽しみにしていると言う。
「ベランダで小さく育てるだけでも自然の生命力を感じることができます。その姿を日々、感じるのが楽しいんですよね」
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プランターは〈セリア〉で統一。「使わないときはスタックしておけるのも場所をとらず優秀」。黒い鉢に白のステッカーで植えたもののネームを貼るアレンジも◎。
1. 収穫したあとは…おもてなしのレシピもハーブが決め手に
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料理上手の佐々木さん。おもてなしのタコスは、トルティーヤも手焼きするこだわりぶり。具材とともにサーブされる、摘みたての香り高いパクチーやルッコラ、イタリアンパセリを挟むのがとても贅沢。
2. 収穫したあとは…保存食の香りづけにも大活躍
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左から、タイムと紫玉ねぎのピクルス、バジルとたけのこのオイル漬け、ディルときゅうりのピクルス、グレープフルーツとローズマリーのシロップ漬け。「ハーブを入れると風味がアップしますよ」
3. 収穫したあとは…ミントを使ったノンアルモヒート
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自家製レモンシロップを炭酸で割り、たっぷりのミントを浮かべたノンアルモヒートは暑い時期に欠かせない定番。「水出し緑茶にレモンとミントを入れたレモンミント緑茶もさっぱりしておすすめです」
4. 収穫したあとに…たくさん収穫したら干してアレンジも
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トマトや生姜、きのこ類など干し野菜もベランダに。ハーブも大量に収穫できたら一緒に干しておく。「レモングラスはお茶に、ローズマリーはドライで料理に使ってもいいし、リースにしても素敵です」