木のぬくもりと、自然派インテリアに包まれる。 こだわりの宿。丹後半島の端・久美浜湾に面したコテージスタイルのホテル〈waterside cottage Heron〉へ。
デザインを学ぶ傍ら、自らもバッグのブランドを立ち上げた、ハナコラボメンバーでもある安藤さん。デザイン学校の卒業記念に、有名ショップの元ディレクターが作った宿〈ヘロン〉への旅のレポートをお願いしました。
有名ショップの元ディレクターが作った宿〈waterside cottage Heron〉
京都市内から車で2時間半、〈waterside cottage Heron〉に到着した。大きな椎の木とガラガラと開ける木製のゲート。イングランドの田舎の家に来た気分だ。〈ヘロン〉は人気ショップ〈ビショップ〉でディレクターとして活躍した須田悦子さんが心機一転、始めた宿。限られた予算で、できることは自分たちで作り上げたそうだ。桂離宮の整備などを担当する名工務店の〈安やす井い杢もく〉に協力をあおぎ、スタッフと共に室内の漆喰の壁を塗り、川を望むテラスの石畳は模造紙を置きながら須田さんが並べ方を考えた。インテリアは須田セレクトでヨーロッパに民芸がミックスアレンジされている。
Shop
カフェスペースはショップも併設。オーナーの須田さんが選び抜いたプロダクトが並ぶ。リネン、器、衣類からオリジナルジャム、調味料まで質の高い日用品がいっぱい。
「モノが好きですね。いいと聞いたら自分で試してみないと気が済まない。ここで使うもの、売るものは納得しておすすめできるもの」とオーナーの須田さん。
Room
久美浜湾から分かれる小さな川ぞいに佇む〈ヘロン〉。かぶと山と穏やかな海を眺めて過ごせる絶景の宿。インテリアは白木と白の漆喰を基調としたシンプルスタイルだ。
Meals
海・山の幸に恵まれた久美浜。水揚げされた魚から近くの牧場で作られたチーズまで素材の宝庫だ。朝食は地卵と近所の牧場の牛乳で作ったフレンチトーストに露地のフルーツを添えて(宿泊代に含まれる)。
カフェはアンティークの椅子が配され、パチパチと音を立てる暖炉のあるフロアを制服であるクルーセーター姿のスタッフが行き交う。本日のスイーツは濃い卵色のヴィクトリアケーキ(540円)…。物語のような世界が広がる。
お待ちかねの夕食は、季節のパエリア(この日は久美浜湾のかきと魚介、写真は4人前)とかきを使った温かい前菜。心づくしのお料理。さあ、いただきましょうか。
Vessel
須田さんが長きにわたって集めた器が惜しみなく使われることも〈ヘロン〉の魅力。写真はイタリアの作家クリスチャンヌ・ペロション作。ヨーグルトにレモンと蜂蜜を添えてサーブ。
And...
日に3度、久美浜湾からカモがやってきたら餌タイム。最初は1羽だったのが、今は20羽も。〈ヘロン〉のアイドルだ。丸々と太ったカモはデコイの置物のよう。名前も付けられている。
「お客様には地元の素材で食事を召し上がって、自然を満喫していただきたい。デザインはあくまでも快適な滞在をお手伝いするツールです」という須田さんは〈ヘロン〉オープン後も備品をあれこれとアップデート。目標は、自分の好きなモノをスーツケース1個に厳選することだそうだが、彼女のモノ選びの旅はまだまだ続きそうだ。
〈waterside cottage Heron〉/京都・久美浜
■京都府京丹後市久美浜町2983-1
■TEL10772-82-0101
■IN/15:30 OUT/11:00 全2室
■ツインルーム2人利用スタンダードプラン(朝・夕食込み)1人25,000円(税・サ別) ※料金は時期により異なる場合もあり。
(Hanako1152号P72.73掲載:photo : Kunihiro Fukumori styling : Mari Nagasaka model : Momoka Ando)