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学芸員ラジオDJのDJAIKO62さんがおすすめする、今見ておくべきアートとは? 「今度はどの美術館へ?アートのいろは」生誕60周年記念 くまのパディントン展™
ラジオ番組で美術展を紹介するうちに美術館巡りの面白さに目覚めたというDJAIKO62さん。ふと時間が空いた時の選択肢として、アートとの一期一会に出かけてみませんか?今回はBunkamuraザ・ミュージアムで開催中の「生誕60周年記念 くまのパディントン展™」をご紹介します。「かわいい!」と心躍ること間違いなし、癒されますよ。
平和への願いも込められた「くまのパディントン™」
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入り口からパディントン駅が再現されています。第1章は「パディントンの物語」です。
―Please look after this bear, thank you.―
-どうぞこのくまのめんどうをみてやってください。おたのみします。-
そんなタグが付けられていたクマと、後に家族となるブラウン夫婦が出会ったのはパディントン駅のプラットホーム。駅の名前からパディントンと名付けられたクマの物語はここから始まりました。その姿は、第二次世界大戦を経験したイギリス国民にはおなじみの風景でした。当時、駅では空襲を逃れるために疎開する子どもが、名札をつけてさまよう姿がよく見かけられました。子どものクマが駅で優しい夫婦に拾われ、周囲の人々と関わりながら成長する物語には、マイケル・ボンドさんの平和への思いが託されているのかもしれません。

その後大人気となったシリーズの挿絵を最初に描いたのはペギー・フォートナムさん。今回は貴重な原画2点も来日、複製画も交え10巻にわたるパディントンの物語をたどることができます。読んだことが無いという方もぜひこの機会に知ってほしい作品です。
第1章で物語のことをおさらいしたら、次に興味がわくのがパディントンの生みの親、マイケル・ボンドさんのこと。第2章では私物や手紙を中心に、誕生秘話にも迫ります。

左からタイプライター(原稿をタイプするのに使われていた)、箱型カメラ(家族の写真を撮る際に使われていた)、オックスフォード英語辞典。「舞台裏」的なアプローチや展示ってワクワクしますよね。
後半の章では大人気児童書シリーズへと成長したパディントンが絵本、映像、商品となり世界中でさらに親しまれるようになったこと、また、さまざまなアーティストによって描かれた原画などを楽しめます。

私が持っていたイメージはまさにこの4コマ漫画でした。原画で見られるなんてとても贅沢!
写真左:パディントンと象さん
中央上:パディントン 水平思考
中央下:パディントン ママレードの手術
右:パディントンのスチームバス
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世界各国で愛されているのがわかる雑貨の数々。日本語表記のパスや銀行のカードまで!
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終わりにはマイケル・ボンドさんの生前のインタビュー映像も。ぜひ見ておきましょう。
お土産も充実しています!
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
グッズショップに隣接した〈ミュージアムショップ ナディッフモダン〉では企画展に合わせてパディントンのシリーズの書籍も多く取り揃えています。

今回もう一つ、おすすめしたいのが図録です。未翻訳の最新刊「Love from Paddington」より松岡享子さんが新たに2エピソードを翻訳して収録。ルーシーおばさんへあてた手紙、私は朗読をしてみました。パディントンシリーズが日本に来て以来、メインで翻訳を担当していらっしゃる松岡さんの訳はけして子供向けに簡単にし過ぎない、時にはちょっと難しい言葉に置き換えられます。それは、大人でもハッとさせられる丁寧で美しい日本語です。パディントンファンの人は保存版として、本展でパディントンの世界に魅了されたという人には入門書としてお土産にしたい一冊です。
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会場には記念撮影ができるパネルも!
「生誕60周年記念 くまのパディントン展™」は2018年6月25日(月)までの開催です。ぜひお出かけください。
※会場内の写真は全て内覧会時に特別に許可をとり撮影したものです。
「生誕60周年記念 くまのパディントン展™」
■2018年4月28日(土)~2018年6月25日(月)まで
※休館日 6月5日(火)
■10時~18時
※毎週金・土曜日は21時まで(入館は各閉館の30分前まで)
■03-5777-8600(ハローダイヤル 電話受付時間8:00-22:00 年中無休)
■Bunkamuraザ・ミュージアム
〒150-8507 東京都渋谷区道玄坂2-24-1
■入館料などは下記公式サイトをご確認ください。
http://www.bunkamura.co.jp/museum/exhibition/18_paddington/