新たな魅力を作り、町を守る京町家の今。 京町家でいただく、朝一番の甘いもの。【京都】2021年にオープンした〈お菓子 つくる〉へ。
奥行きのある細長い造りから「鰻の寝床」と呼ばれる京町家。古(いにしえ)より、人々の暮らしの知恵と工夫を重ねながら発展してきた京都の象徴といえる存在だ。2000年頃から町家を改装した飲食店やショップを営む動きが出始め、近年は宿やギャラリーなど店主の趣向でお店に利用されるように。こうして今も京都の昔ながらの町並みが守られている。今回は今年6月に誕生した〈お菓子 つくる〉をご紹介します。8月27日(金)発売 Hanako1200号「好きなのは、京都らしさ。」よりお届け。
目の前で出来上がる目にも楽しい朝食とおやつ。
今年6月に誕生した〈お菓子 つくる〉は、国内外のフレンチやイタリアンで料理とお菓子作りの経験を積んだ伊藤龍二さんと、奥様の亜衣さんが営む「朝食とおやつ」のお店。「お店を開くなら絶対に町家と決めていた」と1年ほどかけて物件をリサーチ。鞍馬口エリアにある築100年になろうかという京町家と出合った。
町家の風情をそのまま残した玄関とは一変、店内は天然木とグレーを基調としたほんのりとモダンな佇まい。磨き込まれたアンティークの棚やショーケース、立ち座りがスムーズにできるよう計算された片肘付きのチェア、棚に並ぶ器や道具も洗練されていて、ギャラリーのような凛とした美しさに思わず目を奪われてしまうほど。キッチンはアイランドスタイルで、料理やデザートが仕上がっていく様子を目で見て楽しめるのもいい。
京町家でいただく、朝一番の甘いもの。
朝食には、コッペパンを使ったたまごドッグなどに加え、「朝から甘いものが食べられるって幸せじゃないですか?」と、ドーナツとホットケーキを用意。おやつの時間に登場するデザートには2種のドリンクが付き、食前には小さなグラスデザート、シメには揚げたてのポテトチップスが登場。これらのアイデアやきめこまやかなサービスは、すべて二人の「こんなお店があったらうれしい、楽しい」を素直に形にしたもの。メニューの構成はその時々でがらりとチェンジ。訪れるたびに新しい、とびきりの口福が待っている。
〈お菓子 つくる〉
ショーケースに並ぶ焼菓子はテイクアウトも可能。カヌレやパウンドケーキ、クッキーなど10種ほどが並ぶ。イートインの予約不可。
■京都府京都市上京区瑞光院前町36-2
■075-205-3878
■朝食8:30~10:30LO、おやつ13:00~16:30LO(売り切れ次第終了)月火休
■8席