小池栄子のお悩み相談室 第23回:「私って借りパクされやすいタイプなの?人に物を貸すとだいたい返ってきません」 (保険会社勤務・40歳)

LEARN 2023.11.22

仕事、プライベート、家庭生活含め、日々頑張っている人ほど悩みは尽きず、誰かに聞いてもらいたい、いいアドバイスが欲しい…そう思っている女性たちの声がHanako編集部に寄せられています。そこで、女優としてひときわ存在感を放ち、かついつもスパッと気持ちのいい発言をされている小池栄子さんに、人生の先輩としてアドバイスをしていただくこととなりました!隔週更新でお届けします。

――ボールペンからスマホの充電ケーブル、時には飲み会で割り勘したお金の立て替えまで、物やちょっとしたお金の貸し借りは日常的に行われていること。とはいえ、どんなものでも借りたら返すのが当たり前なのでは?そんな“借りパク”問題に悩む方からのお悩みです。

本日のお悩み

読書が好きで家には壁一面に大きな本棚があり、小説や書籍を収納しています。友達が遊びに来ると「あれ貸して」「これ貸して」となるので、そのたびに「絶対に返してくれると約束するならいいよ」と伝えてから貸しているのですが、ほとんど返ってきません。書籍1〜2冊でわざわざ催促するのもケチくさいと思い、催促しないまま5年、10年と経っていきます。きっと向こうは忘れているのでしょうが、私は誰に何を貸したかは鮮明に覚えています。
「人に金を貸す時は、あげるものだと思え」と聞いたことがありますが、本や物も一緒なのでしょうか?不要な本は定期的に古本に出して処分しているので、今残しているのは私にとって手元に残しておきたい大事な本です。それなら貸さなければいいんじゃない?という意見もわかりますが、「貸して」と言われたらつい断れなくなってしまいます。正直、借りた物を返さない人の価値観がまるでわかりません。それとも私がケチなんでしょうか?
そこで相談なんですが、どうすれば気持ちよく、貸した物を返してもらえるでしょうか。なにかいい言い方はありますか?そして、貸したくない時は小池さんならどう断りますか。(保険会社勤務・40歳)

――これ、あるある問題だとは思いますが、相談者にとったら大事な物を貸しているわけなので、返して欲しいという気持ちはよくわかります。小池さんの場合は、どうしますか?

私なら「だいたいいつも返ってこないから、貸したくない」って、正直に言います。それでも「絶対返すから、お願い」と言われてしまったら、「そう言ってみんな借りていくんだけど、今まで返ってきたことがないんだよ」ってはっきり言うかなぁ。その時に“あなたの場合”ではなくあくまでも“一般論”として話したほうがいいと思います。

――なるほど。この相談者も、「絶対に返してくれると約束するならいいよ」と伝えてから貸しているようですが、それでも返ってこないんですねぇ。

そこまで言っても返してもらえないなら、もう戻ってこないものだと諦めるしかないかな。私の場合、物を貸して返ってこない時は、私と縁がなかったんだなって思っているんですよね。あとよっぽど大事な物は、絶対に貸さないし。

――大事な本を手放したくないのなら、そうやって自分の中で気を強く持って、一線引くしかないですね…。この相談者はつい貸してしまうタイプだそうですが、では貸してしまってからの催促はどうしたらいいと思われますか。

2〜3ヶ月返ってこない段階で、私は一度聞いたりすると思います。たとえば「そういえば貸したあの本読んだ? 次に借りたい人が待ってるから、読み終えたら連絡ちょうだい」って言うとか。

――それは相手の気分を害さないいい言い方ですね!

すごく大事なものははじめから貸さないか、きちんと催促するか。悔しいかもしれないけど、それをしないのであれば、ある意味、貸した方にも原因があると思うしかないかもしれません。本当に悔しいけど。

相手を正そうとするのではなく、 自分を変えたほうが、結果的に自分が得をする。

――そもそも、貸したほうがなぜいろいろ気を使わなければいけないのか、ちょっと理不尽なところもありますよね。待ち合わせに遅刻してくる人に対しても似ているというか。たかが10分待たされているだけでイライラする自分は心が狭いのか…と思っちゃったり(笑)。

遅刻グセがある人も、私の周りにいます。でも私はあまりそういうのが好きじゃないから、その子に普通に「なんで遅れるの?」ってストレートに聞いてみたり、「●●ちゃんは必ず遅れると思っているからさ」なんて伝えたりしていたら、ある時、約束の時間の10分前に来ていて。その時は「できた!」って喜んでいましたね。あとは、待ち合わせ時間をサバ読んだりしています(笑)。どうせ遅れるから、1時間早い時間を伝えておこう、とか。

――なるほど、せめてもの防御策というか(笑)。でも借りた物を返すとか、時間を守るとかマナーの一種だと思うんですが、守らない人たちはどういう価値観なんでしょうか…。

マナーでくくると、相手から見たら自分もマナーを守れていないことがあるだろうな、だからきっとお互い様だな、って思うんですよね。あとは、人を正すとか、直すとかすごく難しいことだと思うから、そもそも私は諦めています。だったらその人仕様に自分を変えたほうが、自分にストレスがたまらない。

――なるほど。つまり、自分が柔軟に対応できる人間になったほうがいいと。

悔しいですけどね。だからこの場合の本の貸し借りの話だったら、相談者が断れる人間になったほうがいいと思います。はっきり「貸したくない」って言える人に変わるほうが、今後の被害は少ないはず。

――人を矯正しようではなく、自分を変えるということですか?

そうそう。その時はなんで私が…?って思うかもしれないし、さっきも言ったように悔しいけど、でも自分を変えたほうが、結果的に自分が得をする感じがするんです。

――ほう!すごく新しい意見です。

不都合な場面に遭遇した時に、それに柔軟に対応できる自分を作り出していったほうが、いくつもの状況に対応して受け入れられる、幅の広い人間になっていくと思うんですよね。全員を許すとかではなくて、こんな人もいるんだと、1回受け止められる人間になる気がします。

――この相談者のケースで言えば、このままだとずっと借りパクされる人生だし、その価値観が理解できない!って怒り続けるのも損ですもんね。

ずっと同じことで何年も悩んでいるのはもったいないです。いいじゃん、頑張って自分を変えましょう、って思います。

Photo_Syu Yamamoto text_Aya Wakayama


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