完全予約制の特別な空間へ。 築100余年の日本家屋で楽しむ、コーヒーのコースメニューとは?〈ブルーボトルコーヒー 京都カフェ The Lounge -Kyoto-〉
この春、京都の〈ブルーボトルコーヒー〉に新たなメニューが登場。それはなんと、今年のトレンドになりそうな“コースで楽しむコーヒー”。その内容を徹底レポートします!
南禅寺にほど近い〈ブルーボトルコーヒー〉の〈京都カフェ はなれ〉が今年3月、リニューアルオープンしました。〈京都カフェ〉といえば関西エリアの第1号店として2018年に誕生し、築100余年の京町家をリノベーションした趣ある店舗。
その〈はなれ〉の棟の2階に誕生したのが7席のみの予約制ラウンジ〈The Lounge -Kyoto-〉。ここで振る舞われるのが、世界中の〈ブルーボトルコーヒー〉の中でも初となる「コーヒーのコースメニュー」。京町家というアイコニックな環境と、創業者であるジェームズ・フリーマン氏の日本のコーヒー文化への愛を思えば、〈京都カフェ〉から世界初のメニューがスタートするのも納得できる気がします。
いよいよコーヒーもフルコースの時代へ!?
1階のカフェスペース。光を取り入れ、大胆にリノベーションした内装は〈ブルーボトルコーヒー〉の店舗のほとんどを手がける、長坂常氏率いる〈スキーマ建築計画〉が担当。
余談ですが、折りしも今年1月、〈ブルーボトルコーヒー〉のフラッグシップカフェがある東京・清澄白河にコーヒーのフルコースをメインにしたカフェ〈KOFFEE MAMEYA -Kakeru-〉がオープンし、話題になったばかり。「コース仕立てのコーヒー」は、今後のコーヒー界のトレンドになるかもしれません…!
さて、徳島の藍染ブランド〈BUAISOU〉が手がけた暖簾をくぐって靴を脱ぎ、階段を昇って2階へ。このアプローチも風情があっていい感じです。
〈The Lounge -Kyoto-〉の室内は、足元の琉球畳と中庭を臨む大きな窓が印象的な空間。
コースメニューは、異なる抽出方法で提供する3種類のコーヒーと、それに合わせた2種類の季節のスイーツという構成。コーヒー豆はその時期のおすすめのクロップから2種類セレクトされ(この日はグアテマラとケニア)、好きな方を選べます。
予約者のみが入室できるラウンジの室内。カウンター5席、テーブル席2席。ハリー・ベルトイアの名作、〈Knoll〉のワイアーチェアが畳の間に馴染みます。
1品目はスパークリングドリンク、その名も「FIZZ(フィズ)」。コーヒーの果肉を乾燥させた「カスカラ」を使ったタイプorコーヒーを使ったタイプの2種類で、本日は季節の柑橘=甘夏を加えたカスカラフィズをチョイス。カスカラは最近、スーパーフードとしても注目される素材で、それを使ったモクテルから始まるなんて今っぽくて楽しいです。シュワシュワッと涼やかな喉越しがスターターにぴったり。
2品目は、〈ブルーボトルコーヒー〉でもついに導入されたネルドリップを。フランネルの布フィルターを使った、日本の喫茶文化でも長く愛されてきた抽出法で、バリスタが目の前でドリップしてくれます。コーヒー豆は、ふくよかなボディ感と華やかな酸味のグアテマラをセレクト。新鮮な驚きだったのは、ドリップを終えたコーヒーが富山の鋳物メーカー〈能作〉の酒器でサーブされたこと! ネルドリップならではのトロリと艶やかな質感が、錫の柔らかな口当たりでより際立って、これは楽しい体験でした。
最初のデザート「抹茶寒天クリームぜんざい」は、宇治の〈利招園〉の抹茶と京都堀川三条のあんこ屋〈都松庵〉の粒あん、そして北海道の〈HiO ICE CREAM〉のミルクアイスクリームという贅沢な三つ巴のおいしさ。普段からお付き合いのある作り手とのコラボレーションで誕生した〈ブルーボトル〉ならではの味わいです。ボディ感のあるネルドリップは、まるでお濃茶を楽しむようなリッチさもあり、和のデザートとの相性もバツグンでした。
そして3品目は、こちらも初登場の〈Oji〉のウォータードリッパーによる水出しコーヒー。1滴1滴、水を点滴する歴史ある抽出法で、抽出にかかる時間は実に8時間。巨大な砂時計のような機器はまるで芸術品のような美しさです。
「水出し」らしい、ガツンと重厚感がありつつ雑味のないクリアなコーヒーを、ウィスキーのように“丸氷”でいただく粋な演出。第2のデザート、桜バターサンドクッキーの塩味と桜の香りを感じつつ、氷を溶かしながらコーヒーの風味の変化を楽しむ……。まさに〆の一品にふさわしい味わいです。
ネルドリップに水出しコーヒーといったブランド初となる抽出法や、和スイーツや和の酒器との組み合わせなど〈ブルーボトルコーヒー〉の新たな試みが詰まったコースメニュー。世の中に流通するコーヒー豆のクオリティが格段に向上している今、高いポテンシャルを持つ豆を様々な方法で料理=抽出し、スイーツとともに味わうスタイルは、コーヒー界の“次なる扉”として自然な流れなのかも。
ともかくも、完全予約制なので“密”を気にすることなく、趣ある日本家屋でゆったりと約90分のコーヒータイムを満喫できるのは、ニューノーマルな今の生活にもぴったりの過ごし方。初夏の京都散策に新しいコーヒー体験、いかがでしょう?
〈ブルーボトルコーヒー 京都カフェ The Lounge –Kyoto–〉
◾京都府京都市左京区南禅寺草川町64
◾︎075-746-4453
◾︎The Lounge –Kyoto–/9:00〜16:00(予約制) カフェ/8:00〜18:00 無休
◾︎7席(カフェ62席/はなれ1階18席、カフェ棟44席)
◾︎HPはこちらhttps://bluebottlecoffee.jp