きゃりーぱみゅぱみゅの 大人なLADYになるわよコラム
〜 第55回“ご歓談” ができるLADYになるわよ〜
きゃりーぱみゅぱみゅが「大人なLADY」を目指す日々を綴る連載。おかげさまで、話題沸騰です。第55回は「苦手なパーティーでの歓談」について。
第55回“ご歓談”ができるLADYになるわよ
皆さま、ごきげんよう。パーティーなどでのご歓談がめっちゃ苦手な、きゃりーぱみゅぱみゅです。
これまでの人生でたくさんのパーティーに出てきました。
が、いまだにサイドテーブルみたいなところで「初めまして」の人たちとグラス片手にいい感じの会話ができません。
すぐに「ありがとうざいます」とか「ではまた」とか「あ、飲み物を…」と言って、ご歓談の強制終了ボタンを押してしまいます。
で、結局、居心地のよいいつメンたちのいるところから巣立てずに、ぬくぬくしてしまうという…。
つい先日も私が所属しているアソビシステムという事務所の新年会で、いろんなアイドルやクリエイターさんたちと歓談する機会がありました。
しかしそこでもやっぱり「あけましておめでとうございます」「今年もよろしくお願いします」 「…………………………」という三段オチの沈黙ばかりでした。
話題のいとぐちをつかんで、そこから会話を切り開いていく展開力がないんですよね。
ただ、これがもし“きゃりーぱみゅぱみゅ”としてのMCとかラジオだったら、自分の中で仕事スイッチが入ってめっちゃしゃべれるんですよ。
なのに“きりちゃん30歳”というプライベートになった瞬間、どういうわけかそれができなくなってしまうという不思議。
スイッチを切っちゃうと、話すことがなくなるという感じになるんです。
根がシャイなので、なんか恥ずかしくなってしまうというか…。
特に、知らない人多数の前で「あなたはどうなの?」と話を振られたときに、視線が集まるあの時間が耐えられません。
そもそも自己肯定感が低いので、みんなに対して自分の話をすることが恐縮すぎて「自分なんて…」ってなっちゃうんです。
ちなみにこの自己肯定感の低さは、以前この連載でもご紹介した“母の教え”からたぶん来ています。
私はお母さんから「常に謙虚であれ」とか「頭は低く」といった教えをずっと叩き込まれてきたんですけど、でもこれをやりすぎると勉強面でも恋愛面でも「いやいや自分なんて…」となる子が育っちゃうと思うんですよね。
何事においてもバランスって本当に大事です。
そんなわけで仕事ではへっちゃらだけど、プライベートでは「自分なんて…」となってしまう私。
お酒に逃げてた時代もありました。
酔っ払うとフワフワした気持ちになってシャイな殻をぶち破り、とにかくしゃべりまくれるようになります。
ところが…
①酔っ払って靴飛ばしをしながら帰宅して、お風呂場で足を洗おうとしたところ転倒。頭をざっくり切って大量出血。
②たまたま飲み会にとある大御所ミュージシャンがいらしてて、当時きゃりーぱみゅぱみゅとしてこの先どうしたらいいか悩んでいた私は、その方に思い切って相談。すると、めっちゃ的確な答えをバーン!と出してくれて、めちゃくちゃ感銘を受けたまま帰りのタクシーに乗るも、乗車中にその答えも、なんならその方のお顔すらもぜ〜んぶ忘れてしまった。
この2つの出来事があってお酒をやめました。もう何年も前の話です。
それからの私は、いつも決まってソフトドリンクです。グラスの中身をいくら飲んでも殻を破れないので、 ご歓談が苦手なままというわけです。
あ、 でも、ご歓談がまったくできないというわけではなくて、ごくまれにですけど、フィーリングが合う人とたまたま出会って話し込むこともありますよ。
今回の新年会では、「新しい学校のリーダーズ」のSUZUKAちゃんがそうでした。
彼女と話すのはほぼ初めてだったんですけど、めっちゃ面白い話をしてくれて、同じ表現者として刺激を受けることができました。
中でも彼女なりの“はみ出し方”の話が面白かったな〜。
新しい学校のリーダーズといえば、“個性と自由ではみ出していく4人組ダンスヴォーカルユニット”なんですけど、
「自分の中で『もっとこうやっていきたいんだ』って思っていたりすると、それが一人走りしちゃって、他のメンバーたちがついてこれなくなることもあるから、やっぱり自分の悩みとか苦しみとかは全部メンバーに話すべき」
そんな話をSUZUKAちゃんは熱く語ってくれて、
「みんないろんな思いを持ってステージに立っているんだ〜」
と私は感動しました。からの
「自分は何も考えないでステージに立ってるタイプだな…」
と落ち込んでしまうという謎の現象に。
いや〜、自己肯定感が低いとこうなっちゃうんですよね。すぐに自分のダメなところにスポットライトを当ててしまいます。
その新年会では別の方から「世界で戦ううえで大切にしてることとか、これだけは絶対にこうしたほうがいいことってありますか?」と聞かれて、
「いつも通りにやることですね」
って答えたんですけど、これも帰宅後に「やっぱ自分は本当に何も考えてないんじゃないか?」と自問自答する原因になりました。
私が30代で取り組むべきテーマは、自己肯定感をちょっとずつ上げていくことなのかもしれません。
そしていつの日か、豊富な話題とともに、しっとりとした口調で「ええ」と相槌を打ちつつ、グラス片手にいい感じでご歓談できるLADYに私はなりたい。
「明日はもっと寒いですからね〜」
そういえば、この発言もあとで地味に落ち込む原因になりました。天気の話をしだしたらおしまいですよ、ご歓談は。