銀座の新たな風物詩に、オレンジ色のカーテン。 福島県伊達市の「あんぽ柿」が、銀座の街にやってきた!?
12月某日、東京・銀座〈紙パルプ会館〉にて行われたのは、「あんぽ柿」の吊るし作業。福島県伊達市梁川町五十沢地区が発祥の地とされる「あんぽ柿」を、加工から乾燥・収穫まで銀座で行うというイベントです。コロナ禍の影響で、およそ2年ぶりの開催となったこのイベントは、街ゆく人の視線を浴びながら、盛り上がりを見せていました。
あんぽ柿とは?
この時期になると、スーパーでも見かける「あんぽ柿」の文字。
実際に食べたことのある人も多いとは思いますが、名前の由来ってご存知でしたか?
私は柿の銘柄だと思っていましたが、そうではなかったんです‥!
「皮をむいた柿を、天日に干すから『甘干し柿(あまぼしかき)』と呼んでいたのですが、それが福島弁でなまって『あんぽがき』と呼ばれるようになったんです」(一般社団法人 伊達市農林業振興公社/三浦敏徳さん)
また、渋い柿を干すことで、甘くなることを意味するから「あんぽ柿」となったという説もあるそう。どちらにしても、歴史ある呼び名だったんですね〜
あんぽ柿の復活のために。
平成23年3月11日の東日本大震災、および東京電力第一原子力発電所事故の発生により、「あんぽ柿」の生産者の方々は加工自粛要請を受けました。
それから「あんぽ柿」復活のために、高圧洗浄機による10万本の樹体洗浄や粗皮削りなど、あらゆる取り組みを行ってきたそう。今回は、自然と街の共生などに取り組むNPO法人銀座ミツバチプロジェクトと連携したPR活動。
銀座のネームバリューを使うことで、多くの人に「あんぽ柿」を知って食べて欲しいという狙いです。
午前中には伊達市から持ち込んだ約400個の柿の皮を、一般応募者と伊達市出身在京者の方がむき、薫蒸(くんじょう)。午後には、ビルの外側に吊るす作業が行われました。
熟練の技で、丁寧に吊るしていく生産者の方々。
昔ながらの吊るしかたで、地元の人は「柿ばせ」と呼んでいました。福島では、干し場という、あんぽ柿を吊るすための小屋に、この「柿ばせ」がいくつも連なっているそう!
「こうやって路面に飾ることで、柿を見てふるさとを感じて欲しいね。安らげるでしょ?」と語る生産者のみなさん。
「干してある柿に多くの人が関心を持ち、あんぽ柿を食べてくれたら嬉しい」とにっこり。
いま、糖度が15〜18度ですが、1カ月ほど自然乾燥することで、40度にまで上がるそう。40度って、和菓子並みの甘さなんですよ!
甘くなるにつれて、柿自体の大きさは1/3ほどにまで縮みます。今回の柿は、2022年1月19日まで干し、実際に収穫作業も行う予定。
銀座の街を歩く人たちに、仕上がるまでの過程を見て欲しいとのこと。干すことによって、渋みが抜けて甘みが出る柿。なんともかわいらしい存在だな、と感じました。完成が楽しみですね!
最後は参加者のみなさんで「あんぽがきー!」。
きれいな飴色をした色つや、表面はしっかり乾燥し、中はトロリとした口あたりの良さが「あんぽ柿」の特徴。この特徴を生み出す技は、そもそも伊達市梁川町で生まれたもので、今もなお、伝統の技術として受け継がれています。
2022年、甘くおいしくなったあんぽ柿を、ぜひ食べてみてくださいね!