Hanako w/ Seibu 〜わたしが出会ったお店と、その暮らし。〜〜 緑とアンティークに囲まれた、丘の上の隠れ家。ゆるやかな時間が流れる〈ブリキッカ〉で心をリセット。
かつて米軍基地内の公園だった〈狭山稲荷山公園〉が、駅の目の前に広がる西武鉄道池袋線「稲荷山公園」駅。そこからゆるやかな坂を上っていくと、大きな木に囲まれるようにして建つアンティークとカフェの店〈ブリキッカ〉にたどり着きます。白い扉の向こうには、物語のある雑貨がひしめく空間に、心休まるスロウな時間が流れていました。
子育てがひと段落したのをきっかけに、「好き」を集めた空間に自宅をリノベーション。
入口で靴を脱いで店内に入ると、外国の文具や紙ものの雑貨が並ぶ小部屋が現れ、そこを抜けるとアンティークの食器や古道具がディスプレイされたフロアが登場。そこからシームレスに、カフェスペースへとつながる〈ブリキッカ〉。ヨーロッパの田舎町にあるお家にお邪魔したような、素朴で素敵な空間が広がります。
お店がオープンしたのは、今から15年前。店主である内山さんご夫婦が、住まいとしてこの一軒家に引っ越してきたのがきっかけでした。
「もともとここは友人の家で、その友人と1階でレストランを営んでいたんです。でも、その子がほかの場所に家を建てて引っ越すことになり、この家を気に入っていたので、私たち夫婦が買い取って移り住むことに。最初は住居として暮らしていただけでしたが、子どもたちが巣立って、子ども部屋もいらなくなって、そしたら下でお店ができるね……って話になりまして。お店をやるために選んだ物件じゃないから、造りも後から手を加えたり、行き当たりばったりなんです(笑)」と、話すのは妻の元子さん。空間に暮らしの温度をそこはかとなく感じるのは、そんな経緯も関係しているのかもしれません。
「子どもがアメリカ留学している時に、あっちでファイヤーキングのアイテムをたくさん見つけて、『じゃあ、買い付けてこっちで売ろうかな』というのがお店の始まり。その頃は、入口のスペースが売り場でした。でもそれだけじゃつまんないから、アンティークのアイテムを置くようになり、お茶を飲みながら買い物ができたらいいなと、カフェスペースを作ったんです」(元子さん)
昔からアンティークが好きだったと話す元子さんですが、友人とレストランを営んでいた頃もインテリアを担当し、お店の道具を集めるのが得意だったそう。
「当時は米軍基地内にあるセレクトショップによく行っていて、アメリカの雑貨や子ども服を買ってお店に置いたりしていました。今は、ドイツ、オランダ、ベルギー、チェコ、フランスで買い付けたものを中心に置いています。廃屋が好きで、そこにある朽ちた感じというか、“やられてる感”のあるものに惹かれちゃうんです。好きなものしか買ってこないから、自然とそれがお店らしさになっているんでしょうか。扱うアイテムは変わりましたが、今も昔も、やっていることはあんまり変わらないですね」(元子さん)