ドリアン・ロロブリジーダのゆずれないもの
〜第5回〜パートナーとの関係。
“恋”や“愛”より、“感謝”はよっぽどシンプル？

Hanako WEBをお読みの皆様、ごきげんよう。ドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダです。

2024年が始まりました。皆様は今年をどんな一年にされるのでしょうか。年明けから心がギュッと苦しくなるようなニュースが続いて、例年とは少し違うお正月を過ごされた方も多いのではないのでしょうか。今も苦しい思いをされている方々が、少しでも早く癒される日が来ることを心から祈っております。

かくいうアタシは師走の一か月を「一年間頑張ってきたご褒美だわっ！ハッピーバースデートゥーミー！」という心がけと共に暴飲暴食を続け、先ほど久しぶりに乗った体重計の結果に戦慄いたしました。機械の故障を疑い(祈り)たくなる数字を見て、明日は数か月ぶりにジムに行きたいと思います。“ジムにちょっと通ってスリムになる→すぐに油断してドカ食いする→太りだしてジムに駆け込む”、そんなルーティンを数か月単位で繰り返すアタシを見て、パートナーも呆れ顔を浮かべております。

今日の「#ドリゆず」は、そんなパートナーとの関係についてお話ししたいと思います。

彼とは付き合い始めてまもなく丸三年になります。ひょんなことから交際が始まったのですが、それまでは十年ほど独り身生活を続けていたため、身体と頭はすっかり“おひとり様仕様”になっており、交際当初は「誰かと付き合うってこんなに大変だったっけ…」と感じることも。それでもお互いが努力を続けて、今も仲良く一緒にいます。そんな二人の生活で大切にしているのが【毎日感謝の言葉を伝え合うこと】です。

3年近く生活を共にしていると、価値観の違いを感じる機会も増えていきます。お互いの様々な“ズレ”をスルーできていた、付き合いたての初々しい関係ではなくなっていきます。しかし、それが悪いことだけなのかと言われれば、そんなことは決してありません。たとえ交際当初の“トキメキ”が薄れていっているのだとしても、薄れた分と同じだけ、いやそれより遥かに大きく、二人の間の絆は確固としたものになっていると感じています。アタシ個人としても、若い頃に身を焦がしていた、ガスバーナーのような恋慕の感情は年々少なくなっていき、今では静かに長く灯り続ける蝋燭のように、相手を想う気持ちに包まれております。ガスバーナーは楽しいけど疲れるのよね…。年を重ねるのも悪くないわぁ。

人間は身勝手な生き物なので、“無償の愛”というのは夫婦/恋人の間ではなかなか生まれにくいと思っています。“愛”と呼ばれるものの中には、大なり小なりエゴや打算があって、それをぶつけ合いながら人は営みを続けていると感じています。だからこそ大切なのが“感謝”なのではないでしょうか。食器を洗ってくれて、洗濯物をたたんでくれて…そんな小さなことから、一緒にいてくれて、隣で笑ってくれて…といったスケールのものまで、相手に対して感謝をする習慣をつけて、それを言葉で伝えあう。そんな風に我々は日常を過ごしています。それでも時折小競り合いは起きるのですが、その後も、互いの思いを冷静に伝え合って、どの発言や態度に違和感を抱いたのか、今後はどうしたら良いのかということを二人で振り返る“感想戦”のようなものを習慣にしています。パートナーというのは自分を映す鏡でもあって、自分の至らない点や、だらしないところなどを痛感することも多いのですが、自分も相手も不完全な人間であることを受け入れ、【お互い様】の気持ちを携えて、どう関係性を進めていくかを二人で考える。我々にはそのスタイルが合っているように感じています。

アタシは昔から「人生においてより大切なのは、パートナーを作ることではなく、一人で人生をサバイブする力を培うことである」と思っています。人間は生まれるときも死ぬときも結局は一人なので、独力で人生を素敵なものにできる人の方が、いわゆるモテる人よりもはるかに魅力的だと感じます。ただ、様々な縁が重なって誰かと寄り添うことができたのなら、それを持続させるための最大限の努力も必要だと思っています。“恋”や“愛”を実行し続けることはなかなか難しいですし、方法もはっきりしていません。それに比べると“感謝”をし続けることはよっぽどシンプルです。そして、相手に感謝をして、それを伝え合うことが、結果的に“愛”と呼ばれるものを長続きさせる一つの方法なのではないでしょうか。　また、これはパートナーとの間に限ったことではなく、友人や親子、同僚やコンビニの店員さんなどへも同じだと思います。身の回りの人へ感謝する習慣をつけて、感謝の気持ちをちゃんと伝える。それだけで世界はちょっと優しくなれるはず。綺麗ごとのようですが、そう信じています。まぁアタシも余裕のない時は、つい「ありがとう」を忘れちゃったりもするので、自戒を力いっぱい込めてのお話です。てへ。
彼が嬉しそうに微笑みかけてくれる顔は、アタシの誇りでもあります。お互いの笑顔をできるだけ絶やさないために、これからも我々は感謝の言葉を伝え合いたいと思います。

とまぁ長々と偉そうにお話ししてきましたが、振り返ってみると完全にただの女装おじさんによるノロケ話だわ…。新年から大変失礼いたしました。今回も最後までお付き合いいただき本当にありがとうございます。またお目にかかれることを楽しみにしております。それでは、ごきげんよう。