Telop #13 メンタルって筋肉と一緒 神はテロップに宿る13話|若槻千夏
今やテレビに欠かせない文字テロップ。出演者もテロップに載るパワーワードを繰り出すトーク力が求められています。そこで人気番組の中から、テレビっ子編集者の綿貫大介が気になる有名人のテロップを収集。これを見れば、今のテレビが見えてくる!?
ひな壇を生きる女将軍、若槻千夏の強靭な精神力。
「グラビアアイドル、おバカタレント、ブログの女王、デザイナー……あなたが知る最初の若槻千夏はどれ?」と質問すれば、その答えで相手の年齢がわかるのではないかというほど、手を替え品を替え長く活躍し続けている彼女。10代で人気になり、20代で休業、そして30代で再びバラエティ番組で引っ張りだこになっているなんて誰が想像しただろうか。世代交代の激しい女性タレントが同じ場所に居続けるのはとても大変なことなはず。それでも起用されるのは、衰え知らずなコメント力はもちろん、休業期間を経て視聴者目線を身に付けたのも大きい。テレビ関係者だけでなく、視聴者にウケるために自分がどう振る舞えばいいのかよく理解しているのだから相当地頭がいいんだろう。
特に力を発揮しているのが、女性陣の歯に衣着せぬ発言が目玉の『上田と女が吠える夜』(日テレ系)。ただ番組の影響もあり、周囲からは強い人間だと思われることが増えたのだとか。「千夏ちゃんって強いもんね」と言われるたびに、「はぁ?生まれた時から強いわけじゃねぇぞ」と思ってきたという若槻さん。そのあと放たれた「メンタルって筋肉と一緒」は筋トレブームが続く現代だからこそ響く名コメントだった。筋トレしたら筋肉痛になるけど、そのたびにちょっとずつ強くなる。メンタルも社会の荒波に揉まれ、失敗したり傷を負いながら鍛えていくしかないのだ。若槻さんは10年前も今も、ずっとひな壇に座っている。これが兵どもがひしめく戦場の最前線に居座る女将軍の金言だと思えばこそ、より言葉に重みが感じられた。