まるで自由研究!? 自然の色で染める『草木染め』にチャレンジ!植物が持つ思いがけない色に出合うワクワクを。
植物を煮出して布を染める草木染め。実験みたいなワクワク感と自然の神秘に触れるときめき体験を。4月28日(水)発売 Hanako1196号「自分を高める、学びの教科書。」よりお届けします。
クッションカバーとエコバッグをボーダー柄に。ムラも一点ものの味わいになる。エコバッグの柄には割り箸を使用した。染料に浸ける時間が長いほど濃く染まる。
■用意するもの
草木染めのできる素材は綿、麻、絹、レーヨン、テンセルなど天然由来のもの。ただしウールは初心者には難しい。薄手だと染まりやすく、帆布等の厚手のものは染まりにくい。大豆飲料は普通の豆乳ではなく、おから入りの「まるごと大豆」製品を選ぶ。焼きミョウバンは薬局などで購入可。
A. 染める布(今回はクッションカバー)
B.ざる&こし布
C.軽量カップ
D.焼きミョウバン
E.ステンレス鍋
F.角材
G.バケツ
H.はかり
I.輪ゴムorひも
J.玉ねぎの皮(5〜6個分)
K.大豆飲料
L.菜箸
■草木染めのやり方
1. 染める布を洗う。40度くらいのぬるま湯で布をもみ洗いし、糊や油汚れを落とす。ファスナーがついている場合は開け、布が重なっている部分や内側もしっかり洗って固く絞る。
2. 豆汁を布になじませる。大豆飲料を約50度のお湯で10倍に薄めた「豆汁」(今回は豆乳100ml、お湯900ml)に1を浸し、2分ほどよく揉んで浸透させ、絞って乾かす。この工程を2回繰り返す。
3. 色止めする。布の重量の15%量(今回のクッションカバーは25g)の焼きミョウバンを、約80度のたっぷりの湯(今回は約4l)に溶かし、2を浸す。全体に浸透するよう15分ほど菜箸で混ぜ、水でよくすすぎ固く絞る。
4. 生地を角材で挟む。濡れたままの布を蛇腹に4つ折りにする。ストライプを入れる位置を決め、生地を角材で挟んで輪ゴムを2~3本、またはひもを使ってきつく留める。染めるものが小さければ割り箸で挟んでもOK。
【POINT】しっかり留めればきれいな白抜きに。
5. 染料を煮出す。玉ねぎ5~6個分の皮と、ひたひたになるくらいの水を鍋に入れて火にかける。沸騰したら中火にし、時々かき回しながら20分ほど煮出す。ちなみに、新玉ねぎの皮だと薄い黄色に染まる。
【POINT】ぐつぐつ煮出すと濃い色になる。
6. 染料をこす。染料が熱いうちに、ざるとざるの間にこし布(洗濯ネットでも可)を挟んで重ね、バケツにのせて染料を注いでこす。使った皮をもう一度煮出し、追加の染料を作ってもよい。
7. 布を染める。6のバケツに約6分目まで熱湯を加える(熱いほうが染まりやすいため)。4を浸し、約15分生地を揺らしながら染料を行き渡らせる。しっかり染めたのち、3の液を100mlほど混ぜると色が定着しやすい。
8. 洗って乾かす。染料が冷めてきたら取り出し(冷める時により深く染まる)、角材をつけたまま色が出なくなるまで水洗いして絞る。角材を外し、もう一度余分な染料を水で洗い落とし、日陰で乾かして完成。
美しい桜染めは枝を煮出した染料で。
開花前の桜の枝を煮出した染料で染めると、きれいな桜色に。花びらではこの色にならないとか。「草木染めをやると、枝や葉が花の色を育てているんだなとしみじみ感じます」
植物が内包する思いがけない色と出合う。
玉ねぎの皮を煮出した深い飴色の染料に布を浸けてみると…、布が鮮やかな黄色に!「玉ねぎに含まれる茶色やオレンジが混ざりあっているから、深みのある色でしょう。草木染めの醍醐味ですよ」と、染色家の小室真以人さん。とりわけ丁寧にやるべき工程は、染める前の下準備。染めたいものが新品でも使い古したものでも、よく洗って糊や柔軟剤などを落とすこと。続いて「豆ご汁じる」に浸す工程も重要だ。「豆のたんぱく質が染料を布に引き寄せるのです。その色を定着させるのが、ミョウバンを使う『色止め』の工程。これらをやることできれいに染まり、色落ちしにくくなります」玉ねぎ以外ではアボカドの皮はピンクに、ほうれん草は淡い黄色に染まるという。身近な素材で布を変身させる楽しさ、植物が持つ思いがけない色に出合うワクワクが、暮らしの景色を鮮やかに変えてくれるはず。
Teacher…小室真以人(こむろ・まいと)
東京藝術大学で染織を専攻。東京・蔵前に、草木染め製品を扱う〈マイトデザインワークス〉をかまえ、不定期でワークショップも開催。