伝えたかった、言葉たち。 山崎怜奈の「言葉のおすそわけ」第17回
アイドルとしてはもちろん、ラジオパーソナリティとしても大活躍。乃木坂46の山崎怜奈さんが、心にあたためていた小さな気づきや、覚えておきたいこと、ラジオでは伝えきれなかったエピソードなどを、自由に綴ります。
(photo : Chihiro Tagata styling : Chie Hosonuma hair&make : Tamago)
「わたしの自宅療養【前編】」
帯番組のパーソナリティは、順番に夏休みをとる慣習がある。例に漏れず、私も番組が2年目に突入した頃にプロデューサーから打診されたが、休まず続けることにした。番組に穴をあけることへの責任感が…というのは綺麗事で、実際は休めば休むほど自分の席が誰かに取られやしないかと不安になるのだ。自分の代わりはいくらでもいるのだから、誰でもできる仕事こそ、自分ができることに感謝して全力でやらなゃいけない。だからあのときもし言われるままに休んでいたとしても、気が気じゃなくなって代演パーソナリティの放送を全部聴くだろうし、たった1回で饒舌にやられたら落ち込むに違いない。想像するに、それではただ欠席しているだけで、心身は全く休まらない。休めないのではなく、休む勇気がないのだ。
休まなくてもやっていけるように、同世代に比べて健康維持には神経質な方だと思う。睡眠時間や食生活が不規則なぶん、サプリメントや漢方、鍼治療などに頼りがちなところもあるけれど、きっとやらないよりはマシだ。ルックスがいい人よりも素敵なレストランを知っている人よりも健康に詳しい人の話が聞きたいし、実際に仕入れた情報を生活に取り入れまくっている。それに加え、今の世の中では新型コロナウイルスの感染力も強く、いつ誰が「自分の意思に関わりなく休まなくてはならない」という状況に立たされてもおかしくはない。ここのところ何をしても疲れが取れない日々が続いていたので、免疫力が落ちていそうなときほど用心しなくてはと思っていた。
ところが先日、ついにその状況に立たされた。明け方目が覚めると、いきなり喉が焼けるように痛く、声が出ない。明日は我が身とはまさにこのこと、ついに来たか。寝起きでの緊急事態にしては至って冷静だったので、すぐに各方面に連絡すると、まず当日の生放送を休演してどなたかに代演をお願いすることになった。結果的にPCR検査で陽性判定となり、ほかのお仕事も約2週間お休みさせていただくことになった。ご迷惑をおかけしてしまった申し訳なさでいっぱいになりながらも、何かと緊張感を溜め込んできた体にとってみたら必要な時間だと思えたのは、心配して連絡をくださった方々が何人も口を揃えて「神様が与えてくれた休息」という表現を使っていたから。そしてたくさんの人のおかげで、私の休演が確定してからも、番組は毎日いつも通りの時刻に放送された。もちろん予想通り気が気じゃないので、リスナーとして毎日聴くようになり、わざとらしく「ラジオネーム・山崎怜奈」としてホームページのメールフォームからメッセージを送り続けたのだが、そんな生活も意外と嫌いじゃなかった。