お菓子研究家・長田佳子さんが教えてくれた お茶を楽しむ方法。#1 お茶に合わせてお茶菓子を手作りする。 LEARN 2022.11.05

おいしいお茶にはやっぱりおいしいお菓子。お菓子研究家の長田佳子さんに、より楽しく充実したお茶時間を過ごすためのこだわりを教えていただきました。

その日の体調や気分に合ったお茶を淹れることが、なにより大事。

素材にこだわり、〝レメディ(治療薬)〞のような心と体に優しいお菓子作りに定評がある長田佳子さん。お菓子のパートナーであるお茶にもたくさんのこだわりを持っている。「お茶はお菓子を作る上でとても重要な存在です。というよりも、おいしいお茶があるからお菓子を作る意味があるとさえ思います。まず、先にお茶ありきです。洋菓子なら紅茶、和菓子なら煎茶というようにお菓子にお茶を合わせるのが一般的と思うかもしれないけれど、私はお茶を先に選びたいんです」

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日々のお茶はその日の気分や天候によって変わる。昨年、山梨県甲州市に移住した長田さんはハーブ畑も持っている。ハーブがたくさん収穫できたら、それもお茶にして飲む。「たとえば天気がぼんやりしていてやる気が出ないときは、シャキッとなれるレモン系とミントのお茶にしたいなと思う。じゃ、それに合わせてお菓子はあまり甘ったるくないものを選ぼう、と考えます。まず、そのときの気持ちや体調に合うおいしいお茶を淹れること。それをなにより大事にしているかもしれません」

#1 お茶に合わせてお茶菓子を手作りする。

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シンプルなレシピをお茶に合わせてアレンジ。

今回、長田さんに季節のシュークリームのレシピを教えていただいた。「暑い夏が終わってまったりと甘いものが食べたいと思いました。午後のティータイムをイメージした米粉のシュークリームです。サンドしたクリームにも米粉が入っています。お茶にハーブティーを選ぶなら、合わせてクリームにハーブを入れるのもおすすめです。今日、合わせたのは〈Uf-fu〉さんのベルガモットが香るルイボスティー。柑橘系の爽やかな香りに合わせたくてクリームにもこっそりハーブを入れました。レモンマリーゴールドのスパイシーな香りがアクセントになっています」お茶に合わせてアレンジをしてほしいと、レシピはシンプルなものに。「レシピ通りならミルクティーと合わせるのもおすすめ。お茶に合わせてクリームにハーブやフルーツを加えても。組み合わせを考えてお菓子を発想するのも楽しいですよ」

【RECIPE】シュークリーム

アーモンドテッド(シュー表面のクッキー生地)
バター ...................................30g
きび砂糖 ...............................20g
米粉 .......................................25g
アーモンドパウダー ............15g

ライスパフ ......................... 適量

ディプロマットクリーム(12個分程度)
牛乳 .....................................240g
卵黄 ...................................2個分
きび砂糖 ...............................35g
米粉 .......................................10g
生クリーム42% ...............200㎖

シュー生地(直径6㎝/作りやすい量)
牛乳 ...................................100㎖
水 .......................................100㎖
塩 .............................................2g
きび砂糖 .................................4g
バター ...................................50g
米粉 .....................................100g
溶き卵 ...............................3個分
※Mサイズ55~60g

[ 下準備 ]
・米粉をふるう。
・オーブンを200~210度にあたためておく。

[ 作り方 ]
1.アーモンドテッドを作る。常温に戻したバターにきび砂糖を入れてすり合わせ、米粉、アーモンドパウダーを加えよく混ぜる。棒状にしてラップにとり、冷凍庫で固める。

2.シュー生地を作る。鍋に牛乳、水、塩、きび砂糖、バターを入れて火にかける、沸騰したら中火にし、米粉を一気に入れホイッパーでよくかき混ぜ、2分程度炊く。

3.生地がまとまりはじめ、鍋底から綺麗に剥がれるようになってきたら火からおろして大きめのボウルに移し、卵の1/4量を加えハンドミキサーでよく混ぜる。混ぜながら残りの卵を少しずつ加え、生地を持ち上げたとき逆三角形になりゆっくり落ちる柔らかさになったらOK。

4.口金をつけた絞り袋に生地を入れ、直径6㎝を目安に絞っていく。冷凍庫からアーモンドテッドを取り出し、0.3~0.5㎜程度にスライスしてシュー生地の上にのせ、ライスパフをのせる。200~210度のオーブンで15分焼き、190度に落として10分を目安に焼く。※シュー生地の半分は、絞ったまま冷凍庫に入れ、固まったらポリ袋に入れて保存しておく。焼くときは多少解凍させる。

5.カスタードを作る。ボウルで卵黄ときび砂糖をよく混ぜ、米粉も加えてさらによく混ぜる。鍋に牛乳を入れて火にかけ、沸騰したらボウルに加えて混ぜ、濾しながら鍋に戻して中弱火で2分程度炊く。

6.炊きあがったらバットに流し、ラップをカスタードの表面に密着させ冷蔵庫でしっかり冷やす。冷えたら立てた生クリームと混ぜ合わせ、ディプロマットクリームを作る。シュー生地が冷めたら半分に切り目を入れ、クリームを絞り入れて完成。

〈foodremedies〉

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ハーブ、スパイス、果物など自然素材の豊かな滋味を活かした癒しを感じるお菓子作りを提案。移住先の山梨県甲州市に元ワイン倉庫を改築したアトリエを構える。現在は動画配信によるお菓子レッスンを展開している。
https://foodremedies.jp/

Teacher…お菓子研究家・長田佳子さん

おさだ・かこ/菓子研究家。フランス菓子店、オーガニックレストランで経験を積み、2015年〈foodremedies〉を立ち上げる。著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)などがある。

photo : Norio Kidera text : Kana Umehara

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