日本茶の世界で注目を集める、在来茶・ブレンドティー・和紅茶をチェック!
【在来茶】編

LEARN 2023.05.16

日本茶の世界で今注目を集めるのが、在来茶、ブレンドティー、和紅茶のムーブメント。普段なにげなく飲んでいるお茶の価値観をアップデートする3タイプをチェック!

教えてくれたのは

Q.在来茶とは?

A.種から育った茶樹のお茶こと。
一般的なお茶が挿し木で増やした改良種の茶樹で作られるのに対し、各地域に受け継がれる「実生(みしょう)」(種から育つ)の茶樹から成る在来茶。土地に根ざした力強い味わいで、お茶好きの心をとらえている。

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現在、国内の茶園の97%以上が品種改良された茶葉を栽培し、在来種はごくわずか。しかし日本茶は、平安時代に中国から茶の種子が伝えられて以来、実生が当たり前だった。

「転換期は1970年代。挿し木技術が確立され、改良種の普及が急速に進みました。均一性や収量で劣る在来茶はそれ以降激減し、市場から消えていったのです」と、在来茶を生産する〈楠森堂〉の河北幸高さん。そんな状況でも汗を流し続けた生産者たちの手で、日本古来の希少な茶樹と在来茶は守られてきた。そして数年ほど前から、お茶好きや自然派の人を中心に再評価され始め、復活の兆しが見える。
 
在来種の茶畑は自然交雑で生まれたあらゆる品種が混生する。長い年月をかけて土地の風土に沿う性質や味を備え、そこにしかないお茶が育つという。「畑の茶葉を何枚か食べると、味がまったく違います。在来茶は大きさも形も香味も異なる多様な品種の天然ブレンド。煎茶は特に苦みや渋みもしっかり感じられる奥深い味わいが魅力です。お湯を注いだ時、葉が開くタイミングがまちまちだから、煎を重ねるたびに香味のバランスが変わるのも面白い。そうした自然本来の良さが、今の人にも伝わりつつあるのだと思います」
 
茶樹ごとに特性が違う在来種は病害虫の影響を受けにくく、農薬や化学肥料に頼らず栽培されることが多い。また各地に現存する茶樹は、樹齢百年を超す古木も珍しくない。「ワインと同じで樹齢を重ねるほど味が凝縮されるらしいので、ヴィンテージのように円熟味を湛えたお茶が全国で生まれるかもしれない。楽しみですね」
 
環境負荷を少なく、不揃いを尊び、古来のものを生かして。昔ながらの在来茶のあり方は、サステナブルで現代的。若い作り手も少しずつ増えている今、本格的に盛り上がっていきそうだ

老舗茶園から新ブランドまで。全国の在来茶が集合!

photo : Kusumoridou Tarou Ohta text : Asami Kumasaka

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